藤原佳奈

演劇家。はたらき見つめて結び目づくり。

藤原佳奈

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マガジン

  • 「近くて遠い韓国を想う」韓国現代戯曲創作メモ

    日韓演劇交流センター企画・韓国現代戯曲ドラマリーディング『青々とした日に』は、『寂しい人、苦しい人、悲しい人』(演出:早坂彩)と併せて、1月25日から座・高円寺1で上演されます。▶詳細 昨年12月2日から2週間ほど韓国に滞在し取材を経て、今年1月13日よりチームで集って本格的なクリエイションがはじまります。 より多くの人に今回の上演を、そして韓国現代戯曲を楽しんでいただくため、上演のその日まで創作メモを更新します。ネタバレを一切気にせず、まとまらないものをポロポロ書いていきますが、気になるところから読んでいただければ嬉しいです。 そして、身体で知る、上演当日に立ち会っていただけたら。 『青々とした日に』演出 藤原佳奈

最近の記事

世田谷美術館の滞在

世田谷美術館×アートネットワーク・ジャパン Performance Residence in Museum 2023-24 に、滞在アーティストとして参加しました。 滞在日誌が公開されていますので、ここでもシェアします。 世田谷美術館に計2週間滞在し、「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」という問いを設定し、自ら立てたこの問いに身を任せる形で時間を過ごしました。 思考、創作、上演までの振り返りです。

    • 『夜明けに、月の手触りを』から、展~語りひらく東京編~

      『夜明けに、月の手触りを』から、展 は、2013年に当時26歳の女性が書いた戯曲(演劇の台本)『夜明けに、月の手触りを』を触媒として場をひらき、性別年齢様々な人達で言葉を交わすプロジェクトです。 二十代後半の5人の登場人物たちがそれぞれ自身の心のひだを語る10年前のフィクションを小さなきっかけにして、#Me too 以後のジェンダー観の変化や、家族やパートナーとの関係、社会に対する違和感など、集った人たちがそれぞれお互いの声を聴き合う場となりました。 2023年7月に上田市

      • 『夜明けに、月の手触りを』から、展 ~ 2023 東京編 ~

        『夜明けに、月の手触りを』から、展 ~ 2023 東京編 ~ 『夜明けに、月の手触りを』は、作者の藤原佳奈が2013年26歳のときに、 30歳を目前にした女性の手触りを残しておこうと書いた戯曲(演劇の台本)です。 東京で暮らす5人の二十代後半女性たちを描いた10年前の戯曲 『夜明けに、月の手触りを』をきっかけに場をひらき、様々な立場の人が戯曲に触れた感触から言葉を交わすという企画を、今年7月から長野県上田市の犀の角で開催してきました。 台本をきっかけに言葉を交わし、話題

        • どなたでも入場可『顔を見せないオンラインミーティング~夜明け企画~』

          【『夜明けに、月の手触りを』から、展】に向けた企画は、7月から始動し、そろそろ二か月が経ちます。 企画の方向性もだんだん生まれ、上演参加者の募集も改めて行うことをお知らせし、そろそろ途中経過についてお話しする機会を設けようかな、と思い立ました。 7月1日、第0回ミーティングと題して、企画タイトルを決める会議をオンラインで開催しました。全員カメラOFF(藤原の手元の台本のみ映す)というルールのもと15名ほどの方が集まってくださり、色々意見を交わしたおかげで、『夜明けに、月の

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        • 「近くて遠い韓国を想う」韓国現代戯曲創作メモ
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          次は、7月21日と27日

          『夜明けに、月の手触りを』から、展 へ向かって、小さく一歩ずつ歩いています。 20代後半女性の手触りを残すべく10年前に上演された演劇作品 『夜明けに、月の手触りを』をきっかけに、 人が集い、対話したり、台詞を声に出したりする場をひらきながら、 有志の参加者で、(何らかの形で)『夜明けに、月の手触りを』の上演を目指しています。 形もメンバーも決まっていない船出はひとことで説明するのが難しく、 「演劇なんですか?」「展示なんですか?」「誰でも参加できるんですか?」 と、様々質

          次は、7月21日と27日

          『夜明けに、月の手触りを』と、(タイトル未定)展

          ■『夜明けに、月の手触りを』のこと 『夜明けに、月の手触りを』 という戯曲(演劇の台本)があります。 これは、2013年に藤原佳奈が初の長編戯曲として書き、代表をしていたmizhen(ミズヘン)という演劇創作ユニットで上演した作品です。 初演後、第21回劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作としてノミネートされ、『優秀新人戯曲集2016』にも掲載されたことを記念して、2016年には新たな配役で再演しました。 2013年当時26歳だった藤原が、二十代後半の女性として生きる中で

          『夜明けに、月の手触りを』と、(タイトル未定)展

          『夜明けに、月の手触りを』冒頭と最後試し読み

          登場人物 さや  転職を繰り返す派遣社員 ゆうこ アイドルにはまる保育士 しずか 広告代理店で働くできる女 あさこ 細胞を研究する大学院生 まき  関西から上京した女芸人 冒頭〇女たちの朝 (発話されない) 人、交差する人、光、朝、女、細胞、 かけめぐる声、光が差し込む、電車、運動、振動。 アスファルト、道に寝転がるホームレス、行列ができるスターバックス、 とかくコーヒーを流しこむ朝、露になる繁華街、カラスの縄張り、電車、運動、振動。 イヤフォンから流れる音、交差する視

          『夜明けに、月の手触りを』冒頭と最後試し読み

          よむきくかたる vol.1 津久井やまゆり園事件にまつわる言葉から

          【よむきくかたる】は、 集った人たちで他者の言葉を読み、声を聞き、そこから語り、 わたしたちのちぐはぐで小さな言葉を紡ぐ場です。 今回は、津久井やまゆり園事件をめぐる様々な人の言葉を少しずつ読んでみるところからはじめます。 参加にあたって、特別な知識は必要ありません。 喋ることが苦手な方でも大丈夫です。 会場は、松本の浅間温泉にある田辺薬品さんの2階、space銀華で開催します。畳でゆったりできる空間です。 ご興味ある方のご参加、お待ちしています! ※バリアフリーや情

          よむきくかたる vol.1 津久井やまゆり園事件にまつわる言葉から

          韓国現代戯曲『青々とした日に』アフタートーク(2月11日)

          日韓演劇交流センター主催 韓国現代戯曲ドラマリーディング『青々とした日に』は、 1月25日・27日・28日と3回、座 高円寺1でひらき、無事におわりました。 ▶https://za-koenji.jp/detail/index.php?id=2821 1月27日の回のあと、来日されていた作家のチョン・ギョンジンとアフタートークを開催したのですが、もともと上演時間が長かったことに加え、この日の上演時間が通常よりも15分長く(笑)、チョンさんとは5分ほどしかお話しすることができ

          韓国現代戯曲『青々とした日に』アフタートーク(2月11日)

          「近くて遠い韓国を想う」~韓国現代戯曲『青々とした日に』創作メモ①~

          藤原です。 今日は、戯曲について紹介をします。 リーディングは、視覚情報が少なく、語られる言葉・そこにある身体を手掛かりにはじまるものなので、立ち会う人達のシナプスが発火するきっかけ(事前情報)はあればあるほど、 つまり、主題となっている光州民主化運動(光州事件)について、『青々とした日に』の戯曲について、知っていればいるほど当日の上演時間、密度が濃くなると思っています。 ■『青々とした日に』戯曲について 今回、わたしが演出を担当することになった『青々とした日に』ですが、

          「近くて遠い韓国を想う」~韓国現代戯曲『青々とした日に』創作メモ①~

          日記-2022.12.25

          東京ー長野ー松本ー韓国ー東京ー実家ー京都を経て、 昨夜一カ月ぶり、豊岡に帰宅しました。 2週間の韓国の取材で、光州で亡くなった沢山の命、 脅かされた尊厳の叫び、今も消えない痛み、 その欠片をみぞおちに抱いて帰り、 帰国直後、祖母が急逝したと聞き、実感のないまま実家へ帰った。 死んだ祖母の顔はきれいだった。 喋り出すととまらない祖母の口は、死んでも塞がらなかった。 そのことを家族で笑い合った。 冷たくなった祖母の身体と同じ部屋で一晩過ごし、 わたしを抱く祖母の写真や、祖

          日記-2022.12.25

          からだのことバ(中学生編)

          『からだのことバ』(中学生対象) 身体の動きというと、手を動かしたり、目をきょろきょろさせたり、 見た目にわかる動きをイメージすることが多いけれど、 はっきりと見えなくても、 わたしたちの身体の中は、日々動いて変化している。 びっくりする。嬉しくなる。無性に寂しい。言葉にできないもの。 わたしがそうなりたくてなるわけではなく、何かをきっかけに、 わたしは勝手にそのように、なる。 身体が変化したあとで、わたしはそれを、 寂しい、とか、嬉しい、とか(あるいは言葉にならないなあ、と

          からだのことバ(中学生編)

          演劇ワークショップ開催(11月25日)

          東京に住んでいる方から、演劇ワークショップを受けたい、という希望があったので、次回の東京滞在の機会に演劇ワークショップをひらきます。(からだのことばワークショップと、大事にしている部分は重なりますが、これは演じる、演劇、ということに焦点をあてた演劇に興味関心がある人向けのワークショップなので、別物です。) この夏、芸術文化観光専門職大学の演劇実習で取り組んだ6時間×2日のメニューをもとに、1日版に短縮かつ凝縮して開催します。 演劇に触れたことがない人も対象にしたメニューで

          演劇ワークショップ開催(11月25日)

          「からだのことば ワークショップ in松本」

          「からだのことば ワークショップ」を松本で開催します。 短い詩や小説など、何かきっかけになるものを真ん中におき、 そこから各自想像したり考えたり、声に出したりしながら、集った人と共にからだのことばを見つめ、からだのことばを交わす場です。 私はこれまで10年ほど、からだのことばを手掛かりに演劇の創作に携わってきました。2022年の春からは知念大地さんと「しんしんし」という踊りの活動をひらきながら、これまで以上にからだを見つめる時間を過ごしています。 最近は、映像制作や誰かの

          「からだのことば ワークショップ in松本」

          韓国取材のサポーター募集中!

          日韓演劇交流センター主催の『韓国現代戯曲ドラマリーディング ネクストステップVol.1』という企画で、ジョン・ギョンジンさんの「푸르른 날에 / 晴れた日に(仮)」という戯曲のリーディング作品を演出することになりました。 1980年の光州事件を機に運命を分かつ兄弟・恋人たちの生き様を、現在と過去を行き来する形で描いた作品で、韓国では2009年に第3回車凡錫戯曲賞、2011年の上演で大韓民国演劇大賞作品賞・演出賞受賞を受賞しました。 戯曲を読んで泣くことはあまりないけど、初

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          “空っぽ”の身体からはじまること

          私が、大地さんとのやり取りの中で、“空っぽ”の身体を通して感じ、考えたことを体験談として記しておきます。 「“空っぽ”の身体からはじまること」 これまで、複数の友人が自ら命を絶った。 ある時期まで、わたしはその選択を否定できなかった。 「死にたい」と思う人に対して、その気持ちまで奪ってしまったら、どこにも行き場がなくなるじゃないか、と、思っていた。正直、自分も死を選ぶときは、意志を尊重して死なせてほしいと考えていた。 その考えが変化したのは、2020年、高校生と一緒に、演

          “空っぽ”の身体からはじまること