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就活失敗して頭に来たので独立したが就活の方が楽すぎて草ww㉒

「以上が貢献の発表となります。
 ご紹介によって、ビジネスが活発に
行われている様子をご覧頂きました。」


気がつくと、あっという間に
“秘密の会合”は最後のセクションに移っていた。


「それでは、”重要なお知らせ”があります。」


目の前の青年が声をかけて、
自分を含めた来訪者の目を見て発言している。


「もしあなたが今後何年も
 ビジネスを続けて行く中で、


信頼できる”協業先”を手に入れたいと
思いませんか?


もし、あなたの周りに、
これ程の実力を兼ね備えた、
営業マンがいたとしたら、


そして、その営業マンにかかる人件費が
たったの16万円だとしたら、
手に入れたいと思いませんか?」


本当に相手にとって必要なものを
セールスする時というのは、
“仮想質問”が飛び交う。


「そして、その営業マンが
色んな業界のプロフェッショナルだとしたら、  

あなたのビジネスは今よりも一層発展すると 思
いますか?」

「尚、この組織への入会費用は
16万円(税別)がかかります。


入会には、”審査”があります。
そして入会には、”後援者”が必要です。


あなたの専門分野が空いているかの確認も
この後のオリエンテーションでお答えします。」


会費の説明は終わり、
来訪者の中で、首を縦に振る人間はいない。


「それでは、最後にこの会に参加した上で
最も良かった点の感想シェアをお一人ずつ
 お願いします。」


青年がマイクを渡して、
他の参加者が会の最も良かった点を
椅子から立ち上がって感想を伝える。


「会の皆さんが朝から、
 元気よく活動されていて刺激になりました。
今後の参考にさせて頂きます。」


そんな風に、来訪者である
女性エステの社長が答える。


「目の前で、具体的なビジネスが交わされていて、
 とても学びのある会だと思いました。
今日はお誘い頂き、ありがとうございました。」


通信会社の営業マンはそう答えた。


次々と立ち上がっては感想を
 伝えている最中に、


“学んだなんてことを簡単に言う奴は、
何一つ学んでいないクズ野郎だ。”


誰の言葉かは分からないが、
ハッキリと頭に浮かぶ。


“また、いつか”

“勉強になった“
“やる気になった”


そんな言葉を、
自分が吐くのだろうか。


この会に来た目的は、
ただ一つ。


「・・・鳥部さん?
 鳥部さんの番ですよ。」


隣にいた、保険会社の社長が
自分の顔を心配そうに
覗き込むようにして伝えた。


彼に目を合わせて、うなづいた後、
規律して、一面を見渡す。


少しの”間”があり、
事業家や経営者全員が
こちらを優しくも
ジットリと見ている。


「・・・・スゥ」


少し息を多めに吸い込み、
力強い声で言い放つ。


「いいですよ!入会しますね!
 20万円くらい?でしたっけ?
 あとで、金下ろしてきますわ!
 皆さん、よろしくお願いしますね!」


その場にいた、30人弱の経営者が
キョトンとした表情でコチラを見ている。


明らかに、
”コイツは、ウチの組織に入会するとは思わんかった”という目線で
そわそわしながらコチラを見ている一同の顔を見返すのが、楽しい。

まるで、転校生になった気分だ。 

時刻は8:30。


この時、明らかになったのは、
30代のネクストステージに
“足を踏み入れた”ことだ。


気がつけば、心も軽い。
雲ひとつない真っ青な空と眩しい日差しが
窓から差し込み、辺り一面を照らしている。


この気持ち、
そして、この状況。
どこか似ている。


そう、あれは確か、
小学校にまで遡る。


続・・・・



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