たすけ

意味性と解釈病は大地または皮膚の、つまり人間の二つの病であり、根本的な神経症である。(…

たすけ

意味性と解釈病は大地または皮膚の、つまり人間の二つの病であり、根本的な神経症である。(ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』より)

最近の記事

『リンゴ売りの魔法使い(仮題)』

本作は、「現代版の『少女革命ウテナ』」を目指して書かれた、劇場アニメを想定したシナリオになります。企画書もあります。 プロデューサー、監督、演出家等でご興味を持たれた方は、お気軽にご連絡ください(X (@tasuke_4444) のDMからでも構いません)。

    • 『蟲師』と『鋼の錬金術師』における「一は全、全は一」について

       漆原友紀による同名漫画を原作とするアニメ『蟲師』を視聴していると、神道や仏教、あるいは柳田國男や宮本常一といった民俗学者、なかでもとりわけ南方熊楠を想起する人は多いと思われる(実際に、漆原は漫画『蟲師』第5巻のあとがきにおいて、「南方熊楠記念館」を訪れたことに言及している。また、漫画『蟲師』第10巻「常の樹」における幹太のような登場人物からは、直接的に熊楠が想起されるだろう)。そして、熊楠の思想といえば、華厳や密教といった仏教思想との近さが指摘されている(熊楠はよく「不思議

      • 実は丁寧すぎる榎戸洋司の脚本:『少女革命ウテナ』第25話「ふたりの永遠黙示録」を読む

        Aパート 第2部「黒薔薇編」がおわり、ある意味仕切り直しとなるこの第3部「鳳暁生編」の初回(第25話「ふたりの永遠黙示録」)では、丁寧に冒頭から鳳暁生が、「鳳暁生編」全体を象徴するスポーツカーに乗って登場する。また、第1話「薔薇の花嫁」において強調的に散りばめられていた(校則や掟などの)ルールからの逸脱といった作品の根本に関わるテーマが、この回において再び確認されることになる。上の暁生と冬芽による会話も、そのうちのひとつと言えるだろう。なお、そこで暁生は、「生徒の自主性を重ん

        • 『アキの奏で』を読む

           吉岡先生からの1本の電話は、暗いアキの部屋の中に、文字通りひとつの光をもたらす。アキは、吉岡先生のいる熊本へ行くことで、忘れかけていた夢(≒生命力)を取り戻すことになるのである。しかしこの時のアキはまだ、将来について大きな不安を抱いている。そのため、カーテンの隙間から部屋に入り込む(生命力を象徴する)太陽の光を、まるで遠い過去を見るような表情で見つめた後、カーテンで閉ざしてしまうのである。このことは、アキの部屋=アキの心がまだ、過去の夢=光を受け入れられる状態ではない、とい

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          アニメ『蛍火の杜へ』における三つの「変化」について

           本作(アニメ『蛍火の杜へ』)の原作である漫画版の「蛍火の杜へ」は、非常に映像的な作品であると言える。なぜなら、繰り返し描かれる共通のモチーフによって、そこに描かれた人物の関係性や立場などの〝違い〟が巧みに表現されているからだ。なかでも最も象徴的なのが、「触れる」というモチーフであろう。①人に触れられると消滅してしまう、半妖的(幽霊的)存在であるギンと主人公・蛍との関係。②蛍が心配なあまり、蛍をげんごつで叱る、蛍の祖父と蛍との関係。そして、③ギンに触れることができる妖怪とギン

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          『人造昆虫カブトボーグ V×V』第4話「ライバル登場!必殺ヴァリアブル・ルルド・ウォーター」を読む

           まず冒頭では、過去を捨て、何者にも縛られず、自由の国で2年間の修行をしてきたとされる流れ者のジョニー(無職)と、カブトボーグが浸透している社会にうまく順応しているリュウセイ(小学生)との対比が描かれる。  チンピラたちとは「生きてきた密度が違う」と語るジョニー。明らかに社会性に欠けている。  一方リュウセイは、小学生であるにもかかわらず、まるでビジネスマンのようなやりとりをしているとされる。  ビジネスマンのようなやりとりをしているリュウセイたちを見たロイドは、「もっ

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          幾原作品の思想について:『ユリ熊嵐』と『さらざんまい』を中心に

           筆者は、拙文 『キャプテン・アース』第1話を読む (以下「CEを読む」)において、脚本家・榎戸洋司の作品からにじみ出る思想が (*1) 、「生の哲学」で知られる哲学者のアンリ・ベルクソンの系譜にあるものだと考えた。そしてその中で、西田幾多郎やジル・ドゥルーズといった哲学者にも触れたわけだが、そうした思想が作品の根底にあると感じられるのは、榎戸洋司の盟友であるアニメ監督・幾原邦彦の作品に対しても同様である(あくまで榎戸洋司的な視点から見た場合であるが (*2) )。そこでここ

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          『少女革命ウテナ』第39話のバーベキューと『桜蘭高校ホスト部』第14話の薔薇について

           『少女革命ウテナ』第39話では、生徒会メンバー5人が、バーベキューをしている姿が描かれる。しかしこのとき、なぜかバーベキューの串の数は4本しかない。1本足りないのだ。一体誰の分の串がないのだろうか。  まず、榎戸洋司による脚本を見てみると、第39話において登場するのは、バーベキュー(4本の串)ではなく、生徒会メンバーそれぞれを象徴する5本の「薔薇」であることが確認できる。(一輪ざしではないのだが、似たようなモチーフが第38話において登場している。これも脚本には見られないも

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          アニメ映画『ねらわれた学園』を読む

           筆者は、本作(アニメ映画『ねらわれた学園』)とは、中村亮介監督が描いた「科学の再婚」の物語だと考えている。  したがって、本作における「敵」をあえて挙げるとするなら、それはリョウイチの父親(京極博士)に代表されるような、ひとりの人間を能力者であるかないかで判断し、まるでその人の精神を肉体から分離させ、人間を計算可能な「対象」として扱ってしまうような考え方だと言えるのではないだろうか。  身体という「主体」(いわゆる「意識」)ともなれば、「対象」ともなる両義的であいまいな

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          アダルトアニメ『ぴこ×CoCo×ちこ』を読む

           本作は、世界初のショタエロアニメ (*1) として有名な、『ぼくのぴこ』シリーズの第3弾である(基本的には、シリーズの過去作を見ていなくても楽しめる内容となっている)。本作における最大の特徴のひとつは、シリーズ初登場のCoCo(ここ)という幻想的なキャラクターであろう。町の地下に住むとされるCoCoという存在は、アニメ作品でいえば、『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』における「町の記憶」や、OVA『MINKY MOMO IN 夢にかける橋』における「出会いの橋」、ある

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          映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』を読む

          『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』 監督 - 五十嵐卓哉 脚本 - 榎戸洋司 脚本協力 - 朝霧カフカ アニメーション制作 - ボンズ  フランスの民族学者ファン・ヘネップによれば、通過儀礼には、「分離」「移行」「統合」という三つの段階があるという(『通過儀礼』)。本作(映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』)は、主人公の中島敦を中心に見た場合、まさにこの「分離」「移行」「統合」という通過儀礼における三つの段階に基づいて展開していくことになると言える

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          『キャプテン・アース』第1話を読む(榎戸洋司論)

          ※本文中には、本作『キャプテン・アース』においてシリーズ構成/全話脚本を務めた脚本家・榎戸洋司がこれまでに携わった作品――『爬虫類戦記』『美少女戦士セーラームーン』『新世紀エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』『少年王』『フリクリ』『ラーゼフォン』『忘却の旋律』『トップをねらえ2!』『桜蘭高校ホスト部』『STAR DRIVER 輝きのタクト』『キャプテン・アース』最終話まで――に関する記述があり(言及している分量についてはまちまち)、便宜上それらをまとめて「榎戸作品」と呼んでい

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          『あまんちゅ!〜あどばんす〜』「ピーター編」(第7話~第9話)を読む

          第7話「永遠のガクエンサイのコト」 アバン終了後のAパート冒頭。姉ちゃん先輩が、翌日に控えた文化祭のために作っているのは、ウツボカズラとラフレシアの装飾品である。ここで、それぞれの植物の花言葉を確認してみると、ウツボカズラが「甘い罠」であり、ラフレシアが「夢うつつ」である。これらの花言葉は、どちらもピーターの存在を匂わせるものであり、これから姉ちゃん先輩が体験する、ピーターとの夢のような出来事をうかがわせるものになっていると言えるだろう。また、これらの一風変わった植物を冒頭

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