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鏡のなかの言葉(定期購読)

映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等のワークショップ、そして編集長がお勧めする… もっと読む
1.映画監督松井久子と読者との双方向コミュニティに参加できる。2.ワークショップ(書くこと、映画を… もっと詳しく
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松井久子のNoteマガジン「鏡のなかの言葉」

ごあいさつ桜が散り、紫陽花が咲くのを待つ間、樹々の葉はウイルスの脅威などなんのその季節のめぐり通りに耀いています。 そんな5月21日。特別な誕生日を迎えました。 あの人と逢いたい、でも逢えない…。 Stay Homeで、そんな淋しさのなかにいたとき、かつて映画をつくるたびに全国の皆さんと繋がっていた、あの懐かしい頃を思い出していました。 『折り梅』のときは約480人、『レオニー』のときは約4700人の人びとが  私の映画に関心を寄せてくださって、寄付を頂いたり前売りチケ

自分史コラム 2022年の自分史ビジョン

2022年、明けましておめでとうございます。 正確にいえば、この暦は明治6年に導入された西洋の「グレゴリオ暦」に基づくもので、それまでの日本で使われていた「太陰太陽暦(旧暦)」とは異なるもの。 古来日本の神事や農事はこの旧暦を使用していたため、ちょっと違和感を感じつつも、新年明けから難しいことをいわず、年明けを祝いたいと思います。 そこで今回は、始まったばかりの2022年の自分史を、どんなふうに紡いでいきたいかを綴ることにしました。 メインテーマは「しなやかに鍛える」ま

「あるもんで」は思っていた以上に奥深い。他者との比較をやめたいあなたへ【つくり手であること】

数年前、敬愛する料理家さんが「あるもんで」という概念を話してくれました。それも、ジャンルが異なるふたりの料理家さんから、ほぼ同時期にです。 お二人とも元にある考え方は共通しており、無駄をなくし、その時手元にある素材を活かし切って楽しむ、というコンセプトでした。 お二人のように大量に料理をするわけではないわたし個人も、その頃すでに「つくりたい料理を考えてから買い物に行く」というフェーズから「家にある素材で料理を考える」ようになっていたこともあり、強く共感しました。以来、毎日

zoom会議の前後に大根を干す冬。切り干し大根 【つくり手であること】

社会人になって以来、わたしの1年は10月の次は年末です。11〜12月は異常にすることが多く、気づけばいつも大晦日直前という時期になっているのです。 コロナ禍になった2020年は顕著でした。色んなことが後ろ倒しになった影響もあり、どうがんばっても年内に仕事納めは叶わず、大晦日と元旦にも仕事をしていました。(結局年度末まで休みらしい休みが取れず、春先に長めの休みを取る始末) この要因はいろいろあって、まずは己のタイムマネージメントスキルの欠如が圧倒的な理由なんですが、それは棚に

ごあいさつ

去年よりも少しはマシな年の瀬を、皆さまはいかがお過ごしでしょうか? 押し迫った時期のご報告とお詫びでまことに心苦しいのですが、お詫びとご報告です。創刊から1年7ヶ月。皆さんに読んで頂きましたマガジン『鏡のなかの言葉』を12月末をもって廃刊とさせていただくことにしました。 来年折をみて、今度は誰もが無料で読める新たなマガジンでお目にかかるつもりですので、どうかお許しください。 短い間でしたが、『鏡のなかの言葉』をお楽しみいただき、ほんとうにありがとうございました。

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稲木紫織のアートコラムArts & Contemporary Vol.38(最終回)

エドワード・ホッパーの絵画に 触発されて生まれた短編集 『短編画廊』に夢中こういう編まれ方のアンソロジーがあってもいい、と常々思っているが、思っていたほどそんなにはない。しかし、作家ローレンス・ブロックが自らのホッパー愛から作家たちに声をかけ、「大半の作家がぜひ参加したいと言ってくれたのは、友情ではなく(全員が私の友人ではあったが)、ホッパーが惹き寄せたから」とまで語っている本書は、編集者に依頼されて書く通常の仕事とは異なり、ホッパーの絵に強く惹かれる思いが主軸になっている。

自分史コラム  瀬戸際バブル世代へのエール

「クリスマスのホテルランク」を自慢してた大学生時代 この前どっかで「1990年代」みたいな記事をみて「わりと最近だ」と思った瞬間、それがすでに30年前後も前だったと知って愕然とした私。 そんな私を含めていまの50代前半は「90年代バブルの最後の残り香」世代です。   1980年代後半、日本政府が公共事業拡大と低金利政策を実行したことにより、企業・個人にお金が余り、それが株や不動産に回ったことが日本に空前のバブル景気をもたらしました。 1989年12月29日の日経平均株価はなん

なかほら牧場発 これからの食と農を考える⑧

日本の牛乳はなぜまずいか? 100人以上の死者と10,000人以上にも及ぶ被害者を出した森永ヒ素ミルク中毒事件は、その後の牛乳業界に大きな変革をもたらした。 乳質安定剤として、ほとんどのメーカーが使用していた添加物が法律で禁止されたのである。これに対応して森永はイギリスのAPV社が熱帯地方の牛乳殺菌のため開発したプレート式の連続高温殺菌器の導入をおこなったのである。 牛乳の殺菌方法には低温長時間保持殺菌法(LTLT・low temperature, long time)

自分史コラム 「理想を実現している国 」デンマークの選挙事情

本当にこんな国が実在したのか!という驚きと希望みなさん、デンマークという国についてどれくらいご存知でしょうか。 最近はメディアやSNSでもかなり注目されているのでご存知の方も多いかと思いますが、デンマークとフィンランド、スウェーデンの北欧三カ国は、国民の幸福度ランキングTOP3を常に占めるような社会福祉国家です。 私は2016年、このデンマークの社会を見学するH.I.Sのスタディツアーに参加。現地に20年在住しているニールセン北村朋子さんのガイドで、森のようちえん、中学校

LEONIEとマイレオニーの旅 28

前回のマイレオニーの皆さんのアメリカロケ・ツアーと同様、愛知県犬山市、千葉県つくば市、神奈川県横浜市、香川県高松市と善通寺市そして北海道札幌のモエレ沼公園と、転々と移動したすべての地で、集まってくれたサポーターの皆さんが、エキストラ、炊き出し、見物人整理などの仕事で私たちを支えてくれたのでした。 特に、カバー写真に使わせて頂いた上の写真に映ったみなさんは俳優さんでも何でもなく、香川県の善通寺ロケにエキストラで参加してくれた一般市民です。扮装をするとここまでいい表情になるのだか

LEONIEとマイレオニーの旅 27

私の映画を応援してくれる方々との交流は、最初の映画『ユキエ』のときからで、映画の完成後上映会で全国を歩くうち親しくなった皆さんと、アメリカ・ルイジアナ州バトンルージュのロケ地やニューヨークの旅をして、私自身も現地のクルーたちと嬉しい再会を果たすことができたのだった。 それが『レオニー』では、マイレオニーの皆さんがアメリカロケの最中に陣中見舞いでニューオリンズまで来てくださった。今回からは、日米にまたがり何度もしてくれたロケ地見学ツアーで皆さんが撮った楽しい写真の数々で、『レ

稲木紫織のアートコラムArts & Contemporary Vol.37

Ruth van Beek Exhibition 恵比寿の書店POSTにて開催中 オランダの美術家の独創的な世界 この作品が裏面全体となった個展の案内状が、渋谷区の書店&ギャラリーであるPOSTから届いた時、一目で気に入ってしまった。枠からはみ出した尻尾だか鼻だかわからない突起物はそのまま、ポストカードのサイズを飛び越えて、ちゃんと飛び出している。尻尾とか鼻とか言ったけれど、生きものかどうかすら定かではない。そんなルース・ファン・ビークの日本初個展が開催中だ。 ルース

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断捨離⑤ 21歳のときに演出した芝居の思い出

一冊の大学ノートにびっしりと書かれた幼い文字の、拙い戯曲。 公演の台本やプログラム、写真などはすべて捨ててしまったようで今では何ひとつ残ってないが、大学3年の夏にはじめて学外の日比谷・第一生命ホールを借り切ってした舞台公演・ツルゲーネフの『初恋』の脚本の、自筆の初稿だけが残っていた。この芝居については、いろいろな思い出がある。 女性が主体となってつくる芝居を 21歳を迎えた私の胸の内には、もうフェミニズムの萌芽が育ち始めていたのだろうか。演劇科のクラスメイトの武田さんと語

自分自身をアゲるためのエンタメ、それは寝てる間に始まる【つくり手であること】

忘れもしない2014年の年末、わたしと夫は、一生使える幸せのアイテムを手に入れました。それは、親松寝具店さんにお願いしたお布団一式です。 環境NPO「エコロジーオンライン」の上岡代表が設定してくださった勉強会で知り合った親松徳二さんは、オーガニックコットンの社会的価値と、身体に与える健康面での重要性を伝えている、エコなお布団屋さんです。 数年ごとに打ち直しをすることで「一生使える、エコふとん」と熱く語る親松さんの姿に「かっこいい...!」と目が覚めた思いがした私たちは、そ