【書評・感想】 "人間は今後神になる" 『ホモ・デウス(上)』 ユヴァルノア・ハラリ
皆さんこんばんは♪
今日は"人間は神になる"でお馴染みのホモデウスを読みました。10年近く前の本になります。
今でも書店では入り口に置かれているくらい、最近再び注目を集めている本です。
一度読んでいたのですが、もう一度読んでみました。
具体的に考察していきましょう。
何故、人間は神を目指すのか
これについてはまず、聖書を紐解くことが鍵になります。旧約聖書の時代は今から約3000年前です。
『創世記』には次のように書いてます。
禁断の知恵の木の実を食べさせようと、アダムとイヴの好奇心を燻り、"罪"を負わせエデンの園から追放したのは「蛇」です。
※コレが後にカギとなりますので覚えておいてください。
その後、大洪水の後生き残ったノアの系譜を辿る一族が神から「人間が森羅万象(動物・植物を含む)の頂点に立つ権利」を与えられます。
…話を一旦、旧約聖書以前の時代、今から約8000年前の時代に移ります。
この時代まで人類(主にホモ・サピエンス)にはアミニズム的な考えがありました。
動物や植物と共に暮らしていたのです。動物と話したりもしていました。人間が森羅万象の頂点という観念はありませんでした。現代でもアミニズム的な部族は世界各地に居ます。
わたしたち人類は当たり前のように家畜を管理・育成し、人間以外の動物は全て人間より「下等な生き物」として扱いますが、このようになった根本原因はまさに旧約聖書の冒頭にある、エデンの園の話です。
「神話」というのは何か伝えたいこと、メッセージ、意味を神話の中に"隠しています"。直接的には表現しません。
エデンの園の場合、何を隠しているのでしょう?
アダムとイヴは採集民として暮らしていました。蛇と会話してから木の実を取るように言われ、それに従ったことに対して神は怒りを露わにします。
これはつまり、アニミズム時代までは動物と話していたけど、この旧約聖書の時代から「神」という"ツール"を用いてアニミズムの考えを否定している、というわけです。
「蛇(動物)とは話すな」ということです。
ちなみになぜ、聖書が「蛇」を用いたかと言うと、実は「イヴ」とは「ヘビ」のことで、「メスのヘビ」という意味があるんです。
『エデンの園』という神話は、ヘビは人間にとっての祖先だ、というそれまでのアニミズムの価値観を隠したものの、「コレからは新しい価値観にする」という意思の表れなんです。
多くのアニミズムの文化では、人間は動物の子孫と考えられていて、今でも信じている文化はあります。
事実、人間の脳は爬虫類の脳を核として作られているし、体の構造も爬虫類の体の修正版みたいなものだという見解が、現代の科学にもあります。
だから、旧約聖書の冒頭にこの神話があるんですね。
それまで世界はあらやる生き物たちからなるものだったのに、旧約聖書の時代あたりから有神論の宗教は、世界を人間と唯一神のたった2人の登場人物に脚本を書き換え、その他の動物を脇に置いたのです。
何故、人間が動物を支配するべきなのか、という問いに対してキリスト教はある答えを出しています。その答えを、
"人間が他の被造物の支配権を持っているのは、その権限を創造主に与えられたから"
と、しています。
説明が長くなりましたが、家畜が生まれた理由を説明します。
先ほど説明したように聖書では世界を人間と神のみに設定したため、人間は動物・植物とコミュニケーションが取れなくなります。そのパイプ役となったのが「神々」です。
ただし、豊作や食糧などを得られるのは条件付きで人間が何かをした時に限られました。これが、
"農耕の取り決めの真髄"です。動物は人間と神のためにある、という一言で言えばそんな考えです(農業革命もこれと同じ論理です)。
これにより、わたしたちは現代まで動物を管理したり、家畜として育てたり、力(運ぶ力や動力など)のために動物を利用してきたりしました。ときには動物を「資産」としても扱います。
ここまでが前置きです。
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人間は動物や植物から何かを得ようとする時、昔は祈りや献げ物、見返りとしてそれらを受け取っていました。
しかし、技術革新が起こった現代はどうでしょう?わざわざ祈らなくても家畜から効率よく乳を絞れる仕組みがあるし、効率よく食肉が流通する仕組み、システムがあります。
現代までの約3000年間、森羅万象の頂点に君臨してきた我々人類。
そしていまや、有神論の神々の力を超える技術を持つようになりました。もう神との"コミュニケーション"は必要ないので今後、終わりを迎えるわけです。
(2012年にローマ法皇が生前退位、平成天皇も生前退位、最近では統一教会潰し、イスラエル紛争、池田大作さんの死去など…最近では宗教関連のニュースが多いです)。
では、次に人間が目指すのはどこでしょう?
もうお分かりかと思いますが、それが本書のテーマである"人間は神になる"の意味なのです。
具体的には「幸福」「不死」「神性」を手に入れようとします。
これまでの歴史は人間至上主義だったので、これらを目指すのは論理上の必然とも言っていいでしょう。人間至上主義の最終ゴールが恐らく、以上の3つなのでしょう。
これがユヴァルノア・ハラリが言っていることです。
人間は神になる。皆さんはどうお考えですか?
今日も最後まで見ていただきありがとうございました♪
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