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【読書の感想】銀河鉄道の父/門井慶喜

記念すべき(?)1回目は、過去に読んだ記録を再編集したもの。
第158回直木賞受賞作品である、「銀河鉄道の父」。

小学生の頃、私は宮沢賢治が大好きだった。「雨ニモマケズ」は暗唱できたし、「注文の多い料理店」は何回も読んだし、「やまなし」や「風の又三郎」の有名な一節はいつでも覚えている。
岩手県花巻市の宮沢賢治記念館や童話村には一人旅で訪れたこともある。

生前は評価されず、最愛の妹に先立たれ若くして亡くなったという彼の生い立ちは私の幼心にとても印象に残り、好きな作家の一人だった。

そんな彼の父に焦点を当てて、息子である「宮沢賢治」を描いた一冊。

最初はさぞ宮沢賢治のことを称賛しているのだろうと思っていたら、全く違い期待を裏切られた。

宮沢賢治の父、政次郎の為人。自分の生い立ちを俯瞰しながら、その生き方を自身の子どもたちに強要せず、厳しくも優しく見守っていた点。大正時代にも関わらず現代で言う親バカを発揮させていた点。私たちはどうしても偉人本人の物語に目を向けがちだが、周囲の人間にもドラマがある。もしかすると、本人よりも数奇だったりするのではないか。

昔は宮沢賢治は幼少から体が弱く、机に向かってばかりの少し気の弱い人物のイメージだったのだが、この本を読んでイメージが変わった。

しかし、賢治の身の上に起こった出来事を考慮して「雨ニモマケズ」や「銀河鉄道の夜」を書いたのだと思っても、やはり彼は素晴らしい作家だと思うし、宮沢賢治にしか書けなかったんだろうなと思う。

なぜかはわからないが、随所で涙が出る小説だった。
そして、宮沢賢治の作品集を読み返すことを決意した。

本当に、本当に良い作品だった。


2020年の8月に読了した作品。

これから、今まで自分が書きためた読書感想文やこれから読む本の感想文を綴っていく。
自分の文章がもし誰かの本を読む動機になってくれたら、とても嬉しい。

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#直木賞受賞作品
#備忘録
#わたしの本棚

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