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【1話完結小説】昇華

【1話完結小説】昇華

休み時間。ちょうどトイレの個室から出ようとした時、外でエリとサツキの声がした。

「ハナほんとウザイよなー」
「一回ほめただけで毎日ポエムみたいなん書いてきてさあ。そろそろ付き合うの限界なんですけど。」

自分の名前が聞こえてきて、思わず息を潜め気配を殺す。

「さすがに毎日感想求められてもなー」
「今度もっと長いの書いてくるって言っとったで」
「いや、もうムリムリムリムリ!」

キャハハハハ

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【1話完結小説】学校

【1話完結小説】学校

心細い春。私達は名字も出身中も同じだった。鞄につけてるキャラ物のマスコットも。前後の席同士「気が合うね」って仲良くなった。

違和感の夏。私達が同じなのは名字と出身中とマスコット“だけ”かもしれない。

惰性の秋。一緒にいるとしんどい。

終わりの冬。いつの間にかあの子が鞄のマスコットを変えていた。私も変えた。解き放たれるのだ。私も、あの子も、マスコットも。

そしてまた、心細い春を迎える。

【連作】ヨッチのこと5

【連作】ヨッチのこと5

給食時間。

ツヨシが一方的に絡んできたから悪いのに、何故か一言だけ言い返した僕まで先生に酷く叱られた。

喧嘩両成敗…なんて理不尽な理由で叱られるのは納得いかない。

机で一人突っ伏していると、ヨッチの声が降ってきた。

「5時間目、“ぼいこっと”しようぜ。付き合うからさ!」

顔を上げるとイタズラっぽい笑顔がそこにある。

僕は立ち上がった。

きっと先生に叱られても納得できる、と思えたんだ。

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【連作】ヨッチのこと4

【連作】ヨッチのこと4

「押忍!」

振り向くとヨッチだった。
最近空手を習い始めたらしい。

「俺、上手いよ!毎日100時間は稽古してるからさ!」

押忍!押忍!押忍!…
連続で挨拶ポーズを見せてくる。

初回は延々挨拶練習だったんだろうな、と思いながら僕は笑って言った。

「うっせーよ!」

end

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【連作】ヨッチのこと3

【連作】ヨッチのこと3

新学期の昼休みはまだどこか落ち着かない。

「な、お前絵上手いんだろ?キメツ描いてよ!」

ヨッチがおもむろに自由帳を差し出してきた。

*****

「…できたよ。」

描き終わり顔を上げると、僕の周りには誰もいなかった。

校庭からは皆が楽しそうにサッカーする声が聞こえてくる。

(…あぁ、またこのクラスでも一人かな。)

そう思った瞬間、

「ごめんごめん!これとこれにも描いてよ!」

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