《映画感想文》LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標(2014)②《ネタバレ含》

前回の記事を読んでくださった方、ありがとうございます。

今回は、「次元大介の墓標」後編について書いています。

(前編についてはこちらの記事をご覧下さい)

・あらすじ①「カラミティファイルとかいう暗殺司令書を手にするルパン」

人のいないレストランでステーキ肉をカッ食らうヤエル奥崎が映されます。
当たり前の光景ではあるんだけど、
「あっ、ヤエルも肉とか食うんだ!!」と思わされるシーンです。

(もぐもぐ…)

その頃、秘密クラブで見せ物にされていた不二子を助けるルパン。
1人でハンドガン片手に突っ込むのですが、「次元みたいにはいかねえか…」と呟きます。
この一言で次元に対する尊敬を感じられます。いやルパンもすごいけどね。

ちなみに、不二子を見せ物に晒しあげた淫猥な装置(ち○こがバカでかいドリルになっている巨大人型ロボット)もヤエルが作ったそうです。趣味が悪いなあ(褒めてる)。

ルパンが現れたことにより、無事クラブから逃げることが出来た不二子と、それについていくルパン。
どうやら不二子は「カラミティファイル」という暗殺司令書を盗むためクラブに潜入していたそうですが、連中にバレて逆に見せ物にされたらしい(自業自得)。

そのカラミティファイルには次元と、以前次元にボディガードを依頼したクイーンマルタが載っており、ルパンはそれを拝借して真相を探り始めます。

・あらすじ②「歌姫とガンマンの出会い」

ここで回想になり、人のいないコンサートホールで次元とマルタ2人だけが話しているシーンに変わります。

マルタは東ドロアの人間ですが、平和のために対立している西ドロアで歌い、「歌でなら東西を繋ぐことが出来ると信じたい」と語る。
何やらこのマルタって女性、世の中に馴染めないような妖しい雰囲気を纏っています。例えるなら、グレイテストショーマンリンダっぽい。

(結果は違えど、2人とも悲しい運命を背負う女ですね)

場面が変わり、コンサート当日。
次元はマルタのマネージャーに
「啓蒙活動なのにボディガードを雇ったと知られたら、国の印象が悪くなる」
と、強制的にこの場を去るように言われます。
次元は最後まで本人の意志を尊重しようとしますが、金を渡され無理やり帰らされてしまいます。

しぶしぶ次元はその場を去ることにしますが、報酬分は付き合おうと決め、再びコンサートホールに忍び込みます。

そして、次元の目の前でマルタは殺されてしまいます。

・あらすじ③「ヤエル奥崎のモーニングルーティーン」

不二子が盗んだカラミティファイルを拝借し、次元の仇をとると決めたルパン。
一方、ルパンと不二子を殺すよう秘密クラブのオーナーからヤエルに依頼が入ります。
ヤエルのクローゼットにズラーッと並ぶのは、PRADAのテーラードジャケット(全部同じ物)。

某アニメの世界的キャラクターにも似たシーンがありました。(殺しじゃないよ、クローゼットの話だよ)

ジャケットを羽織り、仕事へ向かうヤエルの無機質な振舞いが機械のようで不気味なんですが、かっこいいです…。

そして、1人でカフェにいるルパンをスコープ越しに見つめるヤエル。

「西の風… 2度修正。捕らえたぞ」

出ましたーー!
実生活でも口にしたい台詞第1位 (当社比)。
風が強い日に呟いてみようと思います。

隣で見ていた彼氏いわく、実際にこういう風に照準を合わせることがあるみたいです(※彼氏は殺し屋ではありません、サバゲー・FPS経験者です)。

引き金を引く瞬間、あーーーっ!!ついにルパンまで殺されてしまう!と思った刹那、ヤエルの銃弾は空を切ります。

違和感に気づいたヤエルの右胸は撃たれており、背後を振り向くと目線の先には死んだはずの次元が!

片手でスナイパーライフルを構える次元。カッコよすぎィ!

・あらすじ④「次元、生きとったんかワレ!」

ヤエルは次元が生きていることに動揺を隠せません。
そして、ここからルパンの語りによって種明かしが始まります。

ヤエルが無敵の殺戮マシーンだった理由というのが、この町中に張り巡らされた監視カメラの映像が彼の右目の網膜に接続されていたからなんですね。(逆に混乱しそう)
次元を殺したと思われた際には、監視カメラの映像を遅らせて茶番を仕組んでおり、次元は血糊を使って死んだふりをしていたのです!演技派ガンマン。

続けてルパンは、ヤエルの真の雇い主東ドロア政府だと突き止めます。次元を殺せと命じたのも東ドロア政府だと。
政府に恐れられる男、次元大介…。

そして遂に、ヤエルと次元の最終決戦が始まります。

西部劇を彷彿とさせるシーンです。

決戦にはルパンもやって来て、勝負のゆくえを見届けることに。
「次元もルパンも、短時間で飛躍的な距離移動しすぎだろ!」という彼氏のツッコミが入りましたが、気にしません。

「次の風が止んだ時、それが合図だ」

風が止んだ刹那、次元の頬を掠めるのはヤエルの弾丸。
(撃った…!)と思いきや、ヤエルはまたもや違和感に気づきます。

左腕にぽっかり穴が空いており、骨が折れ肉が剥き出しになっています。

これにはジョースターさんもビックリです。

次元は「お前の銃は俺の銃より軽く、口径が小さい」そして「弾がぶつかれば、弾道変化が少ないのは俺のほうだ」とのこと。文字通り撃ち抜かれてしまったわけですね。

「お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこっちゃないが… 俺に言わせりゃ、浪漫に欠けるな」

この次元のセリフがめちゃくちゃ痺れます
ヤエルは殺しにおいて独自のルールを持っていますが、次元にもルールというか、語らないまでも自分なりの美学を持っていると感じられる一言でした。

それだけ正確に撃ち抜けるなら心臓を狙う事も出来たはずですが、次元はあえて命は奪わず「ガンマンとしてのヤエル」を殺します。
生かしておくという意味では優しさも感じますが、彼の殺し屋としての道を絶ったわけですから、残酷な仕打ちにも感じられます。

そしてルパンと次元は、その場を後にします。

・あらすじ⑤「最強のふたり」

夕暮れの道を、上半分がすっかり無くなっている車で走るルパンと次元。
ルパンが手に入れたカラミティファイルですが、それを次元は売りさばくでもなく、マスコミに送ってしまいます。
なんでそんなことをしたのかルパンに問われた次元は、マルタにも「なぜその仕事をしているのか」と尋ねられた時のことを思い返し、こう答えます。

「俺はただ… うまい煙草が吸いてえだけだ」

実生活でも口にしたい台詞第1位、
塗り替えられました。

マルタから尋ねられた時に答えを濁した次元が、ヤエルという敵と対峙したことによって見出した答え、ということでしょうか。

そして、「それは気が合うねえ…」と自分のタバコに火をつけ、次元にもつけてやるルパン。
ここからが更に最高でした。

「別に俺たちは正義の味方じゃねえ」
「違えねえ」
と、互いに認める2人。
暗殺者を倒したり、捕らわれた不二子を救ったり、暗殺司令書を世に暴いたりしているわけですが、俺らはヒーローじゃないと一線を画すルパンと、それに同意する次元。

次元「一介の泥棒と」
ルパン「一介のガンマン」

俺らはただの泥棒とガンマンに過ぎない、正義を履き違えちゃいけねえ…という意味が込められていそうな痺れるセリフなんですが、
このシーン、ブロマンスが渋滞してます。

笑いあって煙草を吸う一連の動作の息がピッタリなのも最高なんですが、筆者がグッと来たのは「一介の泥棒と…」というセリフの部分です。
まず、普通なら名乗る時は自分であるべきだと思うんですが、あえて次元がルパンを指してルパンが次元を指すんですね。
「俺とお前」じゃなくて、「お前と俺」みたいな(分かってくれる方、結婚しましょう)。

以上になります。

「次元大介の墓標」は、次元のピンチをルパンがアシストする展開だったように思います。
それでいて、最後の種明かしはルパンが持っていくという主人公らしい展開もあり。
2人は1つ、2人で1つ、と実感せざるを得ない構成になっていました。

荒々しくも繊細な作画に載せて語られる、ハードボイルドな台詞の数々。正直、最初から最後まで名言のオンパレードでした。
私の文章で果たしてどれだけ伝わっているのか不安しかないのですが、書き起こしてみるとこの脚本の素晴らしさに惚れ惚れしました。

以上、アニメ映画は基本的にジブリとディズニー以外観ない筆者が惚れ込んだ名作ブロマンス映画についてでした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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