松田佑介

アメリカ理系大学院留学中に学んだ学術論文・テクニカルライティングの書き方を紹介します。

松田佑介

アメリカ理系大学院留学中に学んだ学術論文・テクニカルライティングの書き方を紹介します。

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#1 英文テクニカルライティングの書き方

僕は、アメリカ理系大学院で博士号(材料工学)をとりました。日本で修士号を取り社会人として3年半働いてからの留学です。自分がやりたい研究が思う存分でき、楽しかったのですが研究成果を学術投稿論文にまとめるのに苦労しました。 最初の論文は大変で、学会誌に投稿するまでに指導教官から原稿を何十回も直されました。修正箇所は見違えるほど良くなりましたが、文法が間違っていたわけではなく修正理由がよくわからなかったため自分で原稿を直すことができず困ってました。 僕の指導教官は学生と一緒に原

    • #9 トピックストリングを使って段落中の文章の流れをよくする その2

      トピックストリングを改善するテクニック前回の記事ではトピックストリングの概念を紹介しました。トピックストリングをよくすることで段落の焦点が定まり読みやすくできます。 今回はトピックストリングをよくする下記テクニックを紹介します。 1.Known-to-Newと強調の原則を原則をつかう基本的に、両原則を使うとトピックストリングがよくなります。理由は前回説明しました。まだライティングに不慣れな方や伝えたい内容がまだはっきりしない時におすすめです。 2.段落最初の文でトピック

      • #8 トピックストリングを使って段落中の文章の流れをよくする その1

        はじめに今までの記事では、Known-to-Newの原則と強調の原則を使い文単位で文章の流れをよくする方法を書いてきました。 今回から、段落単位で文章の流れをよくするのに役立つトピックストリングについて書いていきます。 トピックストリングを使うと段落内での文章の最適化はかんたんな連立方程式やパズルを解くようになります。例えば、段落最適化の一部は後述するように、既知・未知の情報や強調部分を並び替えて焦点の定まったトピックストリングを作ることで達成できるからです。 トピック

        • #7 文章の流れをよくする強調の原則 その3:テクニック編2

          はじめに前回の記事では、文章の流れをよくする強調の原則(強調したい点は文末に書く)を用いるのに役立つ文法テクニックを紹介しました。今回は、このテクニック等を使いながら強調の原則を実際の論文の文章に当てはめてみましょう。 強調の原則は一文内での文章の流れをよくする以外の利点(段落内の最適化)があることも触れます。 例文(論文の一段落を引用)例文(*)(**)は強調部分が先頭に書かれたり既知・未知情報の順番が入れ替わっています。強調の原則とKnown-to-Newの原則を当て

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        #1 英文テクニカルライティングの書き方

        • #9 トピックストリングを使って段落中の文章の流れをよくする その2

        • #8 トピックストリングを使って段落中の文章の流れをよくする その1

        • #7 文章の流れをよくする強調の原則 その3:テクニック編2

          #6 文章の流れをよくする強調の原則 その2:テクニック編1

          はじめに前回の記事では、文章の流れをよくする強調の原則を紹介しました。強調したいことは文末に書くという原則です。Known-to-Newの原則(記事1、2、3)と組み合わせるとより強力に文章をいきいきとすることができます。(強調の原則とKnown-to-Newの原則は例外があります。この点はあとで記事にします。) 今回は、強調の原則を使うための以下のテクニックを紹介します。 1. There is/are 構文を使うThere is/are構文はbe動詞の後にくる部分の強

          #6 文章の流れをよくする強調の原則 その2:テクニック編1

          英文テクニカルライティングで僕が伝えたいこと

          「小さな違いは大きな違い」僕が尊敬する日本時代の指導教官の研究モットーでした。ほんのちょっとしたことが大きな違いになる。ぼんくらだった僕はあまり実感がわかなかったけど、今はほんとうにその通りだと思う。 英文テクニカルライティングも同じ。ちょっと単語の順番をかえるだけで読みやすさやニュアンスが変わってしまう。 僕はこのちょっとしたことを、きちんとする方法と理論をアメリカ大学院時代にテクニカルライティングの師匠であるClaude Reichard博士から学びました。博士は、美

          英文テクニカルライティングで僕が伝えたいこと

          #5 文章の流れをよくする強調の原則:強調したいことは文末に書く

          前回までのまとめ前回まで、文章の流れをよくするKnown-to-Newの原則を紹介してきました。英文テクニカルライティングでは既知(Known)の情報を未知(New)の情報よりも先に書こうという原則です。この順序が逆になると文章は読みにくくなります(参照記事)。また、既知と未知の情報を並び替える具体的なテクニックも紹介しました(参考記事)。 強調の原則今回から、同じく文章の流れをよくする強調の原則を紹介していきます。強調といっても、英文法で勉強したIt is ~ thatや

          #5 文章の流れをよくする強調の原則:強調したいことは文末に書く

          #4 文章の流れをよくするKnown-to-Newの原則 その3

          同一文内でKnown(既知)とNew(未知)を入れ替えるテクニック前回は、一つの文内で既知と未知の情報が適切な順序でないと文章が読みにくくなることを紹介しました。今回は、同一文内で情報を既知から未知の順番にするテクニックを6つ紹介します。 1.Be動詞を挟んで主語と述語を入れ替えるこれは比較的シンプルです。前回と同じ例文(*)を使います。 この例文は未知の情報が既知の情報よりも最初に書かれています。 [To develop the high-speed (>10 kHz

          #4 文章の流れをよくするKnown-to-Newの原則 その3

          #3 文章の流れをよくするKnown-to-Newの原則 その2

          1.Known-to-Newの原則とは前回の記事では、Known-to-Newの原則を紹介しました。Known(既知)の情報をNew(未知)の情報より先に書きましょうというシンプルな原則です。同原則を適切に用いると文章の流れがよくなります。 今回は、同原則を用いて1つの文内での情報の入れ替えをします。同原則の有効性をはかるために、あえて未知の情報を既知の情報の前に持ってきます。 2.Known-to-newの原則が適切に使われた例文まず同原則が適切に使われた例文をネーチャ

          #3 文章の流れをよくするKnown-to-Newの原則 その2

          #2 文章の流れをよくするknown-to-Newの原則 その1

          はじめに自分の書き上げた論文の草稿がなんだか読みにくい、生き生きとした英語にならない、つまるところ、文章の流れがよくないということがありませんか? 文章の流れは英語でFlowもしくはCohesionといい、これがよくないと論文は読みにくくなります。この原因は様々ですが、1)文の順序が適切ではない、2)文中での単語の順序が適切ではない、といった文や単語の順番に起因ことが多くあります。これらの順番を最適化する方法はいくつかあり、今日は特に強力な”known-to-newの原則”

          #2 文章の流れをよくするknown-to-Newの原則 その1