見出し画像

就活失敗して頭に来たので独立したが就活の方が楽すぎて草ww⑰

「いいっすよ!入りますね!
 20万円くらい?今すぐ、金下ろしてきますわ!」


その場にいた、30人弱の経営者が
キョトンとした表情でコチラを見ている。


時は、2019年2月下旬。


先日に、自社の人間の
FNO嘉松(カマツ)の”朝活のお誘い”から
発展して、


クソ眠たい朝6時に
中洲のドブ川横をスタスタ歩く。


辺りは、真っ暗。
街灯に照らされ、かすかに反射している
商業ビル群は、


この時間帯では綺麗とも言えないし、
立派には見えない。


「鳥部さんみたいな人を、
 ぜひ私の大切な経営者の仲間に会わせたい」


生保会社の社長に言われた時、
特段の高揚感もなければ、
鬱陶しいという邪険さも見せなかった。


今まで、本当に多くの事業者や経営者、
優秀な営業マン,クリエイターを見てきた。


動画制作やマーケティング事業を通じて、
出会ってきた人たちからは、
本当に多くのことを学んだ。

“自分の目の前に現れる事象なんか、
本当に氷山の一角だよ。
君はまだ奥行きと深さを知らない”


“誰”が言ったかは憶えてはいないが、
 ”何”を言われたかは憶えている。


“何故、顔は思い出せないが、
言葉は憶えているのか?”


そう言われたとしたなら、
答えは決まっている。


自分は、その言葉通り素直に行動していて、
相手は口だけで行動していないからだ。


人から物を言われる時に、
「おまいう」と思い浮かぶケースは本当に多い。


「行動すらしてない、 “おまえ”が””言うな”」 

その略語が、俗にいう「おまいう」らしい。


目の前にいる、生保の社長は
穏やかにフラットな声で言った。


ただ、なんとなく、
彼を見ていても、「おまいう」が浮かぶ。


「2月の下旬の木曜日の早朝6:30に、
鳥部さんは中洲の”とある場所”に来れますか?」


その言葉で、完全に確信する。


目的は、”紹介”ではなく、
 “勧誘”なのだ。


側から見れば同じ行動だとしても、
思惑は全く違う。


「良いですよ、行きましょう。」 

そうして、今、中洲の雑居ビルに

吸い込まれ、エレベーターの4Fを押す。


扉が開くとそこには、
案内人が立っている。


「ようこそ、”定例会”の受付は、
 奥へとお進みください。」


言われた通りに進むと、
そこには、狭い会議室に
多くの大人がこぞって名刺交換をしていた。


「おはようございます!
 今日は、どなたかの”ご紹介”で来られたのですか?」


「保険やの社長やで。」


まっすぐ相手の目を見ると、
少し萎縮しているように見えたので、
声のトーンを少し上げる。


「偶然にも先日お会いした矢先に、
 ご紹介されたので、”顔を立てて”、
 来ましたね」


自分は、こういうところが悪いところでもあり、
めちゃくちゃ人に評価される部分でもある。


“言わなくてもいいと思ったこと程、”必ず”伝えなさい”


この言葉の持ち主の顔も思い浮かばないが、
言葉自身は記憶に残っている。


そうして、丁寧にヒアリングを受けた。 

「お仕事は何をされているのですか?」 

「どんな方と繋がると嬉しいですか?」 

「どういった”経路”で、お仕事を獲得されていますか?」

自分に対して質問してくる男性は、
”あなたに興味がある”と言わんばかりだが、
相手の目をしっかり見てみると、 
全く興味がなさそうに話しているのが、
手に取るように分かる。


”目は口ほどに物を言うからな、
口を慎むより、その目をどうにかしろ”


これも言葉の持ち主は思い出せないが、
鮮明に憶えている。


そんな、途中でスターウォーズの劇中曲の
「パパパパーン」という音楽が流れ、
いきなり自分の名前が呼ばれた。


「それでは、ご紹介します。
 カテゴリー”映像制作”の鳥部さんです!
皆様、お出迎えは盛大な拍手でお願いします!」


パチパチパチぃ!!!と朝7時に
耳がノイズだらけな中、
会議室の1枚分だけ空いている
パーテーションから隣の部屋へ移動した。


そこには、スーツを着た、
大人がこちらを笑顔というよりは、
キリッとした表情でコチラを見ていた。


そうして、そこにいた30数名の経営者と
名刺交換をしながら、色んな交流をする。


たった一人の一般人に
人だかりができるのは、


客観的に見ることができるとしたなら、
一般人がまるで野球選手や政治家の
ぶら下がり取材を受けているそれと同じだろう。


相手の目を見ながら話を聞くが、
目線が下がる際に周りを見渡せば、
欠伸をしている者もいれば、
手を後ろに組んで手持ち無沙汰な者もいる。

一瞬の嵐のような時間が座り、
アナウンスにて着席を促される。


生保の社長に促されて、席へと進み
コの字に似た配列の中央指定座席に座ると、
部屋の電気が突然落ちた。


そして、何を伝えたいのかよく分からない動画が
1分程オープニング動画として上映される。


動画がおわり、全員の拍手を持って、
ナビゲーターが現れ、話し出した。


「おはようございます。
 ご紹介によって、お仕事を獲得する
 ビジネスミーティングへようこそ。


今から2時間の間で、
 ご紹介によって、各位のビジネスが
活発に交わされる様子をご覧ください。」


何気なく過ごすこの2時間が、
自分の会社や自分のプライベートにも
変化をもたらす”分岐点”になることは


まだ、その時は気づかなかった。 

”ある言葉”を言われるまでは・・・。




この記事が参加している募集

自己紹介

スキしてみて

最後まで読んでいただきありがとうございました。記事が気に入ったらシェアやいいねをしてもらえると嬉しいです。