Tatsuro Kashihara

ヨーヨープレイヤーです。映画の監督をします。文章を書きます。『海洋堂創世記』、『「痴人…

Tatsuro Kashihara

ヨーヨープレイヤーです。映画の監督をします。文章を書きます。『海洋堂創世記』、『「痴人の愛」を歩く』、『帝都公園物語』、そして『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』が晶文社から4月25日発売❗️

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記事一覧

『ソース焼きそばの謎』出版記念!新しい時代の実証主義について!

ハヤカワ新書から塩崎省吾さんの『ソース焼きそばの謎』が出版され、話題を呼んでいるので応援企画を書きましたぁっ! とりあえず、まずは5年前に書いた以下の文章を読ん…

Tatsuro Kashihara
11か月前
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知られざるヨーヨー大国

〈この文章は2016年にビッグコミックオリジナルに寄稿したものです。〉  秋葉原にあるヨーヨーの専門店スピンギアがつい先日、開店十周年を迎えたという。日本初のヨーヨ…

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『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』発売記念企画!

4月25日に新刊『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』が発売されます。 ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史 https://amzn.asia/d/eYTW2Gq これは晶文社スクラッ…

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労組が生んだ大傑作『太陽の王子ホルスの大冒険』

 まずは『太陽の王子ホルスの大冒険」が作られた時代背景から考えてみたい。制作が始まったのは1965年、公開されたのは1968年、大作とはいえ、日本のアニメで3年もかける…

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阿佐田哲也の新刊を読む喜び

 この度、幻戯書房から刊行された『三博四食五眠』は阿佐田哲也の新刊である。永年の読者としてはもう阿佐田哲也名義で新刊が出るというだけで嬉しい。 本名の色川武大…

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鬼才・馬淵薫の生涯

 戦前の共産党は過激で危険な集団だった。何故かというと、彼らは皆、全世界規模での共産主義革命を目指していたからだ。つまり、戦前の大日本帝国においては、共産主義者…

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海洋堂創世記外伝 その壱

『海洋堂創世記』には、全体のバランスの関係で書けなかったことや、枚数の都合でカットした部分がありまして、面白い話もけっこうあるので、ここで公開することにしました…

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魔法騎士レイアース・レビュー補遺

 これ、元は『アニメのかたろぐ』用の原稿だったんですが、枚数間違えちゃって、というか全体の都合で2ページの予定が1ページになってたの忘れてて、校了直前に半分に削…

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『ソース焼きそばの謎』出版記念!新しい時代の実証主義について!

ハヤカワ新書から塩崎省吾さんの『ソース焼きそばの謎』が出版され、話題を呼んでいるので応援企画を書きましたぁっ!
とりあえず、まずは5年前に書いた以下の文章を読んでもらいましょうか。


【お好み焼きから21世紀の教養主義が見える話】
 とんでもない本が出た。しかも電子書籍で今のところAmazonでしか買えない。『お好み焼きの戦前史』と題されたこの本の著者は「近代食文化研究会」とあって著作は

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知られざるヨーヨー大国

〈この文章は2016年にビッグコミックオリジナルに寄稿したものです。〉

 秋葉原にあるヨーヨーの専門店スピンギアがつい先日、開店十周年を迎えたという。日本初のヨーヨーショップとして中野ブロードウェイでオープンしたのが平成一八年、物珍しさはあるものの、こんなにもニッチな商売で採算が成り立つのかとも思われたが、この十年で店舗は拡大し五年前に秋葉原に移転した。他にも愛知、北海道に大阪と、各地でヨーヨー

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『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』発売記念企画!

『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』発売記念企画!

4月25日に新刊『ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史』が発売されます。

ロックの正体 歌と殺戮のサピエンス全史 https://amzn.asia/d/eYTW2Gq

これは晶文社スクラップブックに連載したものを大幅に加筆したものですが、

http://s-scrap.com/category/kashiharatatsuro

実は『ロックの正体』にはプロトタイプとなる文章が存在します

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労組が生んだ大傑作『太陽の王子ホルスの大冒険』

 まずは『太陽の王子ホルスの大冒険」が作られた時代背景から考えてみたい。制作が始まったのは1965年、公開されたのは1968年、大作とはいえ、日本のアニメで3年もかけるのは異例のことである。1965年といえば、世界史ではアメリカがベトナム戦争に直接介入し始めた年として、世界史に記憶されている。1968年にはフランスで5月革命が起き、チェコスロバキアではプラハの春と呼ばれる変革運動があり、アメリカで

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阿佐田哲也の新刊を読む喜び

 この度、幻戯書房から刊行された『三博四食五眠』は阿佐田哲也の新刊である。永年の読者としてはもう阿佐田哲也名義で新刊が出るというだけで嬉しい。
本名の色川武大と阿佐田哲也と、二つの筆名を使い分けて我々読者を魅了したこの作家が亡くなったのは平成元年のことだから、あと少しで没後三十年を迎えることになる。今の二十代にとっては自分が生まれる前の作家であり、言ってみれば歴史上の人物である。にもかからわ

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鬼才・馬淵薫の生涯

 戦前の共産党は過激で危険な集団だった。何故かというと、彼らは皆、全世界規模での共産主義革命を目指していたからだ。つまり、戦前の大日本帝国においては、共産主義者というだけで危険人物だったわけだ。このあたり、戦後の、いや現在の日本共産党とは事情が大きく違う。
 1917年大正6年のロシア革命成立以降、政府は共産主義思想の流布を恐れていたので、戦前の共産主義者は度重なる弾圧を受けた。
馬渕薫が

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海洋堂創世記外伝 その壱

『海洋堂創世記』には、全体のバランスの関係で書けなかったことや、枚数の都合でカットした部分がありまして、面白い話もけっこうあるので、ここで公開することにしました。

まず第1話は「ペットボトルのアルコール」の話。これは僕しか知らない。龍ちゃんとシゲちゃんには話したけど、二人ともたぶん覚えてないから、文字通りの秘話だ。

渋谷の道玄坂を登りきって右の曲がったところにあった「海洋堂 渋谷ホビーロビー」

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魔法騎士レイアース・レビュー補遺

 これ、元は『アニメのかたろぐ』用の原稿だったんですが、枚数間違えちゃって、というか全体の都合で2ページの予定が1ページになってたの忘れてて、校了直前に半分に削らなきゃいけなくなってしまったんですね。で、以下が削る前のバージョンです。

 恥ずかしい話だけれど、リアルタイムで『魔法騎士レイアース』の番宣広告を見た時は「ああ、セーラームーンの二番煎じか」と思ったものだった。

 実際、セーラームーン

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