一歩踏み出す勇気【京大入試問題】

こんにちは。たつ/日本一の教育者を目指して　と申します。
先日、国公立前期試験が終わり、大手予備校による解答速報も揃い始めています。今回は、解答速報を見ていて京都大学の自由英作文が興味深かったので紹介したいと思います。

【京都大学2021年　英語大問3】
問：次の文章を英訳しなさい。（25点）
言うまでもなく、転ばぬ先の杖は大切である。しかし、たまには結果をあれこれ心配する前に一歩踏み出す勇気が必要だ。痛い目を見るかもしれないが、失敗を重ねることで人としての円熟味が増すこともあるだろう。あきらめずに何度も立ち上がった体験が、とんでもない困難に直面した時に、それを乗り越える大きな武器となるにちがいない。

私がここ数ヶ月経験したことや、いま置かれている状況からすると、いろいろと感じることがありました。

第1文で「言うまでもなく、転ばぬ先の杖は大切である。」と入ります。転ばぬ先の杖はあった方がよいですか？ない方がよいですか？と問われたら、あった方がよいに決まっています。そのようなことは「言うまでもありません」。1文目から共感度MAXになります。

第2文で、しかし、（howeverかなと考えながら）「たまには結果をあれこれ心配する前に一歩踏み出す勇気が必要だ。」となります。そうなのです！結果どうなるか？の予測をつけることはできますが、確実な結末は一歩踏み出してみなければ分からないのです。また、心配は心配を生み、マイナス思考の連鎖への入口へとなってしまします。私のnoteでも度々書いている表現ですが「とりあえずやってみるという姿勢が重要である」ということに繋がります。

第3文で、「痛い目を見るかもいれないが」という断りが入ります。具体的にはどのような痛い目を見るでしょうか？少しショックを受けるくらい、すなわち、擦り傷程度で済めばいいですね。場合によっては心がポキっと折れるくらい、すなわち、骨折してしまうかもしれません。一生、古傷が痛むほどの痛い目は絶対に避けるべきですが、擦り傷や治る骨折であれば、痛みとともに学びもあるかもしれません。それを端的に言い表しているのが、「失敗を重ねることで人としての円熟味が増すこともあるだろう」という表現だと思います（円熟味とは、十分に熟成・熟達した豊かな味わいを備えているさま）。

第4文で、「あきらめずに何度も立ち上がった体験が、とんでもない困難に直面した時に、それを乗り越える大きな武器になるに違いない」と締めになります。立ち上がり方は人それぞれです。置かれた環境で再起を図る人もいれば、環境を変えて再起を図る人もいます。どちらがよいとか優れているということではありません。大事なことは、乗り越えて克服するということだと思います！個人的に気になる点としては、とんでもない困難とはどのようなもの？ということです。困難は様々なレベルがあります。人によっても、時代によっても、状況によっても変わります。しかし、とんでもないって何でしょう、少し恐ろしいなと思ってしまいました。

受験生はこのようなことを考える余裕もなく必死だったと思います。本当にお疲れ様です。しかし、短い文章ですが、人生にとって重要なことを端的に表している文章であると思います。また、何かの文献から引用されたのか分かりませんが、失敗や苦難を経験した多くの人々から共感を得る文章ではないかと思います。ぜひ作問された先生にお会いしたいなと思いました。

【解答例】Needless to say, you should make every effort to prevent any trouble before you start something new. However, it is sometimes also necessary to take a courageous step forward without worrying about its consequences anyway. It might cause you to have some painful experience after that, but benefitting from making a lot of mistakes, you can become mentally mature. If you have made new beginnings a number of times without ever giving up, when you face some great difficulty you never imagine will happen, it is sure to give you great strength to get over it.