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高齢者の就活②~訳あり物件に要注意

小さい組織だと、最初に組織を作った人達の一部がいつまでも残っている傾向があります。特に、仕事内容がそもそも地味で現状維持でいい組織は、そもそも活力がなくなっています。
技術の進歩や利用者のニーズ、多様性の尊重など、時代に沿った進歩を求める人は、現状維持していきたい人達(高齢になるほど変化を嫌う傾向)の抵抗勢力にあって、そうそうに辞めてしまいます。

こうした閉じた会社は、時代の流れに乗ることもなく「それでいい」環境を維持していくことを守るため、新しい人が避ける域へと達していきます。

抵抗勢力とは、現状に胡坐をかく高齢者です。
新しい技術、例えばネットワークやデータ共有が業務効率の鍵になっていることを知らないし知ろうともしない。それ以前に、PCを使うのが下手というか、機能がいつになってもよくわからない。管理職はプライドもあって、人に聞けない。
定年まで同じ一般事務しかやってこなかった人も、新しいことへの適応性はありません。それどころか、自分が一番正しいと信じて疑わないところもあります。小さな会社だと、安い賃金の高齢者が、昭和のやり方のまま、以前のように事務作業を続けていることも多くあります。
現代のやり方を知っている人に古いことをやらせようとするため、後継者がみつかりません。

知人の紹介で、私はそんな硬直した組織に足をふみいれてしまいました。というのは、まさかそんな酷いこととは想像できなかったからです。

そこには75歳の昭和レトロ婆さんがいました。ひとりで会計をしてきたのですが、生真面目でミスも少ないため、8年ほどの間、彼女は彼女ひとりの世界にいて、妙なプライドだけが膨らんでいました。

彼女は初めての私にぽいっと伝票とお金を投げてよこし、

「書いといて」
「は?どう書くんですか?」
「そこに伝票の箱があるからその中から同じものを探して同じようにして」

来客が来ると(コロナ終盤の頃でした)

「水出して」
「は?」
「さっさと立ち上がって検温するのよ」

一事が万事この調子。
私は知人から、75歳老女の引き継ぎの予定の人が2か月でやめて困ってると聞いてはいたのですが、さらに伝票ははんこを押して手書きするというセピア色の仕事の仕方をしていて、それを強要することに絶句しました。だって会計ソフトがあるのに。伝票は印刷できるのに。知らないらしい。

データという概念もなく、すべて紙出しして、紙で渡してきます。

私が紙に書かれた内容をexcelに書き起こしていると、気になったのか、

「何してるの?」
「マスタファイル作成してます」(←私も嫌な奴)
「・・」

銀行に通帳とカードを持って行ってATM送金入金しているのも驚きでした。
ネット銀行を誰も知らなかったのです。だから給料日とか振り込み日とかがきたら、ATMを陣取り、10件ほど送金入金を繰り返して、次の人に迷惑をかけることを毎月行っているのです。

高齢者の職探しには罠がある。理由がある。訳ありである。
簿記3級とったから採用されるなんて、話がうますぎると思ったらそういう「訳あり物件」だった、というわけです。







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