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私は不倫をしていた。16話:旅に出たい

旅に出てぇ。そう思ったのは久しぶりだ。と言ってもほとんどの人はいつも旅行に行きたいとは思っているが、私の言う旅とはちょっと違う。
学生時代、放浪癖があった。ホームセンターで買った3万円のマウンテンバイクもどきで学校をさぼって1週間くらい旅をする癖が私にはあったのだ。それでも成績はそこまでひどくなかったのは小心者なので旅先に教科書をもっていって細々と勉強していたからだ。
学校ではしこたま怒られまくってたけど、国語の先生だけは私の旅の話をよく聞いてくれた。補習をしてくれながらだったけど。この人のおかげで高校を卒業して大学にも行けたと本気で思っている。
ちなみにその旅をテーマにした作文で賞も取らせてもらった。先生が勧めてくれなかったらただの不良行動で内申も終わっていたかもしれない(笑)

自転車の旅は好きだった。初めて出た旅は15歳の時で、学校に行く途中国道を走っていると道路標識に「千葉」って書いてあるのに気づいたときだ。私は北関東に住んでおり、千葉ってのはそれまで親と旅行で行ったり、友達と新幹線とかで行く場所だと思ってた。
んで、ふと気づいたら制服のまま自転車を千葉方面に漕いでいて、夕暮れまで漕ぎ続けてた。途中でパンを買ったり、ジュースを飲んだりはしたが金がなくなってとりあえず進み続けたらなんと海に出たのだ。相当驚いた。
自分の住んでいる町が海までつながっていると自覚できたのはこの時が初めてで、世界の広さと狭さを同時に知った感覚がした。それ以来事あるごとに自転車でそこら中行くようになって親とか学校の先生とかに沢山叱られるようになった。

当時の悩み多き(今にして思えばちっぽけな悩みだけど)私にとって旅は逃げ道だった。女にフラれたり、友達にひどいことを言われたりしても旅に出ればそこには私の知らない世界がある。それがわかったことが当時の私にとって救いだった。

そして今、再び旅に出たくなっている。妻には言えようがない。だって、失恋の悩みからくる逃避行なのだから絶対に口に出来ない。
新たな出会いに癒されたり、新しい趣味を探しつつも今は旅に出たいと思っている。それくらい旅は私にとって特別だ。私にとっての旅は他では得難い何かがある。人付き合いのない自由な旅が私を癒すのだ。

そんな言い訳をしてロードバイクを買おうとしているのは内緒だ(笑)
暇が取れるかは分からないけど、手段がなければ計画もないのでとりあえず手段を手に入れようとしているのだ。
学生時代と違い、今はいい大人なのでそれなりの値段のものが買える。もっと快適に遠くまで旅に行けるかもしれない。

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