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『いつかの約束1945』2024年青少年読書感想文コンクール課題図書を読んで~本の好きな大人の読書感想文~ 講師 黒木里美

毎年、夏休みに読書感想文の指導をしながら、こんなことを思っていました。
「私だったら、こんな風に書きたい! 」
読書感想文の指導をしたことのある先生、あるいは親御さんの中には、私と同じように思ったことのある方も少なからずいるのではなでしょうか。
そして、今年もまた、読書感想文の課題を読んでいると「書きたい!」という気持ちがふつふつと湧いてきました。
いい課題図書に出会ってしまえば、なおのこと書きたい気持ちが募ってきます。
「もう我慢できない、書こう! 」
と言うわけで、今回はじめて読書感想文を書いてみました。

私が本を読んで思ったこと、考えたことを自由に書いた文章です。
子どもたちの読書感想文の見本になるようなものではありません。
何卒ご了承くださいませ。
この記事を読んで、私と同じように
「よし、読書感想文、書いてみよう! noteに投稿しちゃおう! 」
と思ってくれる先生や親御さんがたくさん現れてくれることを期待しています。

『いつかの約束1945』中学年(3・4年生)書籍紹介

こんな子におすすめ!本をえらぶ時のキーワード
✅戦争と平和
✅入れ替わりの物語
✅おじいちゃん、おばあちゃんが好き
✅身近な冒険をしたことがある
✅自分の住んでいる街の歴史を調べたことがある
✅戦争の体験を聞いたことがある
✅不思議なお話が好き


~内容紹介~
「あたしは、関根すず。9さい!」
ゆきなとみくは、自分は9歳だと言うおばあさんに出会い、共に一日町を歩き回ることに。
後日、二人は意外な場所で彼女と再会する。残されたメッセージに込められた思いとは?

いっしょに町を歩きまわり、語り合った、忘れられない夏の一日。

岩崎書店 Webページより

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『受け継ぐ』


「あの戦争は、なんだったのか」
私の祖父は昭和7年生まれ、終戦を迎える1945年には、13歳でした。
祖父の本棚には、戦争に関する本がたくさん詰まっていました。
私は子どもの頃、戦争の映画を見たり、軍歌を聞いたりする祖父の姿をみて、「おじいちゃんは、戦争が懐かしいのかな」「戦争が好きなのかな」と不思議に思うことがありました。
おじいちゃんの戦争は、私が学校や本で知ったものとは何かが違うのです。

大人になり働き始めてから、祖父と二人でお酒を飲むことがありました。
私の仕事の話を聞きながら楽しそうにお酒を飲む祖父。
そして、自分の若い頃、働き始めた頃のことを語り始めました。
手先が器用で、家電製品を直す仕事をしていて、その後、電力会社に就職をしたこと。
毎年、夏には台風で停電が起きて、真夜中に嵐中、仕事にいったこと。
ダムづくりに携わったこと。
仕事は大変だけれど、やりがいがあると、祖父は私に伝えたかったのでしょう。
どんどんお酒も進み、話も盛り上がっていきます。

ところが、ふと話が止まり、一言。
「本当は、もっと違うことをしたかった。」
「おじいちゃん、何がしたかったの?」
「わからんね、でも、子どものときは、海軍に入りたかった。軍国少年だったからね。戦争に行きたかった」
「おじいちゃん、本棚に戦争の資料たくさんあるもんね」
「あれは、戦争がなんだったか知りたくて集めたんだよ」
「青春を奪った戦争がなんだったのか、知りたくて知りたくて。でも、分からんかった。」

1945年8月15日太平洋戦争の終わりを告げる放送「玉音放送」。
13歳だった祖父は、日本が負けて戦争が終わってたまるか、自分が戦争を続けてやる、自分が戦地に行ってやると、地元の海軍の偉い人のところに行ったそうです。
「自分を海軍に入れてください。」
自分も戦争に行って、必ず勝ってきますと頼み込んだのです。
「君の気持ちは素晴らしい。ありがとう。でも、君のような若者にこそ生きて欲しい。」そう言ってくれた海軍の将校は、数日後、自害をしたそうです。

自分は、将校に言われて生き続けてきた。
一生懸命生き続けてきた。
でも、多くの人の命を奪い、自分の青春を奪っていった戦争が憎い。
だけれど、戦争に行きたかった、国のために戦いたかった。
でも年が若く戦いに行けなかった。
祖父は、泣いていました。

ここまで、話し終わると、優しい声で、「もう寝ようかね、おやすみ」といいテーブルから離れて寝室に向かっていきました。

それ以降、祖父が戦争について語ることはありませんでした。

「あの戦争は、なんだったのか」

これは、当時を生きた人々、皆が抱いていたことなのかもしれません。
自分の人生を大きく変えたあの出来事は、なぜ起きたのか。
そして、どうすることが正しかったのか。

祖父は、どんなにも分厚い資料を読んでも、映画を見ても、見つけることができなかったのでしょう。
答えらしきものを見つけたとしても、いや違うと思い直し、また考え、調べと、何度も、何十回も、何百回も、毎日毎日心のどこかで問い続けて、答えを求めてたのでしょう。

祖父の心にはどんな情景が浮かんでくるのだろう。

この話を受け継いだときから私は戦争のことを考える時、祖父の心を思うようになりました。

そして、あの戦争はなんだったのか、「戦争」とは何かを、より強く考えるようになれたことについて、私は誇りに思っています。

なぜなら、戦争が、昔の出来事でも、遠い世界で起きていることもでもなく、私が考えるべきことになったからです。
(1405文字 原稿用紙4枚分)

最後までお読みいただきありがとうございました。


■まとめ

もし、戦争を体験した方にお話を聞くことができたら、それは貴重な経験です。 当時のことだけでなく、その後、どのような思いを抱い生きてきたのかも、聞いてみてください。

戦争を体験した人なんて周りにいないから、感想文がかけない、そんなことはありません。

大切なのは、戦争を知りたいと思い本を読んだこと、そして、行動したことです。
話を聞いてみた、映画を見てみた、資料館に行ってみた、本を読んでみた、その歩みを言葉にしてみましょう。

2012年よりリテラ「考える」国語の教室の講師を務める。子どもたちへの文章技術や国語・作文の指導を通じ、ことばの学びは、困難にぶつかっても、しなやかに心を回復させ、自らの力で乗り越える自信を育ってることに感銘を受け、日々心理学的なアプローチを授業に取り入れられるようにと研究を続けている。2022年からオンライン講座を開始。初年度から300名以上の受講生と出会い、子どもから大人まで幅広い年代に言語技術を広める多様な講座を展開中。中学受験・高校受験では、受験生一人ひとりの個性や資質に合わせたオーダーメイドの指導と、受験メンタルトレーナーとして受験生本人と保護者・家族の心のケアにも努めている。

【資格】受験メンタルトレーナー チャイルドカウンセラー 発達障害コミュニケーション指導者初級 心理学検定1級 文章能力検定2級 中高社会科教員免許 國學院大學法学部卒業


■2024年青少年読書感想文コンクール課題図書の紹介記事

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