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#6 文章の流れをよくする強調の原則 その2:テクニック編1

はじめに

前回の記事では、文章の流れをよくする強調の原則を紹介しました。強調したいことは文末に書くという原則です。Known-to-Newの原則(記事1)と組み合わせるとより強力に文章をいきいきとすることができます。(強調の原則とKnown-to-Newの原則は例外があります。この点はあとで記事にします。

今回は、強調の原則を使うための以下のテクニックを紹介します。

1. There is/are 構文を使う

There is/are構文はbe動詞の後にくる部分の強調に有効です。

例文)The clear opportunity to increase our profit margin by developing new products for new markets exists. 

強調する必要のないexistが文末にあるので下記の様に変更しましょう。

変更後)There is a clear opportunity to increase our profit margin by developing new products for new markets(強調).

訳)利益率向上のために、新マーケット向けの新製品を開発する機会がある。

注意点は、There is/are構文は単語を2つ余分に使い、There is/are自体は何も指しません。全体の文章の流れがよくなるかしっかりと確認しましょう。

2. 受動態と能動態を入れ替える

強調部分が主部にある場合、態を変えれば簡単に文末に移動できます。これは前回紹介したので例文は省略します。

3. 強調構文を使う

What強調構文を使うと強調部分を文末に移動できます。例文はキッシンジャー氏のThe Economistへの寄稿記事からです(素晴らしい内容だと思うのでテクニカルライティングではないですがお勧めです)。

A conceivable alternative combining achievable objectives had been neglected. 

強調構文を使うとぐっと文が締まりますね。もちろん下記が原文です。

What had been neglected was a conceivable alternative combining achievable objectives(強調)

訳)実現可能な目的を伴う代替え案はそれまで考えられてこなかった。

4. 長い文を短くする

長い文章の方がなんとなく論文が格調高くなったような気がする時がありませんか?しかし、文章が読みにくくなっては本末転倒です。読みやすい長さで文を区切りましょう。これは次回の記事で実際の論文を使った例を書きます。

5. 長い文を2節に分ける

長い一文を短い2節に分けると、それぞれの節で強調部分ができ読みやすくなる場合があります。

例)Our lack of full measurements of the rate of plastic strain accumulation in thermal cycling tests makes it impossible to make predictions about the timing of the occurrence of material failures(強調).  

上の例文は長い一文でとても読みにくいです。接続詞を用いて2節に分けます。

変更後)Because we do not fully measure the rate at which plastic strain accumulates in thermal cycling tests(強調), we can not predict when materials fail(強調).

訳)我々は熱サイクル試験中に塑性ひずみの蓄積速度を測定していないので、いつ材料が壊れるか予測することはできない。

かなり読みやすくなったと思います。強調部分は2か所になります。一番の強調部分はもちろん文末です。

6. 文末の不要な単語を消去する

例)The unemployment issue in the country encompasses economics, politics, sociology, technology, and several other factors(強調).

最後の部分をなくした方がすっきりします。

変更後)The unemployment issue in the country encompasses economics, politics, sociology, technology(強調).

訳)その国の失業問題は経済学、政治学、社会学やテクノロジーに起因する。

まとめ

文章を読みやすくする強調の原則を適用するために使えるテクニックを紹介しました。次回は、このテクニックを使って実際の論文を読みやすく変更します。


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