雨から思いだす三つの話。

雨から思い出す三つの話。僕は雨の降る日にはいくつか思い出すことがある。

三つの話、ひいては雨にまつわる三人の知り合いのお話だ。
一人目は雨男の知り合い、二人目は昔の恋人、そして最近交わした大事な人。
個人的なお話を今回少し書き起こしてみようと思う。

一つ目。

皆さんの周りに雨男はいらっしゃるだろうか。僕の知り合いには一人、滅茶苦茶強い雨男がいる。

いや、冗談とかじゃない。この人、なかなかにすごいのだ。

いく行事行事、雨。雨、雨、吹雪に、嵐。

教師をやっている人なのだが、あまりにも引率した行事で天候が荒れるので、引率しないでくれと言われたらしい。

・・・なんていえばいいのか。

そんな人が身近にいたので、僕にとっての雨は「彼そのもの」であり、彼の存在を思い出すようなものであった。

僕は今でも雨の日には彼を思い出し、なんだかふっと笑ってしまう。

二つ目。

昔、僕には恋人がいた。

少し遠くまで遊びに行った帰り、雨が降り出した。

僕等は濡れることを嫌がってバスに乗った。

散々遊びまわった日の夕方、僕はすっかり眠くなってしまっていた。眠そうな僕を見て、恋人は「眠ってもいいよ」と眠る事をすすめた。でも、デートの帰りであったから、眠るのはなんだか悪い気がして、僕は首を横に振った。

「雨の日のバスがなんで眠いか知ってる?」

恋人はその時、僕にそんな問いかけをした。

「お母さんのおなかのなかに似ているからなんだって。程よく雑音があって、揺れていて、あったかい。だから、眠くなるんだよ」

ゆっくり休むように恋人は言い、その言葉に僕は眠りについた。

雨の日、僕がバスに乗る時にはいつも恋人の言葉を思い出し、疲れた時には心置きなく眠りにつくことにしている。

三つ目。

「雨の降っている日にあえて傘をさして歩くのって楽しいよね」

僕と友人の共通認識だ。

雨というBGMを片手に、僕等はいつもは感じない湿度を感じる。その湿度がどうにもいつも以上に世界を、僕等の生きている世界を生々しく伝えてくれる。

その感覚が好きなのだ。

いつも僕のさす傘は真っ黒で柄の細い傘。

その傘が受け止めてくれている雨が、僕にはなんだか不思議に愛おしい。

みなさまはどんなふうに雨を楽しまれるだろうか。

僕の雨の日はこんなものからできている。

#雨の日をたのしく

僕から雨から思い出す三つの話。

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