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自分史コラム 「理想を実現している国 」デンマークの選挙事情

本当にこんな国が実在したのか!という驚きと希望

みなさん、デンマークという国についてどれくらいご存知でしょうか。

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最近はメディアやSNSでもかなり注目されているのでご存知の方も多いかと思いますが、デンマークとフィンランド、スウェーデンの北欧三カ国は、国民の幸福度ランキングTOP3を常に占めるような社会福祉国家です。

私は2016年、このデンマークの社会を見学するH.I.Sのスタディツアーに参加。現地に20年在住しているニールセン北村朋子さんのガイドで、森のようちえん、中学校、老人福祉施設、ごみ処理施設、市民団体代表とのインタビューなど盛りだくさんの経験を通じて「理想を実現してる国が本当に実在したんだ!」という大きな驚きと希望を感じました。

充実した高齢者福祉制度で老後の心配はほぼゼロ、出産費・教育費・医療費はほぼ無料、育児制度も充実。
さらに大人向けの無料の学校 『フォルケホイスコーレ』があったり、なんと大学生は通学しながら月10万円程度のお金がもらえたり、進路をしっかり考えるために各学校の卒業後には任意で1〜2年間のギャップ(猶予)イヤーがあり、これが若者やそのファミリーにとって、大きな意義があるそうです。

また原発の建設も1970年代、市民の活動によって停止し、風力を中心とした再生可能エネルギーへの転換を促進。
そしてなによりも、2050年には国内すべてのエネルギーを再生可能エネルギーに転換する方針を決定し、政権が変わっても不変だという話には度肝を抜かれました。

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この理想の国を実現した原動力とは

もちろんデンマークだって完全ではないことは分かっています。私が知らない社会問題だってあるのは間違いありません。
しかしなにより、生活、生命に直結している政治を、みんなで話し合い、その結果としてフェアで健全な国になっているのは間違いないですし、そこから生まれる成熟した空気感みたいなものをこの目で見て感じてしまうと、どうにも羨ましくて仕方がないのです。

このツアーから帰国してしばらくは高揚していたものの、その後日本での生活に戻るにつれ「どうしてこんなに違うんだろう」と、両国のあまりのギャップに気持ちは落ち込んでいきました。

その後も私はデンマークがそのような国になれた理由を考えつづけ、その結果「国土と民度」という2つの大きな原因に行き着きました。

まずは国土的な問題も大きいと思います。国土全体が九州くらいの大きさに、人口自体は兵庫県と同様の580万人(2019年)。これくらいのサイズだから、政策の告知や浸透、意思決定もしやすいというのは事実だと思います。

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また民度というのは、読んで字の如く、国民の政治や社会に対する意識の高さ。19世紀のグルントヴィという哲学者・牧師が「国民に民主主義を理解することの必要性」を説き、前述の『フォルケホイスコーレ』を設立、議論しあうことを浸透させていきました。
その教育の成果もあり、選挙の投票率は軒並み80%を超え、学校でも家庭でも会社でも、政治について皆がしょっちゅう議論することが慣習となっています。

また5つの県と98の基礎自治体からなる地方議会の議員さんは、ほぼ全員が兼業のボランティアだそう。そのため日本とは違い、利権とは無縁で、儲かる職業という認識はなく、不正や汚職などもほぼないのだとか。

しかも政治参加へのハードルが低く、18歳以上であれば投票だけでなく立候補もできるのだそうです。この政治に対する民度が、結果として健全な国家運営を司る大きな原動力になっていることは間違いありません。

さらに地方選挙は、外国籍であっても出れてしまうということにも驚き。実は2016年、私達のスタディツアーをガイドしてくれたニールセン朋子さんは、先日ご自身が住むデンマークロラン市の市議選挙に、初めての日本人として立候補されたのです。

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結果は残念ながら落選してしまいましたが、朋子さんは今回の選挙がとても楽しく、大きな学びを得て、ますますデンマークという国が好きになったそうです。
もちろん兼業ですから、日本と違って選挙の翌日からは普段のお仕事に戻られた朋子さんですが、このデンマークの社会、政治に対する意識や制度についてどうしてもお話しをお聞きしたいと思いました。

そこで2015年から妻や友人らと民主主義を学ぼうとやっているYOKOHAMAデモクラシー道場という勉強会に、今回朋子さんをオンラインでお招きすることにしたのです。

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「デモクラシー(民主主義)とはなにか」を学ぶ場づくり

この勉強会のコンセプトはとにかく「デモクラシー(民主主義)とはなにか」を、肩肘張らず、誰もが気軽に楽しみながら学び、意見交換できる場づくり。
過去6年間16回にわたり、各界で活躍するゲストをお招きし、お話しを聴きながら日本の有権者として知るべきこと、考えるべきこと、アクションすべきことを話し合ってきました。

とかく政治とか民主主義とかいうと、難しいとか、怖いとか、ひどい現実に向き合うとかいったネガティブなイメージをもつ人もいるかもしれません。
でもそれって、日本があまりにも酷い状況だからであって、デンマークのような実例があるんですから。

また今の日本をよりよい社会にするために、変えるべきところは変えなきゃいけないと思いますし、そのために絶対的に必要なのはまず現実を知ること、そして私たちができることを考え行動するということだと思います。

その意味でも、民主主義を実践し、理想の国家を実現しているデンマークに住み、選挙にまで出た朋子さんの貴重な知見を聴けることは、素晴らしい学びになることは間違いありません。

このイベントを、私は友人はじめ知っている議員さんや教育者の方に声をかけており、実際に立憲民主党の衆議院議員秘書の方や、九州糸島市の藤井よしひろ市議など、数名の議員さんが出席してくれそうです。
 
前述した通り、九州くらいというデンマークの大きさと、政治と実際の生活の距離が近く、住民がイメージ、反映しやすい地方政治の場から改善点を見つけていけるのではないかと思っています。

ぜひ、このコラムを読んで、デンマークという国について興味をもった方、健全な政治意識について知りたいと思った方、気軽に申し込んで、私たちと一緒にディスカッションに参加してください。

もちろん朋子さんの話はお聞きしますが、どちらかといえば、そのお話しを参考に、自分たちはなにができるか?というところに焦点を当てて、住みやすく快適な社会をつくるための前向きなディスカッションができればと思っています。
また、どうしても予定がつかないという方には、後日アーカイブでの配信もありますので、たくさんの方の参加をお待ちしています!

☆ YOKOHAMAデモクラシー道場vol.17
「自分のまちから変えるために今できること from デンマーク」

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☆当日のアジェンダ
・デンマークの選挙制度、手法、反応について  
・日本の選挙制度について  
・地方自治の重要性と国政への影響について
・わたしたちが今すぐにできること
☆イベント概要
日時:2021年12月15日(水)19:00〜21:00
場所:オンライン(zoom)
参加費 :1,500円(オンライン)1,000円(アーカイブ配信)
参加受付:
下記ページにて事前決済。予約された方にzoomのリンクを送ります。
https://yokohamademocracy17.peatix.com/
ゲスト:ニールセン北村朋子さん
主催:YOKOHAMAデモクラシー道場

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