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【TEALABO channel_31】「知覧から世界へ」 若きリーダーの覚悟と挑戦の先にあるもの -有限会社浜田茶業 濵田秀平さん-

鹿児島のブランド茶である「知覧茶」の作り手を直接訪ねて、その秘めたる想いを若者に届けるプロジェクト「Tealabo Channel」。

日本茶は全国各地に産地があり、各産地で気候や品種、育て方が違います。そんな違いがあるから「知覧茶」が存在します。一年を通して温暖な気候がもたらす深い緑色と甘みが特徴である知覧茶の作り手の話を皆さんにおすそ分けします。

第31回目は、有限会社 浜田茶業(以下:浜田茶業)濵田秀平さんにお話をお伺いしました。

取材の最初にまずは工場に案内してくれました

▼目次

  1. 「異国文化から自分の生きる道を考える」

  2. 「田舎マインドからの脱却」

  3. 「大切にしている言葉」

  4. 「お茶の流通界で新しい関係性を作りたい」

  5. 「これから真っ向勝負でやりたいこと」


異国文化から自分の生きる道を考える

地元の高校を卒業後に福岡の大学に進学した秀平さんは、大学時代にストリートダンスに没頭し、ダンスを通じて多くの交友関係を築いてきました。

大学卒業後に英語力を磨くためにアメリカへ語学留学。ストリート文化が盛んなアメリカでは大学時代のダンス経験が友達作りやコミュニケーションの点でとても助けになったようです。

有限会社浜田茶業 専務取締役 濵田秀平さん

「ダンスは一つのツールとして本当によかった。アメリカでダンス大会に出場して優勝した時に、いろんな人が近寄ってきてくれて話をしてくれた。英語が話せればコミュニケーションが取れるという側面もあるけれど、決してそれだけではないことを留学で学べた。

20代前半の海外での経験は秀平さんにとってとても刺激的だったようです。そんな中で秀平さんにとって人生の分岐となる話をしてくれました。

田舎マインドからの脱却

浜田茶業を継ぐことを決め、現場でさまざまなことを学ぶ中で、静岡県の取引先の会社で約2年間のお茶の修行をする機会がありました。大産地だからこそ多くの生産者や製茶工場、茶商の工場の見学と言った多様な利害関係者と交流することは秀平さんにとってかけがえのない経験になったようです。

修行から戻り、取り組んだことの1つが衛生管理の徹底を目的として国際基準の工場環境作りでした。

「国際基準工場の環境を作るには、大きな資金が必要です。でも、今後の海外市場の拡大を見据えると必要な設備投資だと考えました。単なる設備投資ではなく、衛生管理を徹底する意味では従業員の教育機会にもなる。」

工場内の見学
食品安全システム FSSC22000取得

また、秀平さんの語学力を武器にした海外取引先の開拓に向けた取り組みにも力を入れました。コロナ前は鹿児島県茶業界としても、海外の新規取引先を県内に招き入れて交渉の機会をたくさん作っていたようです。

しかし、海外の取引の実現は様々な壁がありそんな簡単なことではありません。実際に秀平さんは静岡の修行時代にアメリカ進出をしていた静岡県内の企業から実際の取引がスタートするまでの心構えを聞いていました。

受け身の姿勢ではなく、現地に直接出向くことの重要性を知っていたので、市場先としてアメリカの現場に自ら出向き、浜田茶業の可能性を見出していきました。そして同時に、アメリカには既に何年も前から同様に販路開拓に向けて投資をしている静岡県の企業がいることもわかりました。」

直接現場に行き、コミュニケーションを通じて自分の五感を頼りに状況を把握する。自分の判断が未来にどのような結果を導くのかを考える。秀平さんの仕事への取り組みから家業の未来を常に考える意思の強さを少しずつ取材を通して感じ取りました。

大切にしている言葉


インタビューをしている中で、秀平さんが大切にしている言葉や考えはありますか?という問いに明確に2つ教えてくれました。

1つ目は、「目配り、気配りを大事にしなさい」

この言葉は、初代社長である秀平さんの祖父が幼少期から話をしていた言葉です。昔から聞いていた言葉だからこそ、秀平さんの人生の在り方そのものとして宿っているようでした。

2つ目は、「全ての結果は、日頃の心構えと行動から生まれる」

この言葉は、秀平さんの高校時代の野球の監督が練習メニューが記載されたホワイトボードに常に書かれていた言葉です。青春時代に1番熱中していた時に脳裏に焼きついた言葉は時を経て、人生における大切な行動規範になっていました。

上記の大切な言葉が、浜田茶業のこれからの取り組みの上で引き続き大きな力になることはいうまでもありません。

知覧では茶審査技術の最高位資格である茶師6段の認定証


お茶の流通界で新しい関係性を作りたい

現在のお茶業界は飲料メーカーによるペットボトルの普及、暮らしの変化や急激な人口減少、飲み物の選択肢の多様化など様々な影響により、お茶の価格が低迷しお茶業界全体としての影響が懸念されています。

時代が変われば、お茶農家も茶商もこれまでのやり方から変化をしていかなければなりません。そんな危機感を秀平さんがこのように言います。

売る側のお茶農家さんが、買う側(茶商や市場)のニーズを把握しなければならない。生産者が茶市場にお茶を持ってきて、今回は価格が高かったな、安かったなと一喜一憂するようでは業界全体が衰退の一歩を進むだけだ。茶商と農家のこれまでの距離感を変えて、様々な利害関係者とより一体感のあるコミュニケーションが必要だと思うんです。」

そこで、利害関係の立場を超えて情報交換を行う居場所を農家や茶商以外にも裾野を広げて様々な視点でお茶の未来を考えるオンラインコミュニティである「日本茶未来★創造会議」をコロナ禍の2021年に生産者や茶商、コーディネーターと共に発足。

毎月テーマを設け、日本茶業界の未来に向けて、あらゆる立場のメンバーが意見交換できる居場所として運営をしています。

これから真っ向勝負でやりたいこと

生産現場にある茶商と言う立場である浜田茶業。生産現場の農家さんは、自分よりも年上の人がほとんどだ。それでも、茶商というお茶を買う立場であり付加価値を出してお茶を売る側だからこそ、譲れない信念がある。

全国的な茶商と比べるとより大きな規模の会社もある中で、小さくても強い経営を目指す。

知覧という生産現場で質の良いお茶を作る農家さんをこれからも守り抜くために、国内よりも費用対効果が高い海外への投資を進めていくと力強く話をしてくれました。

また、ここ数年の北米出張と現場経験を重ねて見出した海外展開は、アメリカからインド進出へ大きく舵を切り換える決断をした。秀平さんは今後の展望について話をしてくれました。

「インド市場に対する情報はまだまだ少ない。だけど、ものすごい勢いで経済発展により市場が拡大し、マーケットがある。茶商としては、これからも共に目線が合う生産者からお茶を買い、付加価値を付けてお茶を届ける。これからも、僕は生産者から高くお茶を買い続ける挑戦をするんだ。

インドで商標登録されたブランド「CHIRAN」

誰のせいにもしない。
どんな未来にしたいか。
そして、どう変化をするか。
それを誰と共にするのか。

知覧茶ブランドを世界に向けて確固たるものにするために、世界市場と故郷「知覧」の生産現場を往復しながら、常に真っ向勝負をしていく。

浜田茶業のこれからの本物の地域づくりの世界観を取材を通して感じることができました。

知覧から世界への挑戦。
若きリーダーはこれからも世界を股にかけて突き進んでいくだろう。

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【プロフィール】
濵田 秀平(はまだしゅうへい)
有限会社浜田茶業 専務取締役。
1990年南九州市知覧町生まれ。高校を卒業後、福岡の大学へ進学。海外留学や取引先での修行を経て、2016年に浜田茶業へ就業。2022年にインドで自身が代表の現地法人も設立。

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