見出し画像

90年代個人的洋楽10選Ⅵ

90年代初頭とかはまだ80年代からの濃密な情の流れみたいな豊かなバラードとか多かったような気もします。2000年代程はまだ乾いてなかったですが、やっぱり80年代に比べて90年代に入るといろいろと「情」の部分が、洋楽世界に限らず乾き始めた感じがするので、その本格的な乾きに入る手前の90年代初期が、結構濃密でかつ技術的にも高いレベルのバラードが多かったような気もします。ボーイズⅡメンとかR&B系の圧倒的な技術とまだ時代に残っていた「人情味」のスパイスが絶妙だったなあ、とか思ったりします。90年代も第6弾とかになりましたが、まだまだ探せばありますね。ローマ数字で表したりしているので大丈夫かな、とかやや不安にもなりますが笑、出来るだけ続けていけたらと思います。今回はバラードのみですが、早速どうぞ。


Nothing Compares 2 U / Sinead O'Connor (1990年)
邦題は「愛の哀しみ」で、プリンス作曲でこのシンニードオコナーが歌い世界的な大ヒット曲となりました。少し前に亡くなったみたいですね、確か。新聞記事にもなっていたと思います。調べたら去年の7月に56歳で亡くなったそうです。ご冥福をお祈りいたします。個人的な思い出で言えば、何回かこのシリーズで言及している「MEGA HITS」シリーズのコンピレーションアルバムの90年代のものを11枚セットで購入してそこに入っていて、やっぱり情感溢れるそのボーカルに心奪われ、MDとかに好んで収録したりしていました。女性でありながら短髪姿というのもインパクトがあって印象に残っています。ウィキペディアで見たら、幼少期にアイルランドの厳格なカトリックの家庭で育ち、主に父親やそのカトリックに対しての反発心で攻撃的な音楽やスタイルの表現のためにそうしたらしいです。作曲者であるプリンスの感性も彼女に合っているようにも思え、だから余計に相乗効果で世界的な大ヒット曲になったのかなと思ったりします。


It Must Have Been Love / Roxette (1990年)
邦題は「愛のぬくもり」で、1990年の大ヒット映画、リチャードギア、ジュリアロバーツ主演の「プリティウーマン」の劇中歌として使用され大ヒットを記録しました。調べたら元々はその3年前の1987年に出ていた曲らしいですが、プロデューサーの目に留まってこの映画に使われたみたいです。映画はほとんど見ない人間ですが、この「プリティウーマン」は中学生くらいにビデオで見ていて、そのサクセスストーリーとか、シンデレラ的にやっぱり面白かったですね。感想が相変わらずですが笑、かなり話題になっていたのでさすがの僕も見たりしていました。今、結構時間あるのでそういう今まで見ていない有名な映画とか見ていきたいと思ったりします。MVいいのはあったのですが、他の曲と比べて音量が低めですのであしからず。


My, My, My / Johnny Gill (1990年)
この曲は件の「MEGA HITS」シリーズの80年代バージョンのコンピレーションアルバムを購入してその11枚目がモータウンレコードからのアーティストや曲で購入当時の四半世紀前はやっぱりまだ洋楽ビギナーだったので、分かりやすい曲に飛びついて、このやや渋めのR&Bの楽曲集には目が行かなかったのですが、年齢を重ねて改めてこの11枚目を聴くと、その良さがようやくわかったりしてきて、この曲とかお気に入りになっています。あの時代の豊かな感性が滲み出ているようなオシャレな曲で、都会の最上階に揺れる男の感情みたいな、ニューヨークマンハッタンの夜景を眺めながら最高級の恋愛とかしていると、めちゃくちゃ沁みるんだろうなとか、届かない妄想をしてしまいます笑。


Because I Love You (The Postman Song) / Stevie B (1990年)
これもまた「MEGA HITS 80's」で知った曲で、一発で気に入りましたね。何とも言えない透明感と、ハイクラスな響きが、ロマンティストな夢見る若人だった当時の僕の感性に響きまくって、こんな曲をバックに恋愛してみたいなとか思ったりしていましたが、ひきこもりに向かっていく運命の中で、叶わないままで終わったりしましたね。そんな切ない思いもこの曲の中で昇華され、マッチ売りの少女みたいに夢ばかり見ていたあの部屋のことを、痛みとともに思い出したりします。余談ですがこの曲を聴いていた当時、1996年から1997年にかけて大ヒットしていた朝ドラ「ふたりっ子」の劇中でも一瞬かかったりしていたことを目ざとく見つけたりして、懐かしく思い出します。あのマナカナちゃんが子役で、成人してから別の俳優さんの恋愛場面とかで流れていました。能年玲奈の演技と宮藤官九郎の脚本が最高だった「あまちゃん」とこの「ふたりっ子」は朝ドラでは一番見ていた記憶があります。


To Be With You / Mr.Big (1991年)
この流れの中で入れていいのか悩みましたが、なかなか「90年代個人的ハードロック10選」とかで漏れ続けていたので、そろそろ入れないとと思ってここで入れさせて頂きました。ミスタービッグ最大のヒット曲で1992年にビルボードで3週間1位に輝きました。やっぱり昔から好きでしたね。聞きやすいし、ハードロックのバラードの中でも、普遍的なスタンダードナンバー化している楽曲だと思います。でも他にいい曲が多すぎてなかなかここまで出せなかったりしました。まあこの流れではスパイス効いていてよかったかもとか思ったりします。やっと出せてほっとしております。


I'll Be There / Mariah Carey (1992年)
90年代最大のスーパースターはやっぱり彼女ではないでしょうか。50年代のエルビスプレスリー、60年代のビートルズ、70年代は誰になるのでしょう、そこはいろいろな意見があり保留、80年代はマイケルジャクソン、と言った感じでデケイドごとの最大のスーパースターは洋楽に現れ続けてきましたが、時代性もあるのでしょう、女性のマライアキャリーがこの年代を代表するスーパースターであることはあまり異論はないかと思ったりします。で、この曲は彼女の当時流行していた「MTVアンプラグドライブ」収録アルバムからの一曲でシングルカットされビルボード1位になったりしました。マイケルジャクソンがいたジャクソン5の往年のヒット曲のカバーで、名カバーだと思ったりします。MVはマライアキャリーが一番輝いていた頃の映像だったりするので、見ていて楽しいですね。ここから5年くらいは無敵でしたね。


End Of The Road / Boyz Ⅱ Men (1992年)
確かこの曲でビルボードの連続1位の記録が何十年ぶりかで破られたとかだったと思います。それまではエルビスプレスリーの「ハウンドドッグ/ 冷たくしないで」が持っていた11週連続とかが最長記録だったのですが、このボーイズⅡメンの「エンド・オブ・ザ・ロード」は何と13週連続1位となって新記録を打ち立てました。マニアックな話をすると、80年代初頭までは結構ビルボードで10週連続1位とか長期に渡って1位になる曲があったりしたのですが、80年代半ばから最大でも4週連続とかで、なんでやろうとか思っていて、でもこの曲のヒット辺りからまた長期に渡って1位になる曲が出てきてって感じで。その理由はチャートの集計方法が変わったらしく、細かいことは忘れましたが、そんな集計方法などにも影響受けるんやなあ、と大昔はかなりビルボードチャートマニアだったので、興味深く感じたりしていました。まあ楽曲のよさが何だかんだで評価されるのは今も昔もあまり変わらないですかね。


I'll Make Love To You / Boyz Ⅱ Men (1994年)
で、この曲でまた彼らはそのビルボード連続1位記録を樹立します。「エンド・オブ・ザ・ロード」の13週連続1位はそれから長く君臨するかと思われましたが何とすぐ後にこれまた90年代を代表する大ヒット曲ホイットニーヒューストンの「オールウェイズ・ラブ・ユー」、あの映画「ボディーガード」の主題歌でグラミー賞最優秀レコードにも輝いた曲が14週連続1位になったりしてあっさり抜かされました。しかしながら彼らのこの曲がまた同じ14週連続1位となり追いつき、そして余談ではありますが、何と彼らはマライアキャリーと組んだ「ワン・スウィート・デイ」でその1年後くらいにこの記録さえも抜く16週連続1位となって目まぐるしくチャート記録は毎年のように更新されていきました。この16週連続1位の記録はさすがに長く君臨し続け2019年にリル・ナズ・Xというラップ歌手が17週連続1位の記録を打ち立てるまでその座に居続けていました。でもやっぱりこの曲がミディアムテンポの名バラードだったからこそ、これだけ多くの人を惹きつける名曲、大ヒット曲になったのだと思います。ちょっとチャートの話に偏ってしまい、申し訳ないです。マニアなので、ごめんなさい笑。


On Bended Knee / Boyz Ⅱ Men (1994年)
ボーイズⅡメンが続きますがこの当時の彼らは本当に神がかっていましたね。チャート記録ばかり追いかけてしましましたが、やっぱりその楽曲の良さは飛び抜けていたからこその記録であって、この曲はその彼らの楽曲のよさが際立っている名曲だと思います。この曲もビルボードで6週連続1位に輝いた大ヒット曲ですが、それさえ彼らの中では平凡な記録となってしまうくらい、ヒット曲のボリュームが凄いです。個人的にはボーイズⅡメンの曲の中で一番美しい旋律を響かせていると思う曲だと思います。そんな彼らがこのデケイド最大のスーパースターマライアキャリーとデュエットして件の16週連続1位の曲を出すのですから、プロデューサーの手腕が凄いな、やっぱり向こうはあの当時本物がたくさんいたんやな、とか思ったりします。でもこの「ワン・スウィート・デイ」はもう前回「90年代個人的洋楽10選Ⅴ」で紹介したので、ここでは取り上げません。申し訳ないです。


SUKIYAKI / 4 P.M. (1994年)
最後はこの曲で。人情味の極みみたいなこの曲はご存じの通り日本の往年のスター坂本九の「上を向いて歩こう」のアメリカでの題名で、今はアジア人では韓国のBTSがビルボードで何回も1位取っているらしいですが(すいません、K-POPは疎いです)、アジア人でBTS以前はこの坂本九のこの曲だけがビルボードで1位に輝いた曲でありました。その後1981年にテイスト・オブ・ハニーという女性ボーカルのグループが「上を向いてあるこう」の日本語の歌詞を英訳した曲を「SUKIYAKI」としてカバーし直してヒットさせたりしていました。この1995年の2月にビルボードで2週間最高位8位を記録した4P.M.のバージョンもそのテイスト・オブ・ハニーのカバーを踏襲しております。1995年の時代の空気感はいよいよ乾き切る前みたいな感じでしたが、その最後にこういう人情味の極みみたいなバラードがヒットしたのも興味深いなとか個人的に思ったりします。


R&Bが多めでしたが、やっぱり黒人のこういうハーモニーは独特で、この時代はそう言う音楽が全盛だったなあ、と思ったりします。ロックとかではハードロックがグランジ勢に押されてそれまでの王者の地位から落ちていきましたが、ポップスではまだより濃厚な人情味が技術と合わさり史上もっとも豊かな楽曲が並んでいた、そんな風にも思えてきたりします。でもその時代はやはり90年代後半に入って急速に乾き切っていって、もう誰もあの豊かさを再現できないまでに落ちていったような気もします。個々の楽曲とかではいい曲は多いのですが、あの時代の空気感はやはりノスタルジックに響く独特なものなので、とても貴重でいて、そして儚い夢だったのかな、と思ったりします。もうあんな豊かな時代は戻って来ないでしょうね、洋楽は。音楽は本当にその時代のその文化の本質を鳴らしていくと思うので、今はそのアーカイブから宝石を取り出すようにここでいろいろ紹介していけたらと思ったりします。ではまた何かの10選とかで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?