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《楽曲紹介》Helter Skelter (1968)/The Beatles

前回の記事を読んで下さった方、ありがとうございます。

今回は、2回目の楽曲紹介になります。

のちのヘビメタの起源になったと言われているビートルズの「ヘルタースケルター」についてです。

① ヘルタースケルターについて

まずタイトルになっている「ヘルタースケルター」という言葉ですが、これには「慌てる」だったり「混乱している」という意味があります。

一方では、遊園地のとあるアトラクションのことも指すようです。
こういう、螺旋状になっていて大きい滑り台みたいなやつ。

そして、チャールズ・マンソンという凶悪な犯罪者のことは、去年上映された「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をご覧になった方ならご存知の方もいるのではないでしょうか。

ヘルタースケルターは、チャールズマンソンが引き起こしたシャロンテート殺害事件にも繋がった問題作とも言われています。

それについては後半で語ろうと思いますので、最後までお付き合い頂けたら幸いです。

② ビートルズ史上、最高にハードなロック

この曲は忙しないギターの16分音符から始まり、畳みかけるようにエッジの効いた歌声が響き、それを追いかけるようにしてドラムが登場します。

冒頭10秒で早くも「ロックだぜェーーッ!🤟と叫びたくなるようなテンションが完成してしまいます。


その後、筆者が「この曲で一番好きな要素」であるガリガリと床を震わせるような、ダウンピッキングのベースが重なってきます。

一定の低い音で弾かれるその音色は、さながらバイクのエンジン音のようでめちゃめちゃカッコいいです。



それから、叫ぶようなポールのリードボーカルに重ねられるコーラスも最高です。

" ah " や " yeah " などの感嘆詞なのですが、まるで抑揚が無い
濁点さえついているような気怠い発音。退廃した雰囲気を感じます。

(※ちなみに、この曲に登場するコーラスのフレーズで筆者が一番好きなのは「ダッダッダッダッダッダッダアァ⤵️」です。同士いますか)

③ 歌詞

ざっくりとした、歌詞の和訳を載せておきます。
(間違っていたらすみません)

When I get to the bottom, I go back to the top of the slide
滑り台の下まで行ったら また頂上まで登って

Where I stop and I turn and I go for ride
そこに着いたら向きを変えて また滑る、

Till I get to the bottom and I see you again
下まで行って また君に会えるまで


Do you, don't you want me to love you
君は僕に愛してほしいの、ほしくないの?

I'm coming down fast but I'm miles above you
早く滑ろうとしてるけど まだ君より何マイルも上

Tell me, tell me, tell me, come on, tell me the answer
教えて 教えて 教えてくれよ 僕の質問に答えてくれ

Well, you may be a lover but you ain't no dancer
君は恋人かもしれないけど ダンサーじゃない


Now, helter skelter, helter skelter
ヘルタースケルター ヘルタースケルター

Helter skelter
ヘルタースケルター


Well, will you, won't you want me to make you
君は僕のものになりたいの、なりたくないの?

I'm coming down fast but don't let me break you
早く滑ろうとしてるけど、君を傷つけたくはない

Tell me, tell me, tell me the answer
教えて 教えてくれ 答えを教えてくれ

You may be a lover but you ain't no dancer
君は恋人かもしれないけど ダンサーじゃない


Look out, helter skelter, helter skelter
気をつけろ ヘルタースケルター ヘルタースケルター

Helter skelter
ヘルタースケルター


Look out, cause here she comes!
気をつけろ 彼女が来るぜ!

(割愛)

She's coming down fast
彼女が早く降りてくる

Yes she is...
そうさ 彼女が…

" I've got blisters on my fingers!! "
「俺の指にマメが出来た!」

滑り台になぞらえた歌詞ですが、「ヘルタースケルター」の意味のひとつ「混乱する」にピッタリのハードな曲調なので、2つの意味が含まれていそうです。

ただ、この歌詞に深い考察は不粋であり、その激しいサウンドに陶酔すべきと思います。

なぜなら作ったポール本人が

「ザ・フー
(当時有名なロックバンド)の激しい曲調に対抗するために作った、おふざけで書いた曲」

と言っているからです。
それなりに苦労して作ったこの曲のことをそんな風に言えるなんてカッコいい。

また、最後の
" I've got blisters on my fingers!!"というのは、
ドラムを激しく叩きすぎたリンゴスターがスティックを投げ捨てて叫んだ台本なしの言葉です。

リンゴは後にこの曲のことを「完全なる狂気とヒステリーの中で作り上げた曲」と語っています。

この曲のプロデュースを担当した方も同様に語っていて、「収録中にジョージ・ハリスンが火の付いた灰皿を頭に乗せてスタジオを走り回っていた」とのこと。

狂気すぎる。

④ 殺人鬼を生み出してしまう

この曲はザ・フーというバンドに影響されたポールが「俺らもあんなハードな曲作ってみようぜ!」ということで生み出されたのですが、意図せず凄惨な事件を起こす引き金になってしまいます。

それがチャールズ・マンソンが主犯となった「シャロン・テート殺害事件」です。

彼はこの曲のことを裁判でこう述べます。

「この『ヘルタースケルター』が意味するのは、文字通り混乱だ。混乱があっという間に俺らを取り囲むんだ」

この曲が生まれた頃、世の中のあり方に不満を持った若者たちが「平和が一番だよね」という同士だけで集まって生活してしまうような、混沌とした時代でした。

そしてマンソンは続けます。

体制が急激に世の中をぶち壊しているから、音楽が若者に立ち向かえと命じているまるで陰謀だと思わないか?」
「俺が企てた陰謀じゃないし、俺の音楽でもない。俺は音楽が語ることに耳を傾ける
音楽が『殺せ』と言っているんだ。なぜ俺のせいにする? 俺が曲を書いたわけじゃない」

作り手側に全くそんな意図が無かったにしても、悲しいことにマンソンには犯罪を助長する曲に聞こえてしまったそうです。

彼の言葉がどこまで本質か分かりませんが、世の中に不満があるから犯罪を起こしていい理由にはならないし、罪の根源をアーティストに擦りつけるなんて言語道断ですね。

ビートルズ以外でも、世間で広く知られることになるアーティストや作家は、度々犯罪を起こす原因のひとつとして取り上げられます。

創作活動をする上では、どうしても「善人にだけ届け!」ということは出来ないのが心苦しいですね。

⑤ 最後に

いかがでしたでしょうか。

以上が、200曲以上を生み出したビートルズのなかで最もハードロックな曲であろう「ヘルタースケルター」についてでした。

曲のリンクを貼っておくので、是非聞いてみてください。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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