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こんにちは!てんてんです。

メリークリスマス…から2日経ち、すっかりお正月ムード。時の流れの激しさよ。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?

この時期になると思い出す。
せつない思い出。


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それは、26歳の頃。社会人サークルの飲み会での出来事。

他県から参加していた男の子が

「隣、良いかな?」

と話しかけてきたのです。気さくで優しい物腰の彼。
話していくうちに、彼の人生や人となりを知ることになっていきます…。




彼は数年前、生死の境を彷徨う程の交通事故に遭いました。
数ヶ月意識のない状態が続いたそうです。幸運なことに一命は取り留めたものの、腰部に強い衝撃を受けたことから脊髄損傷となったのです。
(※脊髄損傷…背骨の外側(脊椎)の中には、脊髄といって脳と身体を結ぶ神経が詰まっています。
何らかの形で脊髄が損傷されてしまうと、その部分から下部に脳からの指令が送れなくなってしまいます。
そうなると、歩行や排泄などできない(難しい)状況になるのです。
アイドルの猪狩ともかさんのニュースで記憶に残っている方も多いのでは?)

その後懸命なリハビリの結果、車椅子に乗り身の回りのことはある程度自身でできるようにはなりました。
しかし腰から下の感覚は戻ることはありませんでした。

身体の状態が安定したことから、彼は仕事に就こうと思いました。
残念なことに、身体障害のある人が働ける場を見つけるのはなかなか大変だったそうです。体調の変化等もあり、就職活動は難航しました。

そんな折、友人の紹介で仕事に就くこととなったそう。
そんなこともあり、近々私の住む街に引っ越してくるのだとか。


ここまで濃密な人生に触れることなんて今までなかった私は、ただただ衝撃を受けるばかりでした。
そして、そんな話を穏やかに話す彼がとても美しく、次第に惹かれていったのです…。

しばらくして、彼はなんと私の家のすぐ近くに引っ越してきたのです。

彼と私は、少しずつ仲を深めていきました。
互いの家を行き来し、彼が料理を振る舞ってくれることもありました。私がインフルエンザで倒れたときには、飲食物をたんまり買ってきてくれたことも(笑)

仲良くなるにつれて、私はフッと思いました。

「私たちの関係って…??」


少し探りを入れよう。そんな考えが頭をよぎりました。
モヤモヤした気持ちを抑えつつ、言葉にしてみました。

「ねぇ、こっちに引っ越してきて気になる人とかできた?」


すると、少し意外な答えが返ってきたのです。

「俺、もう恋愛はしないから」

彼は事故に遭う前に付き合っていた人が居たのですが、受傷してから関係がギクシャクして別れを告げられてしまったそうなのです。

そのショックからもう恋はしたくない、と。

また、彼は脊髄損傷の影響でセックス(挿入)ができないことを知ります。
そうなると自然妊娠で子どもを作ることも困難なことも。
(※人にもよりますが、脊髄損傷の男性と子どもを作るには体外受精を行う場合が多いです。
 そうなるともちろん金銭的にも負担が大きいですが、行政の補助(自治体にもよりますが…)などを利用して妊娠・出産されている方々も多いです。実際、私の親友夫婦も子宝に恵まれています)


事故のことが彼の恋愛にも影を落としていると思うと、とても悲しい気持ちになりました。

それと同時に、「彼がもし前向きになれた日がくるのであれば、その時に縁があれば」と恋心を強めました…。



ある夏の日、共通の友人から


「彼が入院した」

と、一報を受けました。

あまりにも突然の出来事。

見舞いに行くと、彼はいつもと変わらない笑顔で、

「てんてんちゃんに心配かけたくなかったんだ。

さっさと退院して『えっ、入院してたの?』って言われたかったんだよ…」

とはにかんでみせるのでした。


しかし、実は彼。
受傷してから度重なる褥瘡に悩まされていたのです。
(褥瘡…体重などの圧力が身体の一部分に、集中的にかかり続けてしまいます。
そうなると、圧がかかり続けた部分の血流が悪くなり皮膚が壊死してしまいます。そのときのキズのこと。
脊髄損傷の方は車椅子に触れる場所(お尻、かかとなど)に発症しやすく、「尿路感染か褥瘡か、どっちもかに大体悩まされる(当事者の友人曰く)」と言われるくらい悩みのタネになりやすいそうです。
敗血症など最悪死を引き起こす疾患のリスクを持つため、病院でしっかり治さないといけません)


その後治療は難航し、入院生活は半年近く経過していました…。



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