メイド・イン・沖縄料理を堪能しよう
数ある郷土料理の中でも独特の感性を持つのが沖縄料理だと思う。
メインとしているのは豚料理である。
沖縄料理の軸としているのが、食材を余すことなく工夫して食べようとする考え方だ。これは非常に好感が持てるし、大切にしたい考え方だろう。
豚を頭から足先まで余すことなく食べられるように、焼いたり・煮たり・蒸したり。そのアイデンティティは独創性を感じさせられる。
そして、それはお酒のシメにも表れているのだ。
一般的にお酒のしめになる代表的な主力メンバーといえば、ラーメンやお茶漬け、ソバなど。
つまり、炭水化物を最後の砦として胃が迎え入れるわけだ。しっかりと、お腹に溜まる物を食べることで満足感を得て、お開きになるのが定番。
しかし、どうやら沖縄では、シメにステーキを食べることがあるらしい。
さんざん飲み食いした後に、ガッツリしたものを、もう一度食べる文化にハングリーさを感じざるを得ない。麺類のようにスルスル喉を通る食べ物ではないからだ。
胃だって満身創痍のはずだろ。
長距離マラソンを走り終わった後に、短距離走をやらせるようなもの。
もはや、シメにならないのでは。
シメというくらいだから、後悔が残らないようにパンチのある物を食べて徹底的に胃袋を追い込ませる文化なのかもしれない。
サラッと食べられるような、ラーメンやお茶漬けでは、どうも火力が弱すぎるのだろうか。
考えれば考えるほど、興味が深まるのが沖縄だ。
そんな沖縄料理で個人的に外せないものといえば、「海ブドウ」と「ラフテー」の2つ。
この2つなくして沖縄料理は語れない。
海ブドウは、鮮やかな緑色をしており、茎からは小さな粒がいくつも付いている。
恐らく、房を実らせたブドウを感じさせる見た目からついた名前。
「海」と付いていることからも海藻の一種なのだろう。
確かに、ほのかな磯野の香りが漂ってくる気がする。
箸でつついてみると、芯がない軟体な感触。
海ブドウよ、これまでユラユラと波に揺られながら育まれてきたのだな。
一元さんには、少々刺激の強い見た目かもしれないが、味は悪くない。
噛むごとに1つ1つ小さな粒が弾けていく様は、心地よいリズムを与えてくれる。
よく商品を守るために使われる緩衝材のプチプチを歯で潰すような感覚はクセになる食感で好きなのだ。
そして、あとから海の恵みを感じさせる塩気が控えめにやってくる。
海水で育っただけのことはあるな。
シンプルな味付けを好む自分としては、目の前に置いておきたい一品だ。
そして、ラフテー。
沖縄料理と言えば豚が主力食材といっても過言ではないだろう。
豚料理を食べずに沖縄料理を堪能したとは言い難い。
煮汁の中に浸り、柔らかく味付けされて色濃く染まったラフテー。
立ち昇る湯気からは、どことなく甘じょっぱさを感じさせる香りが漂う。
きっと煮込みながら、豚のうま味を閉じ込めてきたのだろうな。
箸でつまむ前から、原型を保っているのがやっとではないのかと思わせるほど、トロトロしているのがわかる。
案の定、箸でつまむと脂身部分から肉片がスルッと剝がれるように取れた。
プルプルと小刻みに震える肉塊を口にいれると、ひと噛み、ふた嚙みしたら口の中で溶けだす。
たまらない!旨味の詰まった肉汁が口の中で広がっていく。
肉の甘味がしっかりと染み出る。
想像しただけでもヨダレが…。
やはり沖縄料理は独自の文化を持つ、その豊かな感性のおかげで旨い物にありつける。もう感謝しかない、ありがとう!!
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