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昔話

ゲーム動画を見て
昔の自分を
思い出した

真面目な少年は
目の前に映る
疑似空間に
ひとりで生きて
自分で何とか
クリアしようと
もがいていた

その時間
寂しくもあっただろうが
押し殺して
ただ
目の前のことを
─頑張った─

今思えば
それは歪な時間で
空間で
あの時の
少年も
─なんか違う─
って思っただろうが
言葉には出来ず
ただゲームを
生きることに
同化して
こなしていた

なんか違う
もっと
人間として
何か大事なことを
与えられるべき
なんだろうけど
それは
あの時代には
届かないことで
うやむやにされたまま
僕の中に
─自己不全感─
として
積もっていく

母さんは今日も遅いや
仕事終わりの
いろいろ付き合いも
あるのだろう

おばあちゃんは
もう寝たし
しゃあない
また
ゲームの続きでも──

動画を見て
健気に
欠けていく
少年に心を寄せる

あの時代は
あんな感じで
すべては回っていたから
今さら
どうしようもない

あのピコピコ音が
暗闇に幽閉された
パラレルな
分岐点を
炙り出しただけさ──

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