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創薬企業分析:Roivant Science & Datavant

こんにちは。TechDoctorインターンのMarkです。今月(2021年5月)は新型コロナウィルスのワクチン特許を巡り経済に動きがみられましたね。非常に短い期間で開発されたことを鑑みて、当たり前のことですが製薬業界でも技術は進化しているのだなと感じました。これまでここでまとめさせてもらって来た企業様達と同様に、やはりデータを活用し技術面だけでなく社会構造面からも課題解決に取り組むことで企業という組織は成長するのだなと思います。

さて、今回は技術、ビジネス双方の観点からビジネスモデルを展開し、製薬業界で成長を続けるRoivant Sciencesとその子会社で臨床試験データの広範囲な活用に取り組むDatavantという企業を紹介したいと思います。

Roivant Sciences

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Roivant Scienceは2014年にVivek Ramaswamyによって設立された製薬企業です。ただ、製薬企業と言ってもその成り立ちとビジネスモデルは少し風変わりです。

創業者Vivek Ramaswamyは高校卒業後にハーバード大学で生物学の学士を取得し、22歳でQVT Financialというヘッジファンドでアナリストとして勤め始めました。QVTで働く中で彼は生物学の知識を活かし主に製薬企業の投資に携わります。また彼は同時にイェール大学で法学の博士号を取得し、その後28歳でQVTのパートナーとなりました。

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2014年にQVTを退社しQVTやDexcel Pharmaなどから1億ドルの支援を受けValor Biotechnology Inc.(後のRoivant Sciences Inc.)を設立します。

そしてRoivant Scienceの子会社として立ち上がったAxovant Sciencesは当時GlaxoSmithKlineという製薬会社が開発途中だったアルツハイマー病の治療薬RVT-101を500万ドルで購入しました。この薬はこの時点で既にPhase 2(有効性と安全性の研究段階)にありましたが、規制の認可に要する時間や臨床試験登録基準を満たす患者の利用可能性などの問題から売却されることとなりました。

またAxovant Sciencesはその翌年Arena Pharmaceuticalsという製薬会社から不眠症治療薬ネロタンセリンの開発、商品化の権利を得る契約を結びました。ネロタンセリンはそれまでに900人以上の被験者を対象とした複数の臨床試験で研究されており、Roivant Scienceは不眠症以外の神経疾患の患者を対象に、神経精神障害の治療のための第2相臨床試験を開始しています。

Axovant Sciencesはその後IPOに踏み切り、3億1500万ドルを調達。時価総額29億ドルの企業となりました。また2018年にはソフトバンクビジョンファンドから11億ドルの資金提供を受けています。

Roivant Sciencesとその子会社はこの様に企業から開発途中の薬品を購入し、その継続的な開発とマーケティングを行うことで利益をあげるビジネスモデルで成り立っています。

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Datavant

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2017年Rivant Sciencesという製薬企業から派生した子会社で臨床試験などのデータ運用と実際の治療におけるデータを用いて治療や研究の為の分析に取り組む会社です。

LiveRampというデータのオンボーディングを提供する企業の共同創設者兼CEOだったTravis May氏がCEOに就任

Datavantは当時の医薬品業界が他の業界よりも企業間で共有されるデータが少ないことから製薬課程の臨床試験データを病院や研究施設などと共有し臨床試験や治療における時間とコストの削減に繋がり成功率もあげることに貢献しています。

創業時からRoivant ScienceやTravis May氏などの個人投資家から資金を得ており、2019年に研究, 政府機関など40以上の組織に同じくデータリンクソリューションを提供していたHealth Link Dataを買収。2020年にTransformation CapitalからシリーズBで4,000万ドルの資金調達に成功しました。

現在は2,000万人を超える患者のデータを含む85の異なるデータセットを有しています。


最後に

今回はDXが創薬業界に与える影響について一組の親会社と子会社のビジネスモデルを挙げてまとめさせて頂きました。以前取り上げた「非構造化データの活用: 医療の効率を上げる企業達」でも紹介した様にデータを構造化し活用する医療は今後さらに飛躍すると思われます。そのデータは創薬業界にも活き、また臨床試験データなどを医療, 研究開発に応用することで相乗効果が生まれます。AIによる新薬開発技術の発展も見られることから創薬業界にもデジタルトランスフォーメーションによるブレイクスルーが起こされる未来が近いと思われます。


弊社ではウェアラブルデバイスのデータを活用した精神疾患の研究を行っています。ご興味ある方は是非お気軽にご連絡下さい。
TechDoctor株式会社:https://www.technology-doctor.com/


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