『君の不幸が消えないならば、世界をひっくり返すまで。』第18話
第18話「炎」
満月のおかげで、山中でも前方が見やすい。
せめて供の者をつけてください、と泣く女性たちに「言いつけを破るのは私たちだけで充分です」と言って、小夜は小緑を連れ、朝霧の屋敷へと向かって走っていた。
二人には見えていないので知る由もないだろうが、勿論、あやめもついて来ている。
「これだけ明るい光があるのは、私たちにはありがたいことだけれど……、」
走りながら、小夜が不安そうに眉を寄せた。
「次郎丸さんたちにとっては、分が悪いわ。闇に紛れて動けない……」
「急がなき