見出し画像

なぜ香川県はうどん県と呼ばれるようになったのか?

讃岐うどん

 秋田県の稲庭うどん、群馬県の水沢うどんと並び、日本三大うどんとして知名度の高い香川県のさぬきうどん。全国各地で展開されるようになり、今では手軽に食べられます。

 香川県内各地にあるうどん屋さん。人口10000人当たりの店舗数、購入額(外食、持ち帰り)、うどん生産量全国一位。(2010年以降は麺類でひとくくりされているため、2009年のデータより)

 今回は、讃岐うどんの特徴となぜ、香川県がうどん県と呼ばれるようになったか、現地に行って考察しました。

特徴

1.弾力性の富んだ強いコシ

 コシの秘訣は、足踏みと塩水の使用。
 小麦粉を塩水で練り、まとめた後、足踏みにより力を入れてこねることにより、コシの素であるグルテンが生まれます。足踏み後、寝かせることによって生地が軟化して適度な弾力が生まれます。
 麺の太さについて定義はないため、自分好みの太さに出会えるか、うどんの食べ比べがオススメ。細いうどんは、ざるうどん用、太いうどんは釜揚げうどんなど、比較的長時間過熱が必要な料理に最適です。

2.イリコの風味のきいたダシ 

 イリコはカタクチイワシの煮干しのこと。イワシがよく獲れ、イリコの生産も盛んな香川県。イリコと北海道産の昆布の出汁をかけた、かけうどんはコシの強いうどんとよく合い、飽きさせません。

3.定番メニューのデパートリーの多さ

 さぬきうどんのスタンダードであるかけうどん。
 濃いめのつけ出汁を大胆にかけて具材とともに混ぜて食べるぶっかけうどん
 醤油をかけていただく生醤油うどん
 冷水で締めたうどんをつけ出汁につけていただくざるうどん
 茹で上がった麺を茹で汁とともにそのまま器に移し、つけ出汁につけていただく釜揚げうどん
 茹で上がった麺を生卵とともにそのまま器に盛り、醤油をかけた釜玉うどん
 といったように、バラエティ豊富なうどんメニュー。
 具材はネギ、天かすのみが多く、シンプル。時々、大根おろし、おろし生姜もあり。好きな量を盛り付けるスタイル。
 筆者が好きなのは、さぬきうどんのコシを楽しめ、出汁の風味も感じられるぶっかけうどんです。

4.豊富なサイドメニュー

 天婦羅、おにぎり、ばら寿司、かやくごはん、おでんとお店によって異なり、バラエティ豊富。うどんと一緒に注文したり、セルフ方式で取っていくスタイルです。ばら寿司は、寿司飯の上に錦糸玉子、紅生姜、椎茸、桜でんぷがのった見た目が鮮やかな寿司です。元々ははれの日のごちそうでしたが、今ではうどんのサイドメニューでも食べられるようになりました。

5.リーズナブルな価格設定

 讃岐うどん巡りもオススメです。小サイズを注文して何軒を回ります。500円あればお釣りが出ます。観光客だけではなくサラリーマンのお財布にも優しい価格設定です。

うどん職人 さぬき麺之介

 今回訪れたお店。高松市、瓦町駅西口から徒歩3分の場所にあります。価格は700円〜と高めの設定ですが、コシの強いモチモチのうどんとイリコの風味が利いた出汁がおいしいです。店は琴電琴平線の沿線のため出口は線路に面しています。そのため、電車が来ないか確認してから出ましょう。また、電車も眺めることができ、鉄道好きにはたまらないうどん屋さんです。

ぶっかけうどん

Q.なぜ、香川県は「うどん県」と呼ばれるのか?

 →県内で材料がすべて揃う+香川県のアピール戦略

1.うどんの材料が揃う

 讃岐うどんの材料は、小麦、塩、いりこ、醤油とシンプル。香川県内ですべて生産されています。

a.小麦
 香川県は瀬戸内海に面しており、海を挟んで北側は中国山地、南側は四国山地、讃岐山地に挟まれています。夏は太平洋から、冬は日本海から湿った季節風が吹きますが、山々に越える頃には乾燥した風になり、年中温暖少雨になります。さらに、讃岐平野は扇状地も多く、水はけが多いです。香川県の気候と地形から、節水要請が出るほどの水不足に悩まされることがあります。そのため、稲作より乾燥に強い小麦の栽培の方が向いており、盛んに栽培されています。電車の車窓からも麦畑、ため池が多く見られます。

b.塩
 瀬戸内海は遠浅で晴天の日も多いです。遠浅の海は塩田をつくるのにて適しており、塩の生産が盛んでした。瀬戸大橋のふもとにある道の駅 恋人の聖地うたづ海浜公園では、江戸時代~1950年代に使用されていた塩田を再現しています。ここで見られるのは、入浜式塩田。潮の干満差を利用して満潮時に塩田に海をを浸透させ、太陽熱で水分が蒸発すると塩田の砂に塩分がつき、かき集めて海水をかけて濃厚な塩水をとり,で煮つめて行う製塩方法です。

c.いりこ
 カタクチイワシから作られる煮干し。瀬戸内海はイワシの好漁場であり、獲れたてのカタクチイワシを香川県西部に浮かぶ伊吹島などで、すぐ加工することで上質ないりこを生産しています。

d.醤油
 香川県は醤油の生産量5位。半数は香川県東部に浮かぶ小豆島で作られています。小豆島の醤油は約400年前、小豆島へ来島した大阪城築城の採石部隊が、紀州湯浅の醤油を調味料として持ち込んだのがはじまり。湯浅の醤油に興味を持った小豆島島民が、湯浅で醤油づくりを習得し、技術を島に持ち帰って誕生。小豆島醤油の特徴は昔ながらの木桶で作られていること。また、年中温暖で昼は海から湿った風、夜は山から乾燥した風が吹き、発酵に最適な湿度をキープできることも醤油つくりが発展した要因となっています。

2.経済の発達

 本州、特に関西から近いため、香川県は政治、経済、文化、交通の中心地、四国の玄関口として発展。
 うどんはサラリーマンのランチとして定番になりました。経済が早くから発展したため、生活は堅実、価格意識も強く、お金に細かい県民性があります。ちなみに、香川県民はうどんを基準にお金の価値を判断します。うどん何杯分と計算し、比較して判断します。
 今では専門店が増えましたが、かつては、喫茶店、お好み焼き店、スナックでも見られました。

3.香川県の取り組み

a.さぬきうどん学校
 株式会社さぬき麵機では、製麺、だしの取り方、天麩羅の揚げ方から、さぬきうどんの歴史、定義まで学ぶことができます。また、起業についても学ぶことができるため、コース修了後の独立も目指すこともできます。2,4日間コース、遠方の方のために全国8か所で受講できるなど選択肢が多数。詳しくは、こちら

b.うどん県
 香川県の観光協会は2011年10月、うどんのアピールのためにうどん県特別サイトを開設。うどん県副知事として俳優の要潤さんを起用するなどの力を入れていました。10年経った今では、香川=うどんのイメージが定着。うどん県のHPはこちら

香川県で讃岐うどんの食べ比べをしたい方は、こちらのサイトを参照ください。

関連記事


よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!