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不可視を表現する。

会いたくてもすぐには会えない 親友(戦友)たちと言葉で今もつながっている。大切な人の紡ぐ言葉で今も支えられている。
旅の帰りに新幹線に乗車していたあの夜。送られてきたラインが懐かしかった。時間軸を超えて スマホ画面に送られてきた言葉。あの頃もあの子の言葉で支えられていたことを思い出して泣きそうだった。
言葉を紡ぐには、想像以上の根気と情熱と時間が必要で、それらをかけて言葉を送ってくれる友人たち。まさに、愛が言葉に変換され届けられているようで、愛が可視化されて綺麗だった。。。

昔から、目に見えないものが好きだった。小学生の頃から無意識化で目には見えなくて言葉にならない感情を詩や絵として表出させて世界とつながっていた。そんな私は、いつしか可視化できないものを言葉に変える詩人になりたいと思うようになっていた。これからも自分を救うために自己表現を続けるが、それがいつか誰かの可視化できない感情に寄り添う媒体になれれば嬉しい。
あれから時を経て上京し、あの夢を秘めて社会人生活を送っているが可視化できないものは、人からもらって嬉しい。世界のどこにいても。その中でも特に、可視化できない思いを伝える媒体として手紙と花が好き。この世界を彩る言葉の塊と色彩。
手紙を書く作業は、目に見えない想いを時間をかけて可視化させる作業で、かけがえのない時間の消費。手紙を書くことで消費された時間は、生きた軌跡となる。だから、私も生きている限り大切な人に命を削って手紙を書き続けたいと思う。
花は、理由もなく魅せられてしまうもの。なぜ魅せられるかと考えて、最近行きついた答えがある。一つは、母と祖母が花を愛しているから。二つは、大切な人に花を贈る文化はまるで、花の声なき声からできた言葉を送るようで美しいから。最後に儚く美しい花はいつか枯れてしまうが、その過程は人間に近しく尊敬する。大学時代出会った詩人の高田敏子さんの好きな詩がある。

花は咲く 誰がみていなくても
花のいのちを美しく咲くために
小鳥は歌い 空を飛ぶ
小鳥は小鳥をよろこび生きるために
樹は茂る 魚は泳ぐ
樹であり 魚であることのために  
人は
人であるそのことのために生きているかしら? 人は人であるそのことを
いつも思っているかしら?
きのう 私がしたこと
きょう 私がしようとすること
人であるそのことにかたく結ばれているかしら?樹や花や小鳥や魚のように 
人であるそのことを美しく生きているかしら? 樹や花や小鳥や魚を
美しいと ただ見るだけではなくて

高田敏子「美しいものについて」
個人的に自然に魅せられているだけでなく、人間も花のように輝こうというメッセージを受け取った詩。私も花のように美しく咲きたい。花のことを尊敬している。

最後に、大切な人々は元気であろうか。この見えない想いが届くであろうか。大学時代、校庭を二人占めして星を眺めながら 果てない空へと希望を託した友。「あの星のように輝こうね。」と臭いことを言った友。バブル期から存在する喫茶店で強い女性になろうと誓い合った友。一緒に制作をした友。すてきな3人組になろうと誓った友など、、。書ききれない友だちとの日々を忘れないために、これからも目に見えない感情を表現していきたい。遠く離れてしまったけど、みんな同じ空の下、今日も見えない日々を送り太陽が沈む。


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