葉っぱ
乾いた冷たい北風が
朝もやの中吹き抜けていく
少し強いらしく
落ち葉が風に舞い上がり
子どもがそれを追いかけていく
自由な時がうらやましい
時間が永遠にあると思えた
あの頃に戻りたい
見とれているうちに
遅刻しそうなのに気づいて
自転車を走らせる
子どもはまだ
葉っぱを追いかけていた
時々……思う
乾いた風の中
心まで乾かして
何にそんなに
追い立てられているんだろうって
子どもはどこで
「永遠」を失うんだろうって
せめて……「何か」が
葉っぱを夢中で追いかけるような
そんな「何か」であれば……
子どものまま
大人になるなんて
難しいことなのかな……?
誰もが夢見て
誰もが忘れて……大人になる
いつまでも夢の中では
「少し変わった人」
「危ない人」になる
そのままでいい……はずなのに
基準があいまいなまま
合わせてしまう
葉っぱはもう、ただの風景さ
見えていたものも
見えなくなる
代わりのものは見つからないまま
生きる喜びは
子ども心と一緒に
どこかへ置き忘れていく
そうやって
また今日も
さよならする人が
列車に飛び込んで
急ぎ足の大人を止める
遅れることを良しとしない
回り続ける歯車だとも気付かず
命の尊さなんてただの文字
誰一人として悲しんじゃいない
あの子どもに言ってやりたい
いつまでも
葉っぱを追い続けるんだ
こっちに来てはいけない
誰かが死んでも
何ひとつ感じなくなるまで
乾いてしまってはいけない
うるんだ瞳にしか
君の世界の続きはないんだ
染まらないで……大きくなれ
乾いた道の途中で
僕は何度も立ち止まる
乾いてしまわないように
もっと違う道はないかと
いつもどこかで探している
見つからないまま
とりあえず合わすけど
自覚している分
染まってはいない───
そう思いたい
いくら着飾ったって
いくらお金を持っていたって
「忘れた人」は……すぐわかる
「乾いた人」は……すぐわかる
そっちには絶対に行きたくないから
僕にはまだ子どもが
走っていく方向がわかる
きっとそこにしか
未来はないんだろう