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猫を追って

人並みをかき分けて
孤独な総体を
崩しながら
ネオンの下を
くぐり抜けた先
 
猫が横断歩道を
横切っていった
信号はまだ
赤だというのに
関係ないさ
生きるも
死ぬも
自己責任
とでも言うように
車を避けて
走り抜けていく
 
ああ
僕もあんな風に
走ってみたい
 
大人の階段は
どこまで行っても
不透明で
何をしたのか
いちいち覚えていない
 
通過儀礼なんて
人それぞれで
信号無視程度で
大人になれたら
苦労はないな
 
渡り切った先で
さっきの猫を見かけて
後を付いていった
 
路地裏の奥
開発され切っていない
古びた商店街
穴の開いた
アーケード
 
廃墟に似た
寂れた感じが
いいなと
しばらく佇んでいた
 
猫はもういない
連れてこられた場所で
 
僕は穴の開いた
ところから
夜空の星を眺める
 
終わりのような
始まりのような
何とも言えない
感情が堰止められたまま
 
奥の方でずっと
くすぶっている
 
何かになっていく
物語が
誰のものでもないと
星は語る
 
廃墟に似た
寂れた感じが
昔から好きだった
 
誰にもなりたくない
何にもなりたくない
そんなもので
僕を計らないでくれ
 
星の光が
そのまま降りてきて
くすぶったままの
奥の方を満たしていく
 
猫のように
そのままに魅せられて
赤信号を渡る
 
生きるも
死ぬも
自己責任
 
お前が正しいよ
こっちがおかしいんだ
 

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