『君の不幸が消えないならば、世界をひっくり返すまで。』第20話
第20話「火花」
万が一でも逃げることがないように、と縛られた次郎丸を見つめながら、朧は懐に忍ばせた煙玉をいつでも投げられるように構えていた。
この時代に煙玉などなかったと思うが、幼い頃から何があっても逃げて生き延びられるように、色々と勉強していたことがこんな所で役に立った。
(やはり、朝霧満彦は外道だ)
次郎丸に語った「我々が正しく、お前達が間違っている」という話も、それに対して次郎丸が反発した際に言い放った「死ね」という言葉の冷酷さからも、倫理観をまるで持っていないのが