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6/26 【仏下院選、米金融引き締めとハードランディング、日CPI】

●仏下院選でマクロン与党過半数割れ


6月19日投開票の仏下院(577議席)決選投票にて、マクロン大統領率いる与党が議席を大きく減らし、過半数割れとなった。

今後は与党提出の法案成立が難しくなる懸念もあり、政権運営には痛い打撃。
与党に代わって左派連合及び右派の国民連合が躍進した。

与党連合の議席は改選前346議席に対し、今回245議席という結果で過半数割れ。一方、急進左派のメランション氏が率いる左派連合は131議席、急進右派の国民連合は89議席(改選前6議席)と大きく議席を積み上げた。

与党が苦戦した背景として、足元で進むインフレが挙げられている。インフレ対策訴えた野党が批判票の受け皿となった形だ。

(出所:日本経済新聞)


政治は経済・社会保障及び外交・安全保障の2軸から読み解く必要がある。それでは、今回の選挙結果を受け、マクロン政権の運営にはそれぞれどのような影響があるか。

まず経済・社会保障について、マクロン大統領が進める改革である定年の延長や62歳から65歳への年金支給開始年齢引き上げ等は左派受けが悪い。そのためこれらを断行するには、ライバル政党と手を組まざるを得ない状況であり、最も有力とみられるのが共和党だ。

また外交・安全保障について、今回躍進した左派連合を主導するメランション氏は新ロシア派の政治家だ。同氏はウクライナ進攻前に「対ロシア制裁に意味はない」と語った過去もあり、今後発言力が強まれば現在のウクライナ支援姿勢にも異論を唱える可能性はあるだろう。

また次回の大統領選には、マクロン氏のみならずメランション氏及びルペン氏は出馬しない可能性が高い。非常に流動的な政治情勢となりそうだ。

●パウエル議長議会証言、ミシガン大学調査確報値、米6月PMI


足元で物価高が進む状況下、大幅な利上げ及び量的引締めを行っているFRBパウエル議長は6月23日の米議会における証言で改めて物価高抑制の考えを示した。

加えて、急速な利上げが景気後退を招くことについて「確かに可能性はある」と認めた。但し、今回の議会証言においてはこの景気後退を招く可能性についての言及含め特にサプライズとなる内容は無かった。

また6月24日に発表されたミシガン大学消費者態度指数(6月確報値)は速報値に比べやや低下。併せて5-10年先の期待インフレ率が3.1%と速報値(3.3%)から低下した。

パウエル議長は6月FOMC時に同期待インフレ率を重視する発言をしており、確報値での低下はマーケットにとって好材料であった。

(出所:Bloomberg)

それでは足元の景気感はどうか。

米S&Pグローバルが6月23日に発表した6月の購買担当者景気指数(PM)は、総合が51.2(前月53.5)と3カ月連続で低下し、5カ月ぶりの低水準になった。

また同日発表のユーロ圏総合指数は51.9(前月54.8)とこちらの2カ月連続で悪化し、1年4カ月ぶりの低さだった。

PMIは企業の景況感を表す指標で、50が好不況の分かれ目で、欧米共に来月には50を割り込む勢いとなっている。

(出所:日本経済新聞)

●日CPI コアコアは未だ低水準


総務省が6月24日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.1%上昇した。

一方で、変動の激しい生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は前年比0.8%で未だ低水準となっている。

(出所:日本経済新聞)

内訳をみると、エネルギー価格の上昇が特に大きい。

特に電気代とガソリンについて、政府の対策として打てる手は残されているように思われる。来月7月の参院選における争点の1つになるだろう。

●6月27日(月)から7月1日(金)の主な予定


<アメリカ>
30日(木):5月PCEデフレータ
1日(金):6月ISM製造業景況指数
<日本>
1日(金):5月失業率、6月調査日銀短観
<中国>
30日(木):6月PMI

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