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組織の意思決定の裏側。会議室を張り込みする夜。

\連載企画2つ目/

大手IT企業でソリューション営業職についていた私。でも、一番のキーとなる仕事は、会議室の「張り込み」であった。

華麗なる?意思決定の裏側とをお届けする今回のダンス。

↓エピソード1、前作から読みたい方

筆者の自己紹介↓

1.張り込む相手は、小さなジャイアン春枝ボス

正社員だけで300人、業務委託や派遣さんも入れると500人近くになる事業部のボスが春枝さんだ。エピソード1で障害報告書のレビューの、最終レビュー者もこの春枝さん。彼を通すということが、最大の難関となる。

春枝さんは、身長160センチの私と同じくらいか、少し小さいくらいの、笑いジワのある、現在50歳の男性だ。木村拓哉さんと同じ年と知った時、私は驚くあまり、「春枝さんと、キムタク同じ年らしいっす!」と、少なくとも社内の5人にチャットした。
そのくらい、春枝さんは年相応に見えた。

2.彼の人となりと功績

小さな見かけとは裏腹に口調は勢いがあり、まるで人情のあるジャイアンのようだった。

「はなぁ〜〜〜、お前はほんっっっっっっと、何もわかってないなぁ。まだまだだなぁ。そんなん提案になってへんやんか。交渉をしろって言ってるんだよ。いいか、先方は・・・」

こんな感じの口ぶりだ。奈良出身の関西アクセントで、ご指導してくださる。

のちにどこかで話すが、彼は私の結婚式の乾杯の挨拶をしてくださり、私が旦那と結婚するのを応援してくれたり、きつかった1.2年目にビジネスの基礎を叩き込んでくれた、私の人生の恩師である。

彼のビジネスセンス、交渉力、先導力、お客様から、本当に困った時の相談相手として相談を受ける存在は、うちの会社唯一なのではないかと思う。
エンジニア上がりで、営業も、交渉もできる、ITビジネスのプロであった。

後に彼は、クラウド活用による技術的な革新、ビジネスの変革が評価され、
Google cloudカスタマーアワードを受賞する。Googleのプラットフォームを使って先進的なビジネスを展開しGoogleから表彰されたのであった。
そんな存在が春枝さん。

3.張り込みの正体とは?

春枝さんの視座は高い。私は春枝さんからのご指導をご指導を受け止めれていたが、基本的には怒られるということなので、社内では春枝さんを恐れて、特にエンジニア部門のメンバは積極的に春枝さんに相談しない風潮があった。

でも、案件や戦略、交渉の方向性の全ては、春枝さんレビューの通ったものでないと、社外には出せなかったので、春枝さんのOKをいかに早くもらうかが、工期・納品の締め、受注の締めに間に合わせることを仕事としている営業部にとっては重要であった。

ただ、500人規模の組織を運営し幅広いビジネスを展開しつつも社内の報告などもこなしている春枝さんのスケジュールは多忙で、常に始業前からびっしり埋まっていた。
イレギュラーの意思決定が必要になった時、メンバーと春枝さんの日程を合わせることができるのは、2週間後が相場であった。

そんなのを待っていたら、2週間ことが動かない。
ここで登場するのがタイトルに書いた、張り込みである。

4.その瞬間を見逃すな!

張り込みでは、まず春枝さんの日程を確認し、一日の行動同線を調べる、会議室から会議室に移動するとき、その瞬間を捕まえるのである。コツとしては、隣の会議室への移動だと立ち止まってくれないので、少し距離がある会議室に移動する時を狙うのと、1時間で設定されている定例会系はトピックによっては早く終わることがあるので、その後が狙い目。

張り込み少し経つと、
ガチャ!春枝さんが出てきた。
そしたら、すかさずこういうのである。

「45秒だけお時間ください。◯◯案件でお客様から〇〇対応を指摘されています。SEは手戻りを恐れて、その手段は取りたくないと言って平行線になっています。今週には手段を決めいないと、納期的に厳しい状態です。」

45秒ではもちろん、すまないが移動時間で解決できると思って足を止めてもらうことが重要である。私がいつも45秒と伝えるのは、絶妙な時間設定をすることで、少し笑いを誘い、この後の相談をしやすくしている。
(なっているかは、不明だがたまに小さい声で、何で45秒なんだよ、と言っている。)

虫のいどころ次第で対応は違うが、「わかった、Aと話す」
と言ってその場で電話をかけて決めることもあれば、「1本メール打っておく」と言って、会議中に調整指示メールを投げてくれることもある。

失敗すると、そんなの何でお前から報告が上がってくるんだよ、SEにちゃんと報告あげさせろ!と怒られる。

ただ、それによって、煮詰まってしまっていたプロジェクトはまた動き出す。
張り込んだ甲斐があったというものだ。

5.オフィスでダンス

本日のダンスは、私の日常ではあったが中々切り抜かないシーンなのではないだろうか。あるあるという方も中にはいるのだろうか?この春枝さんは今後随所に出てくる方なので、早めに人となりが伝わればと思ってこんなシーンを切り取ってみた。

この調子で、SIerでソリューション営業として、生き抜いてきた日々を細かく綴っていこうと思う。そして、私のとにかくオフィス内外を駆け回ったあの日々を少しづつ成仏させて行きたいのだ。

終わり。

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