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「タブー」の市場化傾向

column vol.45

最近、Facebookで「1位はやはり…。昭和時代に子供が普通に買えた物ランキングが恐ろしすぎる…」という5年前の記事が出回っていたので、気になって記事を読んだら、ちょっと笑えました。

ちなみに、1位は何だと思いますか?

〈mag.japaaan.com / 2015年6月24日〉

5位:火薬
4位:タバコ
3位:睡眠薬
2位:シンナー

そして、1位がヒロポン…。今の時代から見ると、なかなかの衝撃のラインナップです。考えてみると、昔は電話帳があり、普通に市民の住所や電話番号が載っていたわけで、昭和とはすごい時代だったなぁと今の常識ではそう思います。

昔はOKだけど、今はNGなものは頭にいくつか浮かびますが、その逆はどうでしょう?

「CBD」が当たり前の時代に!?

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世間一般には「タブー」とされていたものが、今、市場になりかけているものを小売業の視点でピックアップしたいと思います。

1つは「CBD」です。

東京・駒場に大麻草成分であるCBDを使った専門カフェ「CBD(coffee)」が9月10日、オープンするそうです!?

〈下北沢経済新聞 / 2020年8月31日〉

これには驚きました…。確かにCBDはアメリカのウェルネス業界では注目されている成分であり、特に先進的なカリフォルニアでは、HIV患者や末期がんの患者たちの要請に応じるかたちで、1996年にいち早く大麻草の医療使用を認められていました。

カフェやレストランではCBDを使ったコーヒーや料理が提供され、エステではマッサージやバス・トリートメントに使うメニューが登場するなど、とてもスタンダードになってきています。

ただこれは、とても遠い国の非現実な話として受け止めていたので、「駒場」という非常に身近な場所にオープンするというこのニュースは、おとぎ話が急に現実になったような違和感を覚えます。

こういう分野に詳しい人からすれば当たり前の話かもしれませんが、この驚きを共感できる方も多いのではないかと、この記事を紹介させていただきました。

「性の悩み」がオープンに!?

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「フェムテック」も小売業では今後注目のテーマになると思います。

〈NHK / 2020年8月5日〉

「Female(女性)」+「Technology(技術)」で「フェムテック」。生理や妊娠・出産、更年期など、女性の健康問題を技術を使ってサポートするという意味です。

ニューヨーク発の「New Stand」が、六本木エリアのコワーキングスペース「WHEREVER」の1階にオープンしました。この店のコンセプトは「未来の日用品店」

店内には、ナプキンのいらない生理用の下着や、産後や更年期に悩みを抱える人が多い尿漏れを解消するためのトレーニング機器、それにデリケートゾーンのケアができるクリームなどが並びます。

フェムテック製品の販売を行う杉本亜美奈さんは「商品があることによって、自分のからだの悩みについて考えたり、親子で話したりする機会になると思う。今までタブーとされていたものが、当たり前に置いてあるような社会になってほしい」と話しているそうです。

世界全体でのフェムテック市場への投資額は、10年で17倍に増えており、5年後の市場規模は5兆円に上るとの試算もあるとのこと。

ただし、デリケートなテーマだけに、大丸梅田店が昨年「女性のリズムに寄り添う」新ゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」をオープンした時は、ちょっといろいろありました…。

同店のスタッフへ本人の希望に合わせて、生理中であることを示す「生理バッジ」を試験的に導入したのですが、この施策が物議を醸し出しました。これは、「今までタブーとされてきた話を、もっとオープンに話せるにようにするための環境づくり」とお店側は説明していましたが、なかなか世論的には理解を得られませんでした。

ただ、CBDにしろ、フェムテックにしろ、今までにない新しい変化の兆しは他でも次々と起きていくでしょう。

我、「透明の器」になる

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弊社代表の谷口正和はマーケティング界でそれなりに名が知れている存在ですが、約半世紀、マーケティング・コンサルタントとして活躍できた理由をこう話します。

「私は、いつも透明な器でありたい」と。

つまり、時流の水を自分に色(主観・先入観)をつけずに、クリアに飲み込む。自分の意見や常識が強すぎると、必ず変化を見逃してしまうので、常にフラットな気持ちで事象や情報に接しているそうです。

私は入社して以来、そのことがずっと分かりませんでしたが、年を重ね最近はよく分かりようになりました。自分の凝り固まった考えが、自らを退化させてしまう。そんな危機感をもって、なるべくフレッシュな気持ちでいられるように努めています。

今までの常識が非常識になり、今までの非常識が常識になる。

これを読み解けるのが、我々の職業の醍醐味。そのことを胸に「透明な器」でい続けられるようにいたします。

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