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90年代ハードロック個人的10選Ⅱ

80年代の勢いは90年代に入りグランジロックなどの勢力に押されて弱まってしまった感のあるハードロック・ヘヴィメタル勢ですが、80年代にはなかった成熟したサウンドを聴かせて、進化していった側面もあり、それは90年代初頭までは十分に機能していたんじゃないかと個人的には思ったりします。僕がハードロックを遅まきながら聞き始めた1996年にはもうかなり往年の勢いは失われた感はありましたが、時代の変わり目にあったのでそれは仕方ないことなのかなと思います。僕自身も気分的にハードロックのアッパーなサウンドが合わなくてイギリスのオアシスやレディオヘッドなどの(80年代的なハードロックよりは)陰鬱な現代的なロックがあの90年代の空気にはあっていたと実体験的に思ったりしました。でも時代は大きく変わった今の気分で聴くと、あの90年代の成熟したハードロックの肯定的(?)な響きは心地よく響いてきたりするので、逆に今、ニーズがあるのかもとか思ったりします。世界全体が暗い時代なのでやっぱり音楽は生命力のあるものを聞きたいですもんね。そんな感じですべて90年代初頭のサウンドですが、どうぞ。


Get The Funk Out / Extreme (1990年)
「90年代ハードロック個人的10選」でも2曲入れましたがエクストリームのデビューアルバムはハードロックマニアの友人に教えてもらって、当時よく聞いていました。やっぱりこの曲も聞きやすくて好きでしたね。80年代の延長みたいなノリがいいです。いい時代ってそう長くは続かないんだなあってハードロックが時代に翻弄される様子を見ていると思ったりします。


Daddy, Brother, Lover, Little Boy / Mr.Big (1991年)
ミスタービッグはハードロックを聞き始めた僕の中でボン・ジョヴィ、エアロスミス、ヴァンヘイレンと並ぶ「四天王」みたいな存在で1996年から1997年の僕の中での「ハードロック全盛期」を強力に支えたバンドの一つでした。まずテクニックが凄い。ポール・ギルバートのギター、ビリー・シーンのベース、パット・トーピーのドラムなどのバックサウンド。そしてそれに乗っかる透き通るようなエリックマーティンのボーカル。この曲ではそれが全面に出ていますね。この1991年のアルバム「リーン・イントゥ・イット」はかなりいいみたいですね。後のベスト盤で好きになった曲がかなり入っていたので。すいません、偉そうなこと言って、ミスタービッグはベスト盤しか聞いていないのですが。次から次に聞きたい曲が出て来たりしていたのでちゃんとアルバムは聞けてなかったりします。ベスト盤はやっぱりお手軽に聴ける便利アイテムやなあって思ったりします。動画で初めて有名な「ドリル奏法」見ましたが本当に電動ドリル使っていたんですね笑。凄い。CDなら連続でしたがちょっと間が空くのは仕方ないか。


Green-Tinted Sixties Mind / Mr.Big (1991年)
ミスタービッグで一番好きな曲かもです。ミスタービッグはハードなロックよりもこういうポップな曲でいいのが多くて、聞きやすくて僕は結構好きでした。好き嫌いは分かれるかと思いますが。ボンジョヴィ好きならミスタービッグも好きっていう人は結構多かったのではないでしょうか。どっちも日本で大人気でしたし。有名な「トゥー・ビー・ウィズ・ユー」は今回も外して「90年代洋楽個人的10選Ⅴ」とかに入れようかなと思います。90年代も名曲が多くて選ぶのがなかなか大変ですね。


Just Take My Heart / Mr.Big (1991年)
これも大好きな曲です。ミスタービッグのバラードでは「トゥー・ビー・ウィズ・ユー」よりも好きです。夜の神秘的な雰囲気を連想させるというか、心が洗われる感じがして、歌詞とかは失恋ソングだったりしますが、洋楽で英語なので聴いている時はそんなことは露とも知らず、雰囲気だけで聴けるところが逆に洋楽のいいところなのかな、と思ったりします。聞き方が邦楽のように歌詞に制限されないというか。当時の90年代の邦楽のヒットソングは恋愛ソングばかりでげんなりしていたので余計に洋楽へ傾いていったのかもしれないです。


Psycho Love / Skid Row (1991年)
スキッドロウは長い間80年代のデビューアルバムの曲しかいいと思わなかったのですが、ようやくこの1991年の全米1位を取った「スライブ・トゥ・ザ・グラインド」のロックサウンドの良さが分かってきてここ数年かなりお気に入りのサウンドになっています。1997年に件のハードロックに詳しい友人からこのアルバムを借りたのですが、ビギナーにはやや敷居が高かったのかその良さは分からずスルーしていました。やっぱりこの時代はグランジのニルヴァーナとかが一気に駆け上がっていく時代でしたが、ハードロックも進化の頂点を極めんとしていて、まあほとんどその時代の精神を鳴らすと言う意味では違いはなく、同じスピリットの音楽だったなあとよく似たサウンドを聴くと思ったりします。ワイルドでソリッドというか、ロックの本物感が80年代に比べて増していますね。商業主義からの脱却みたいな感じで。


Monkey Business / Skid Row (1991年)
この曲もいいですね。怒りが正しくカッコよくロックに昇華されているみたいで好きです。ハードロック聞き始めはこういう曲の良さが分からなかったんやなあって、思ったり。まあまだ10代とかやったし底が浅かったというか、勢いだけで突っ込んで溺れてもがいてを繰り返して動けなくなった時代でしたし。でも若いっていいなあとこの年齢になって思います。おっさんくさいこというようですが、思いっきり失敗出来るから。まだやり直しが効くから。今の年齢でそれをやると、なかなか難しいですね。だからこそ生のリアルな体験からこういう素晴らしいロックとかが生まれるんやなあって思ったりします。


Right Now / Van Halen (1991年)
ヴァンヘイレンもベスト盤しか持っていなかったので偉そうなことは言えないですが、ヴァンヘイレンのバラードというかスローな曲では一番好きかもです。無駄がないというか、やっぱり90年代の成熟、洗練みたいな感じがいい意味でここでも出ているなとか思ったりします。でもそれもあの豊かな80年代を通ってきたからこそ生まれるのであって、90年代は急激に乾いていった時代だからその空気だけだと情のあるいい音楽はなかなか生まれなかったり。いろいろ難しいですが、だからこそこの90年代初頭に名曲がハードロックはいっぱい生まれたのかもとか思ったりします。個人的意見なので、別の見方もあるかもしれませんが。


Let's Get Rocked / Def Leppard (1992年)
デフレパードは「四天王」の次に聞き始めた僕にとって「フロンティア」なバンドだったのでハードロック寿命を引き延ばしてくれた存在で思い出深いものもあります。デフレパードが良くなかったらもっと早く他のジャンルに行っていたかもです。ボンジョヴィやミスタービッグみたいなメロディアスなハードロックが好きだった当時の僕にはピッタリでしたね。90年代になってもいい感じで80年代の空気感でそのままロック出来た稀有なバンドのひとつかなとか思ったり。この曲を聴くとそう思います。すいません、デフレパードもベスト盤しか聞いていないので。でも当時はかなりお気に入りの曲ではありました。今聴いても上がりますね、気分は。動画は当時最先端のコンピューターグラフィックを使っていてそれが逆に時代を感じさせますね。


Little Bit Of Soul / Bon Jovi (1992年)
これは本当に最近になって好きになった曲です。ボンジョヴィの5作目「キープ・ザ・フェイス」の(ボーナストラックを除けば)最後に入っている曲なのですが、つい最近までずっとスルーしてきました。タイトル曲とか前回紹介した「イン・ジーズ・アームス」とか聞きやすい曲ばかり聴いていて、この曲の存在はほとんど知らなかったのですが、よく聞くとアメリカ大陸のスピリットを程よく体現したブルース、カントリーテイスト(正しい言い方かどうかは分かりませんが)も入った渋い名曲だと思ったりします。10代の僕はこの渋さは分からなかったですね。


Eat The Rich / Aerosmith (1993年)
エアロスミスで一番好きな曲です。聞きやすくて分かりやすくて乗りやすくて最高のロックナンバーだと思います。ハードロック聞き始めたばかりの僕もすぐにエアロスミスとこの曲とか好きになっていきました。当時でもう今の僕と同じくらいの年齢で、そしてこの底知れないバイタリティーで若い現役のどのロックバンドよりロックして売れまくって。本当にこの頃のエアロスミスは凄かったですね。これだけ凄い40代(45歳くらい)が作ったロックアルバムは歴史を通してもほとんどないのではないでしょうか。どこまでもロックスピリットを忘れない「金持ちを食らえ」って言うメッセージは格差があの頃よりも大きくなった今の時代になお響くのではないでしょうか、とかそんなことを思ったりします。


いろいろな時代をタイムスリップするみたいに音楽を聞いたりして飽きないですね。音楽は本当にその時代の空気をパッケージするからよりリアルに「戻れたり」、経験がなかったら「行ったり」出来るから、いいですね。でもやっぱりこの時代は小難しいこと言うようですが、身体性を持った大人が等身大でロックしていたから、こんなに今のこの時代の、遠くまで響いてくるのかなって思ったりします。まず人間としてしっかり育ってそこから怒りとかいろいろな感情が脳内で昇華されて、健康な身体から「ロック」として出力される、みたいな感じがして好きです。今の時代もそれなりにいい音楽があるとは思うのですが、好みの問題かもですが僕はやっぱりこの時代のロックが好きですね。90年代、僕が育った時代は個人的にはもう乾いた時代で身体性より「逃避的な」脳内再生の時代に突入していった、そんな気もするので。でもそこから新しい音楽も生まれたりして時代は移ろっていくのでしょうけど。そんなこと書いている僕も逃避癖がかなりありまくったので、偉そうなことは言えないですが。でもだからこそ等身大の身体性でロックしていた「レジェンド」たちに強く憧れるのかなとか思ったりします。ではまた何かの10選で。

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