マガジンのカバー画像

15秒で読める小説

332
15秒で読める!140字創作小説
運営しているクリエイター

2021年12月の記事一覧

【140字小説】フォロワー

【140字小説】フォロワー

毎日彼女のフォローが欠かせない

映えスポットのガラス窓にぼやけた全身
ケーキに添えられたスプーンに湾曲した顔
グラスビールの水滴に逆さまの小さな顔

ぼやけて湾曲した小さな彼女のイメージが、いつしか僕の中で一つの実像を結んでいた

いいね
好きだよ

【140字小説】幸せ

【140字小説】幸せ

幸せは歩いてこない?
じゃ、白馬に乗ってくるの?
それともレクサス?

待ってても埒があかないから、私は探しに出かけた。

幸せは、案外近くにいた。
公園の植え込みで震えてた。
そっと抱きかかえ連れ帰る。
怖がらないで、ミルクをどうぞ。

幸せは、小さくミャーと鳴いた。

【140字小説】eve

【140字小説】eve



イブの夜は気を付けて。
良い子はみんなお家で早く寝てサンタさんを待ってるのよ。
こんな夜更けに出歩いてるのは、悪い子かプレゼントを配り回るサンタさんだけ。
あなたの後ろにいる白い大きな袋を持った人、サンタさん…かしら。
きっとそうね。
だって今日は素敵なイブだもの。

【140字小説】望郷

【140字小説】望郷

ゴミ袋をぶら下げ夜道を歩く。左右の家からTVと食卓の音が漏れ聞こえた。仰いだ空に星が幾つか瞬いている。

ふと、随分遠くまで来たな…と思う。生まれ育ったあの町も、同じような夜に包まれているだろうか。帰りたいな。

その前にゴミ袋の中身を処分しなくては…。