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《映画感想文》LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標(2014)①《ネタバレ含》

皆さんはご存知だろうか。
新宿の映画館でのみ、1週間だけ上映されたという幻の映画を。

今回はそんな幻の映画、「次元大介の墓標」について書きました。
この作品は映画にしては珍しく、前編と後編に分かれているので、記事もそれぞれ前編と後編に分けています。

(また、この記事を読む前の予備知識として、こちらの記事を読んでいただけたら幸いです。)

・登場人物

主な登場人物は、ルパン三世次元大介峰不二子というお馴染みのトリオに(今作では五右ェ門は出ていません)、今回初登場するヤエル奥崎という敵。

記事にするにあたってヤエルのことを調べていたところ、「峰不二子の嘘」(2019)という同シリーズの映画にも登場しているそうです。

スーツを着こなした凄腕スナイパー、というところがゴルゴ13みたいです。

Wikipediaによると、ヤエルにはモデルがいたそうで。カール・ラガーフェルドというドイツ出身のファッションデザイナーだそうです。

(似ている……)

明らかに、今作は東西が分裂している頃のドイツをモチーフにしているように思いますから、あえてドイツの方をモデルにしたのでしょうか。

・関係性について

前回の記事でルパンと次元の馴れ初めを書きましたが、本作での2人は和解しあい、協力しながら仕事をする間柄になりました。

次元いわく「ビジネスパートナー」として踏み込みすぎないよう線引きしているようですが、お宝を盗もうとして窓から逃げていく姿を見ていると中学生の不良男子が学校にいたずらしかけてるように見えてきます。
ルパンのほうは、既に次元のことを相棒として認めている感じ。

不二子と彼らの関係性については、世間一般的に抱かれているイメージとさほど変わらないです。
次元は彼女に対して厄介者扱いしている感じで、ルパンは彼女がピンチになった時は助けに行くヒーローのような存在。
ヤエルについては互いに面識が無いようで、これから探り合っていくこととなります。

・あらすじ①「東ドロアで待ち受ける凄腕スナイパー」

次元とルパンはリトルコメットという宝を求め、東西に分裂されたドロアという国の東ドロアに潜入するが、その途中に狙撃されてしまいます。

狙撃した相手はヤエル奥崎という男。
①「サイコロを振り、出た目の数で標的を仕留める弾数を決める」
②「これから殺すターゲットの墓を用意する」

という、独自のルールを持つスナイパー。

次元は撃たれた弾丸から、過去の仕事の依頼主である東ドロアの歌姫・クイーン=マルタもヤエルに殺されたと気付く。

(ちなみに、彼女が暗殺されたことによって東西のピリつき度がMAXになったらしい)

狙撃した相手がヤエルで間違いないか確かめるため、墓地に足を運ぶ2人。

思惑通り、自分の名前が彫ってある墓を見つけてしまい、次元はヤエルのアジトに向かい対決することになります。
墓地では、突如ルパンが花言葉を呟くシーンがロマンチックでした。

・あらすじ②「負けないはずの次元が負ける」

アジトで対峙するヤエルと次元。
敵の目の前で「早撃ちで次元に敵う相手はいねえ」と挑発し「やったれ」と強気に相棒を送り出したルパンですが、負けたことが無かった次元が撃たれてショックを受けます

あと1発で仕留めると言い放ったヤエルを睨みつける次元に、「分が悪い、ひとまず出直すぞ」と強引に引きあげるルパン。

(吹き飛んだ帽子を乗せてあげる一瞬に、彼の尊厳を守る優しさを感じる)

負けるはずがない、と信頼していた相棒でも一筋縄ではいかない相手がいると瞬時に認め、すぐに引き上げようとするルパンの潔さがカッコいい。
そしてここで確信に変わる、「次元にはルパンがいないと生きていけない」ということ。
次元は引き止められた後に「離せ、ルパン!」と抵抗するんですね。
恐らく、次元はルパンが引き留めなければ分の悪い戦いを続け、間違いなく殺されていたと思います。

ひょうきんな行動が多いルパンですが、ピンチの時は咄嗟に冷静な判断をして動ける男なんですね(かっこよ)。

・あらすじ③「獲物絶対殺すマンとヤンキーのブッ飛びカーチェイス」

静かに動揺している次元を乗せて車を出すルパン。
口先では平静を装うルパンですが、エンジンがうまくかからない様子から、ルパンも動揺していることが分かります。

そして、そんな2人を追いかけるヤエル。
トンネル内で激しくぶつかるカーチェイス!

攻撃から身を守るために片手でハンドルを握り片手でアクセルを押さえるという器用な運転をするルパン(よいこはマネしないでね!)。
車にレールガンやミサイルを搭載
しているヤエルの鬼畜っぷりも笑えました。サイコロ設定どこいった。

筆者は「次元大介の墓標」での見どころの1つがこのカーチェイスのシーンだと思っています。
作画がとにかく凄いのですが、オラついた表情で「ウラァ!どーだッこの野郎!!」とか「知るかーッての!!」と叫ぶルパンの表情がどう見てもヤンキーそのもので見応えあります。

同じキャラクター、同じ声優なのにガラッと雰囲気が違うアテレコが出来るクリカンさんの演技力を見せつけられました…。

・あらすじ④「次元、死す」

なんとか振り切ったと思いきや、追い詰められてしまうルパンと次元。
そして次元は、ヤエルに狙撃されてしまいます。

恐らく、一番分かりやすく、そして美しくブロマンスを感じ取れるシーンがここなのではないかと思います。

脳天を撃ち抜かれ、血に染まった相棒を抱き寄せて宿敵をキッと睨みあげるルパン三世。

そして、「俺に言わせりゃお前自身が銃そのものだ」とヤエルに言います。

「誰かに引き金を引いてもらえなきゃ、弾を打てねえただの道具さ」と続けるルパンに
「感謝しろ、そのおかげで貴様は命拾いできる」と返しその場を後にするヤエル奥崎。

血に染まってはいるけれど、まるで眠っているかのように美しい相棒の顔に、トレードマークの帽子をそっと被せ、見つめるルパン…。そんなところで前編は終了します。

・後半につづく

2人のストーリーに目を向けたくて割愛しましたが、実際には不二子が会員制のエッチなクラブで見せ物にされて絶体絶命だったりします。

ルパンファミリーのかけがえのない存在である次元が死んでしまったようですが、このあとどうやって後編に繋がるのか…。

ここまで読んでくれてありがとうございました!
後編については、こちらの記事をご覧ください。

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