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【2024年バレンタインデー】北海道でチョコレートの歴史を学んできた

結論

  • 南米で薬としての利用から始まったことは、ロイズタウンで学んだ。

  • ヨーロッパに伝わって、口に合うように甘く味付けしてからスイーツになったことは、白い恋人パークで学んだ。

  • 戦争による結婚禁止から始まったバレンタインデーの歴史は一冊の本から学んだ。


2月14日はバレンタインデー

欧米では、聖バレンタインに祈りをささげる日、日本では、チョコレートを渡す日として定着しています。日本では、欧米の儀式をビジネスとして取り入れています。クリスマス、ハロウィンでも同じ傾向です。海外では、カードや花束、お菓子などを贈る地域もあります。

1週間前、バレンタインデーで畑からつくったチョコレートを渡す方法を紹介しました。


今回の参考文献

チョコレートに関する歴史、用語がまとめられた一冊。チョコレートについて詳しく知りたい方にとって入門書のような本です。

バレンタインデーにチョコレートを渡す文化が誕生した理由

起源は、269年2月14日に処刑された、司祭ウァレンティヌス(ヴァレンタイン)をまつることでした。当時のローマ帝国が戦争のための兵士を確保するため、若者の結婚を禁止にしてました。司祭ウァレンティヌスは、それをかわいそうに思い、若い兵士の結婚式を内緒で行っていました。それが、ローマ帝国にバレてしまい、処刑されました。死後、司祭ウァレンティヌスは、「聖バレンタイン」という聖人として、広く知られるようになりました。

ローマでは、司祭ウァレンティヌスが処刑された2月14日を祝日にして聖バレンタインに祈る日として定着しました。14世紀頃から、恋愛関連のイベントに変化したといわれています。

日本では、ビジネスとして発展しました。1936年、神戸市にあるモロゾフがバレンタインデー向けのチョコレートを発売したことが初めてのバレンタインデーセールです。太平洋戦争を経て、1956年不二家がバレンタインデーセールを行い、1958年には、デパートにも広がりました。「バレンタインにはチョコレートをプレゼントしよう」という広告、キャンペーンが展開され、全国に普及しました。

現在の日本では、1月下旬になると全国各地のデパートやスーパーなどで国内だけではなく、欧米の名店も集まり、バレンタインデーフェアが行われています。さまざまチョコレートに出会うことができ、プレゼントしたり、自分へのお土産にするのも一つの楽しみです。

バレンタインデーは、めったに出会えないチョコレートに出会って楽しむ日として、毎年、自分のために買っています。


チョコレートの歴史

カカオは、元々、中南米の熱帯地域で自生していました。5000年前には、エクアドルで食べられており、約3000年を経って、中央アメリカでも利用されるようになりました。当時は、カカオを「神の食べもの」と信じられ、神具や通貨にも利用されていきました。税金も給料もカカオ豆で支払われていました。カカオ豆1粒でトマト1個、3粒でアボカドを1個買うことができました。

当時の飲み物は、カカオ豆をすりつぶし、水、唐辛子、とうもろこしなどを混ぜたどろどろの液体で、甘味がなくスパイシーなドリンクでした。カフェラテのように、高いところから容器に注いで泡立ててカカオドリンクを作りました。位置エネルギーによって泡立てることにより、舌に直撃する量を減らすことができ、苦味や酸味がある程度緩和され、口当たりがよくなります。カカオ豆は貴重だったため、薬として王族、貴族など身分の高い方だけに飲まれました。

16世紀の大航海時代、コロンブスによってカカオがスペインに持ち込まれました。そのときに、「アステカ帝国では、ショコラトルというカカオ豆を使った飲み物が作られている」と伝えました。紀元前から南米で飲まれていたショコラトルは、ヨーロッパに伝わっても、滋養強壮の薬として一部の特権階級しか飲むことができず、16世紀までスペインが独占していました。ショコラトルが苦すぎて飲めなかったため、ヨーロッパでは、口に合うように、蜂蜜、砂糖、バニラを入れて、チョコレートを甘くし、温めて飲みました。17世紀に入って砂糖やシナモンなどのスパイスが普及し、さまざまなアレンジのショコラトルを楽しめるようになり、イタリア、フランスなど他のヨーロッパ諸国へ広がっていきました。

札幌市にある白い恋人パーク内の博物館では、17世紀のヨーロッパで使用されていたチョコレートドリンクを飲むためのチョコカップ、チョコレートポットなどの食器が展示されていました。高価なドレスを汚さないための工夫や、熱々のドリンクを冷ますための工夫などが見られます。

18世紀までのチョコレート飲料は、焙煎したカカオ豆をそのままペーストして、お湯で薄めて作っていました。先日話したカカオ豆(畑)から手作りチョコレートをつくる話とにています。しかし、この方法では、カカオ豆に含まれる脂肪分はカカオ豆の半分を占めているため、水となじみにくく分離しやすい飲み物になり、濃厚すぎてもたれます。発酵したときの酸が残り、お酢のようなにおいが強いことも課題でした。

1828年、オランダのC.Jバンホーテンが、酸を抑えるため、アルカリを混ぜ、中和させてお酢の香りを除去する「ダッチ プロセス」技術を開発しました。圧縮機でカカオ豆を絞って固形分のカカオマスと脂肪分(カカオバター)に分離させる技術も開発しました。その結果、ショコラトルはサラサラと飲みやすくなり、ココアが誕生しました。それが、現在も販売されているバンホーテンココアです。

1847年、イギリスのお菓子職人のジョセフ・フライが現在のチョコレートを開発しました。一度分離させたココアバターとカカオマスをある一定の割合で混ぜ合わせることによって、チョコレートが固形化することを発見しました。それによって、携帯性と保存性が向上し、手軽に食べられるようになりました。

1876年にスイス人のダニエル・ペーターが粉末ミルクがカカオバターと混ざりやすいことに気づき、ミルクチョコレートを発明しました。

チョコレートの日本史

日本には、1797年、オランダから出島に伝わりました。当時は、「しょくらあと」と記載されていました。明治時代から製造が始まり、「猪口令糖(ちょこれいとう)」と言われていおり、新聞の広告にも掲載されました。大正時代に入り、森永製菓や明治製菓が創業し、カカオ豆からチョコレートが大量生産されるようになりました。

戦後、1952年の砂糖の自由販売、1960年のカカオ豆の輸入自由化が進み、チョコレートの製造が本格化されて消費が急増しました。同時期にデパートでもチョコレートの販売が始まりました。

北海道のお菓子御殿

北海道は、広大な土地を活かして農業や酪農が行われており、農産物、畜産物を活かしたさまざまなお菓子が誕生しています。その中でも、今回は、生チョコで有名なロイズと白い恋人で有名な石屋製菓について解説します。

ロイズ

ロイズは、「北海道で本場ヨーロッパに負けないチョコレートをつくりたい」という想いから、1983年に札幌で創業しました。板チョコ、クッキーを経て1995年に看板商品となる生チョコレートを販売しました。カカオ栽培から始めるなど、今も挑戦し続けていました。

ラーメンチョコレート、ポテトチップチョコレート、ピザクッキーなど意外だけどおいしい組み合わせも生み出しています。

ロイズカカオ&チョコレートタウン

札幌の北東部に面している当別町にロイズの工場があります。ロイズは工場を追加し、博物館、直売所、カフェを併設させた施設をつくり、2023年8月4日にオープンさせました。最寄駅はロイズタウン駅というロイズも出資して作った新駅です。徒歩だけではなく、無料の送迎バスで行くことができます。

ロイズタウンでは、畑からチョコレートができるまでのストーリーを身体を張って楽しみながら学ぶことができます。畑からつくったカカオを使ったチョコレートの商品、ロイズタウン駅グッズなど、ロイズタウンに行かないと買うことのできない商品も揃います。カフェには、ロイズタウン限定のチョコレートドリンクもあります。

白い恋人パーク

白い恋人で有名な石屋製菓の創業者の夢が詰まったお菓子のテーマパーク。博物館は江戸時代辺りの西洋のアンティークのコレクションを観ながら、西洋のチョコ文化の歴史を学べます。城内は、当時の王侯貴族の部屋が忠実に再現されています。レストランもあり、白い恋人パークに行かないと食べられない限定メニューもありました。

外はパンジーが見頃を迎え、遠くから観ると作品になっており、美しいです。建物群は、レンガ式のタワーなど、グレートブリテン島中西部の古都チェスターをモデルにし、室町時代の英国の街並みを再現しています。塔を中心とし、鉄道駅舎、ゲストハウスをイメージした建物となっています。カーリング場、サッカー場も併設されており、サッカー場は、コンサドーレ札幌の練習場に指定されています。

石屋製菓は、1947年、政府委託のでん粉加工業から始まり、駄菓子製造に携わるようになりました。時代の流れに沿って1960年代後半、西洋菓子屋さんに転身し、1974年、白い恋人を生み出し、ここから急成長し始め、北海道有数のお菓子メーカーになりました。

看板商品の白い恋人は、創業者がスキーの帰りに、降り出した雪を見て、何気なく「白い恋人たちが降ってきたよ」というつぶやきが由来しています。
物価の高騰よりも本物志向を貫いて作りました。


今回は、バレンタインデーにチョコレートの歴史を5000年間振り返りました。1週間前のカカオ栽培からチョコレートを作る方法と一緒に読むと、チョコレートについて、周りの人よりは詳しくなると思います。

今年のバレンタインデーもいただくこともなければ、渡す予定もありません。今年は、畑から作ったチョコレートをオンラインショップで買っていただきます。

参考文献

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