見出し画像

なんだかあそびたくなっちゃう!家族のあそびとは?ー「家族のあそびレシピ」レポートVol.2ー

家族を取り巻く「ひと」「もの」「こと」を含め、「チーム」として仕事と家事の両立を提案する「チームわが家」。(株)MIMIGURIの田端さん&臼井さんに伴走いただきながら半年間にわたり改めて「チームわが家って何だろう?」という問いを考えました。

その結果、「対話は大事!」と風紀委員的に説くのではなく、もっとシンプルに「家族であそぼう!」を促していけば良いのでは?という着地点に到達。

そこで、普段から遊ぶように何かを創り出しているクリエーターの皆さんの力を借りながら、「なんだか自然とあそびたくなっちゃう家族のあそびを考える」非公開のワークショップを開催しました。

前回に続き、ワークショップをフリーライターの黒澤真紀さんにレポートいただきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

田植えワークをやってみよう!

4名のクリエイターの自己紹介のあとは、遊びのアイデアを出し合うワークショップ、〝田植えワーク″が行われました。参加者はMIMIGURIのメンバーやこれまでチームわが家に関わってくれた方10名程度。ファシリテーターの臼井さんがやり方を説明します。

横軸は「家族が持っている資源」、「お金」、「親子の関係」、「心の余裕」、「家電」、「地域の風景・地域の関係性」、「仕事・仕事場」など、縦軸はタスク。交わったところに〝あそびになりそうなアイデア″を付箋に書いて貼っていきます。

例えば、横軸「親子の関係性」×縦軸「料理」のクロスするところに「子どもに料理をしてもらう」と書いた付箋を貼る。これは、今までは親がご飯をつくって子どもが食べるのが当たり前でしたが、立場をひっくり返すことであそびにつながるのでは?というアイデアです。

田植え用の田んぼ。真ん中に″あぜ道″もあります

「家事が〝あそびの苗″になるようなイメージです。それを実らせて収穫してレシピにしたい」(臼井さん)。それぞれが付箋とペンを持って、〝田んぼ″のまわりをぐるぐる回り始めました。

普段やっていることはあそびの種になる

10分間×2回のワークで付箋はかなりの枚数に。ずらりと並んだ付箋をみながらそれぞれが感じたことを話し合います。

近くにいる人と付箋を見ながら感じたことを共有

「親子の関係」×「お風呂」を例にとると、おもちゃやスポンジをスプラトゥーンの武器に使って遊ぶ、シャンプーを泡立ててサイヤ人の髪型にしてみる、ぬいぐるみもお風呂に入れて一緒に泡立てて洗うなど、さまざまなあそびがありました。「家電」×「洗濯」では、洗濯機の使い方と洗剤の量の説明を呪文風にして、子どもが一人で楽しく洗濯ができるようにしている家庭も。

田んぼには「あそびの苗」がいっぱい!

最初は付箋を見ながら話していましたが、次第に各家庭のエピソードを織り交ぜたアイデアトークが広がっていきます。

「押入れでご飯を食べるのも子どもは好きそう」
「隠れてお着替えっていうのも楽しいよね。お母さんとお父さんが見つかる前に着替えてね。10数えたらいくよ、みたいな言い方がいいんじゃない?」
「それは掃除でも使えそう。ママがあっち行ってる間にピカピカになってたら驚くよ、とかいうだけで子どもはがんばりそう」
「逆に、1分以上お掃除してはいけないっていう言い方はどう?」
「~してはいけない、は子どもがめっちゃ好きそう。ゲームも無限にできるね」「寝かしつけサービスとか。親を先に寝かしつけれたら子どもの勝ちっていうルールで」
「意外と、夫婦間でも全然シェアしてなかった小さなこともあった」という気づきもありました。

付箋に書かれた「あそびの苗/種」に触発されながら、どんどんアイデアが出てきます

「どれも、あそびの種にはなりそうですね」と臼井さん。林田さんも、「普段やっていることに、何をどう付け加えるかですね。アレンジや見せ方次第ですごく変わると思います」と話します。「ネーミングが大事」と藤原さん。「あえて大人が使う〝研修″を使ってみるとか」。

あそびの種を生かして何ができるか。妄想がどんどん広がります。

ワークと話し合いを通じて、「普段やってることに名前をつけるだけであそびになる」ことに気づき、日常の中で特別感を出す、役割を交代する、時間や場所を制限するなどの見せ方が大切なのだと気づきました。

「考えなきゃ」はきゅうくつ

続いて、付箋の中から気になったものをいくつか選び「あそびレシピ」を作ります。臼井さんは、「誰かが作ったあそびをレシピとして崇めるものではありません。強要になりすぎないように、付箋を眺めているうちに頭の中に浮かんでくるものをレシピ化できるといいですね」と話します。

「うちバージョンだとこうやるな」とイメージをかき立てられた人がいた一方で、「一言にあそびと言ってもいろいろなやり方があるので、レシピ化は難しいのでは」という意見も。「田植えワークをやらなきゃ、考えなきゃ、と言われるとちょっときゅうくつかも」の声も上がりました。

実は、田植えワークを清書してまとめようとした途端に意見が出なくなったそう。このことからも、「きちんと感」に抵抗を示す人が多いのだとわかります。

レシピはいっぱいできたけれど、田んぼの時のような盛り上がりはなく。。。ちょっと窮屈?

「付箋に書いたのはあくまであそび。レシピのようにこれによって何かを得なければという感じがなくて楽しい」という声もありました。

ルールに縛られなくても、それぞれの家族のチームでやりやすいところに落ち着くのが良いはず。「日常のあそびをレシピ化する」ということをやってみて、必要なのはレシピではなく、#(ハッシュタグ)くらいのふんわりしたものかもしれないということがわかりました。

最後に、ワークを振り返ります。→vol.3へ

◎参加メンバー
クリエーター
佐藤蕗 手作りおもちゃ作家
ミヤザキユウ ボードゲームデザイナー
藤原佳奈 演劇家
山口祐加 自炊料理家

レコーディング
宮地龍馬(映像クリエーター)
さのはるか(グラフィックレコーダー)

主催
株式会社MIMIGURI
臼井隆志
田幡祐斤
押田一平

wonderlife LLP
林田香織

◎ライティング
黒澤真紀:フリーライター。都内学習塾に勤務した後、2011年フリーライターに転身。お茶の水女子大学大学院修了。社会科学修士。教育、医療分野を中心に取材と執筆を行う。小学生から高校生までの問題集執筆や模擬試験問題の作成にも携わる。男児2人の母。