映画「ジョジョ・ラビット」心に残るは母の深い海のような愛。
ナチスと戦争の恐ろしさ、愚かさを題材にしながらも、心に残るは、一人の母の深い海のような愛。
【解説】
「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ監督が第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を、ユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した人間ドラマ。
【あらすじ】
第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。
しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。
母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。
主人公のジョジョ役をローマン・グリフィン・デイビス、母親役をスカーレット・ヨハンソン、教官のクレツェンドルフ大尉役をサム・ロックウェルがそれぞれ演じ、俳優でもあるワイティティ監督が、ジョジョの空想の友だちであるアドルフ・ヒトラーに扮した。第92回アカデミー賞では作品賞ほか6部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。
【感想】
ナチスを題材にしながらも、心に残るは、一人の母の深い海のような愛。
ナチスに心酔する10歳の男の子が体験する心象風景。
その革命的かつ感動的変遷。
ジョジョ役の彼は天才。
ぽっちゃり親友ヨーキーは可愛すぎる。
監督扮する少年の空想ヒトラーやレベルウィルソン扮するおとぼけナチ信者で遊び過ぎ感とリアルな悲劇がどう融合するか不安だったが
チャップリンの「独裁者」やロベルトベニーニ「ライフイズビューティフル」の笑いを散りばめた空想史実の系譜としてのギリギリのバランスを保っている。
少年が主人公ゆえに非現実性がお伽話としてより優しく滲みてくる。
しかし中盤から世界が反転したかのように緊張感が増していく。
サムロックウェル扮する奇想天外な大尉も忘れ難く、ユダヤ少女と少年の手紙のやり取りも心にヒタヒタと積み重なる。
記憶に残る印象的なシーンの数々。
でもやはりこの作品はスカーレットヨハンソンがあまりに自然で深みがあり素晴らしい!
そして、母と息子の深い絆と愛を靴👠に込めた一連のシーンは魂を心底揺さぶる。
作中に引用される詩人リルケの言葉があるがこの言葉の含蓄が深すぎる。
何度でも噛み締めて、もう一度最初から1シーン1シーン味わいたい。
すべてを経験せよ
美も恐怖も
生き続けよ
絶望が最後ではない
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