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vol.75 秋、ラブレターを書こう!【手紙の助け舟】

こんにちは。
喫茶手紙寺分室、むらかみかずこです。
10月半ばになり、日が落ちるのがだいぶ早くなりました。

夕刻、小高いところにある散歩道から西の空を眺めると、刻一刻と変わる空の色、雲の形に目を奪われます。オレンジ色に染まる空の面積が、みるみる黒く、小さくなっていくのです。
日没の時間が早まり、夜が長くなると、どこか人恋しさを覚え、急にセンチメンタルな気分になったりしませんか。
そんなときこそ、ラブレターを書くチャンスかもしれません。

かつて『大切なあの人へ ラブレターを書こう!』という書籍を出版していただいたことがあります(2012年7月、原書房刊)。全ページ、カラー印刷。月ごとにそれぞれの季節や場面にふさわしい文例やアイテムを紹介した、気持ちを伝えるラブレターのハウツー本です。
版元の女性編集者と意気投合して終始、楽しく製作したことを、つい先日のことのように思い出します。

ラブレターを書くときの極意5か条

SNSやLINEばかりの今、手書きの手紙、それがさらにラブレターともなると、敷居が高いどころか唐突過ぎる、こわい、気持ちが引く…など大いに戸惑う人も大勢いるかと思います。
ですが、ラブレターだからといって「好きだ」「愛している」と声高に叫ぶ必要はありません。
夫へ、妻へ、パートナーへ、息子へ、娘へ、父へ、母へ、親友へ…。
あなたにとって大切な人へ宛てて書く手紙はすべてラブレターですから、日常の何気ない話題でいいのです。
何を食べたとか、仕事がどうだとか、体調がどうだとか、友人とこんな会話をしたとか、そうした普段のよくある出来事を伝えることからも、互いを感じ合うことはできると思うからです。

この原稿を書くにあたり、先述した書籍をパラパラと見返していたら、こんなことが書かれていました。

ラブレターを書くときの極意5か条

〇堅苦しく考えない
手書きのレターはそれだけでうれしいもの。気負わず、いつもの話し言葉で書くのがポイントです。
〇一方的にならない
自分のことばかり書き連ねていては読むほうが疲れてしまいます。「最近どう?」などと相手を思いやりましょう。
〇長文を書かない
付き合う前のふたりであれば、シンプルにまとめるのが鉄則。明るく元気よくさわやかに。ラブレターは相手を「落とす」ためでなく、信頼関係を築くためのものです。
〇返事を期待しない
ラブレターはある意味、自己満足的なもの。自分が書きたいから送るのですから、「なぜ返事をくれないの?」と腹を立てては逆効果です。
〇別れ話はしない
手書きのレターはメールよりも気持ちが入りやすくなります。別れ話のような深刻な話は避けましょう。傷口が広がらないように注意するのが、礼儀ですね。

『大切なあの人へ ラブレターを書こう!』むらかみかずこ著、原書房刊


大まじめに書いているところが、我ながらツボ! とはいえ、どれも真実かつ、今の時代のLINEのやりとりにおいてもまったく同じことが言えそうです。
時代が変わり、ツールが変わっても、本質は何も変わらないのです。

ふんわり甘い香りが広がるインク

ラブレターインクというものをご存じでしょうか。甘いバラの香りのする、なんともロマンチックなボルドー色のインクです。
ドイツの有名メーカー/モンブランがかつてクリスマスの時期に限定発売していたもので、現在、オークションでは高値で取引されているようです。
このインクで文字をしたためると、受け取る相手は封を切った瞬間、ふんわりと甘い香りに包まれます。

赤というより、ボルドー色。
水分量が多くかなりにじむのは、文字に情感をのせるメーカー開発者の意図でしょうか?
だれかに話したくなる、お洒落なインクです。

手紙の楽しみは無限に広がります。
その手紙が、あなたの大切な人の心に届きますように。

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むらかみかずこ | 喫茶手紙寺分室 note ライター
一般社団法人手紙文化振興協会 代表理事
歌とお酒とワンコ好き。京都在住。
むらかみかずこの手紙時間ブログ

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