77歳でSexするには結婚しよう 序
肌恋しくて 肌淋しくて 死んでしまいたい
でもそんなことでは死ねないし
77歳で肌恋しいとか肌淋しいとか言ったら笑われるかな。世の婆様を見るに肌淋しいなんて思っているふうには見えないからね、私だけかな。今自然に婆様なんて言ってしまったけど、77歳は皴々ではないし、肌は艶やかで全然婆様ではないし、世間に流されて婆様なんて言ったことは反省すべきだね。
還暦プラス40年ではないし、僅か17年だから2期目17歳と思えば肌恋しいは自然な想いだよ。そうか、17歳か。恋に焦がれて肌淋しい乙女たちも、私が2期目17歳だと言えば、肌恋しさを認めてくれるかな。おんなじ17歳じゃんってね。想うわけないか。2期目17歳からの一方通行だね。少々色ボケかも知れないけれど、2期目17歳と懸命に思い込めばそのうち溶け込んで1期目17歳に成れるかも知れない。色ボケの完成かな。色ボケにはなりたくないから2期目に居ることは忘れないでおこう。
私はずっと独り身で経験していないけど全部済んでしまった女は2期目17歳に戻るのかも知れない。肩の力が抜けて安堵がそうさせるのかもしれない。女の気持ちは自然と戻るように出来ているかもしれない。孫たちが来て遊び疲れてほうとため息をつけば、あれ!17歳とおんなじだってね。気持ちはいつまでも変わらないんだね。老化した気持ちなんて無い。瑞々しささえも変わらない。そんなのちょっと覗いて見れば一目瞭然さ。
でもね、気持ちが17歳になったとしても周りには何もない、何にもないんだよ、居るのは私一人。
女が胸を抱いて17歳と思っているのに認めない、気付かない。その感覚・感性の鈍感さ未熟さには驚きを通り越して慄いてしまう。
全く恐ろしい。
十羽一絡げに括って、硬いアクリルの筒の中に入れて、なにもないものとして通り過ぎる。
私たちも筒の内側から触れ得ない世間を見る。
お互いには通い合う情は無く断絶が気力を奪う。
うすもやに目を塞がれ涙を見る人はいない。
そうして閉じ込められて、歩むでもなく老後を歩む。
とぼとぼと先に見える卒塔婆に向かって。
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