見出し画像

【ひまわりの日】ひまわりとゴッホの関係


ひまわりの日

 1977年7月14日、アメリカのケネディ宇宙センターから、日本初の静止気象衛星ひまわり1号が打ち上げられました。気象衛星は、常に太陽を向いている植物のヒマワリのように、地球を向いていることから、ひまわりと名付けられました。1989年6月30日に役割を終え、ひまわり2号以降に引き継がれています。

 今回は、埼玉県所沢市にあるKADOKAWAミュージアムのゴッホ展、徳島県鳴門市にある大塚国際美術館でゴッホの7つのひまわりの作品の鑑賞、最後に山梨県北杜市にあるひまわり畑で鑑賞という、ひまわり3本立てになります。


台南に咲くひまわり

ゴッホ

 1853~1891年、37年というわずかな生涯のうち、画家に専念したのは最後の10年間。画家に転身する前から、波乱に満ちた人生を送っていました。16歳のとき叔父の商会で画商として働きました。そのときに美術館を回っていたため、美術の知識が身につきました。しかし、叔父と対立し、ロンドン、パリへ転勤して、22歳で解雇されます。教師、書店店員を経て、父の後を追うように牧師を目指しました。しかし、試験が難しく挫折し、ベルギーの炭鉱街で伝道師を目指します。オランダ出身だったことから、仲間に入れてもらえませんでした。お金も使い果たし、恋愛もうまくいかず、デビュー前から追い込まれていきます。
 数々の挫折を味わい、地元に帰り、1881年、画家としてデビュー。1883年、「ジャガイモを食べる人」というデビュー作が誕生しました。しかし、暗い雰囲気など評判が悪く、当時の多くの作品は母親によって捨てられました。
 1886年、絵を追求するため、弟のテオと一緒にパリへ移住しました。パリで印象派、浮世絵を学び、明るい色彩、感情を表現すること技術を身につけました。
 1888年、パリからフランス南部のアルルに引っ越しました。パリで学んだ技術を駆使して自分の理想の絵を追求していました。自分の2ヶ月後にゴーギャンと同居しました。しかし、ゴーギャンと価値観が合わず、自ら耳を切る事件を起こしました。これを機に収容病院で入院することになり、ゴーギャンと別れて頼りにできるのは弟のテオのみになりました。
 孤独と理想の作品とのズレが克服できず、悩み続けて精神的に追い込まれ、1890年、ピストルで胸を撃ちました。
 生前、売れた絵は1890年に描かれた赤いワイン畑の絵1枚のみ。モネ(印象・日の出、睡蓮など描いた画家)に認められるほど才能はあふれていました。
 岡本太郎さんの自伝、「自分の中に毒を持て」によると、ゴッホの信条は、「絵画とは、画家自身の感情、思想、内面を反映するもの。」追求していってどうしようもないズレを克服できないと悟り、絶望の果てに、ピストル自殺しました。ズレが分かったのは自ら撃った後、すなわち、絵描きを否定したときに初めて追求していた芸術の本当の意味がわかりました。芸術は、それを見極めて捨てたところから、開けるものだと岡本太郎さんは語ります。岡本太郎さんは、1970年の大阪万博のシンボルの太陽の塔を制作するなど、日本を代表する芸術家です。
 死後、テオの奥さんやゴッホの友人によってようやくゴッホが注目されるようになりました。新宿にあるSOMPO美術館のひまわりなど、数々の作品が高額に落札されています。

ゴッホのひまわり

 ゴッホの作品で有名なものは、ひまわりを浮かべる方が多いのではないでしょうか?ひまわりは、1888年に移り住んだフランス南部のアルルで7点の作品が誕生しました。アルルの黄色い家のアトリエに飾るために描いたのが最初のひまわり。印象が尊敬するゴーギャンが来るまで1888年8月に実際のひまわり4点、ゴーギャンが来た後に3点描きました。ゴッホにとって、ひまわりは太陽と光の象徴。ひまわりから、当時のゴッホの揺れ動く心の軌跡が伝わります。背景は、黄色と補色関係にある青色系が多いです。補色を使うことよって、ひまわりが映えます。
 現存しているひまわりは6作品。1点は兵庫県芦屋市で保管されていましたが、太平洋戦争末期の空襲によって焼失しました。1点は、新宿のSONPO美術館で展示されています。
 徳島県にある大塚国際美術館では、7つのひまわりが揃っています。オランダなど世界各地を回らなくても全てのゴッホのひまわりを観ることができます。とはいっても、陶板に忠実に移した作品。大塚国際美術館では、1000年以上、人類が文明を残した証を後世に残すために、陶板に有名な絵画を焼きつけています。忠実に再現しているため、世界の名画が徳島に集結しているかのようです。

大塚国際美術館
営業時間 9:30~17:00
定休日  月曜日
アクセス JR鳴門駅からバスで15分、徳島駅からバスで52分。

ゴッホ展(KADOKAWAミュージアム)

 東所沢駅から徒歩10分。サクラタウンの中にあるKADOKAWAミュージアム。2022年、ゴッホ展が行なわれていました。
 ゴッホ展は、ゴッホの作品を巨大スクリーンに写し込み、絵が生きているかのような演出が見どころでした。時代ごとに変わる印象、自画像も歪んでいるように見えます。
 日本で人気になった歴史について知ることもでき、大正時代に初めて展示会が行われています。


KADOKAWAミュージアムについて、こちらをお読みください。

KADOKAWAミュージアム
開館時間 9:00〜21:00(施設によって異なります。)
定休日  毎月最終火曜日、年末年始
アクセス JR東所沢駅から徒歩10分
料金   https://tix.kadcul.com/?lang=ja参照

明野のひまわり

 韮崎駅からバスで20分。日照時間日本一長い場所が山梨県北杜市明野町。ハイジの村周辺では、7月から8月にかけて、ひまわり畑が広がっています。
夏限定で韮崎駅を出発し、ハイジの村経由、増富温泉郷行の往復6本のバスがあります。
 増富温泉は、日本有数のラジウム泉。皮膚、呼吸器からラジウム由来の放射吸収します。しかし、すぐ排出されるため、人体に影響ありません。鎮痛効果が期待されています。
 つみとり園と呼ばれる農業体験施設に、ハイジの村の近くにある2画の畑に60万本のひまわりが植えられています。卵やお米、野菜など、北杜市で採れた農産物がお土産として購入できます。ブルーベリーの摘み取り体験もできます。
 上から見ると鮮やかな黄色い絨毯が広がり、正面から見ると太陽に向かって咲く大きな花々が観られます。ミツバチにも人気で、蜜を吸うために集まっていきます。むやみに近づかなければ刺される心配はありません。

参考文献


関連記事

この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!