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デザイン思考で進める、新規事業のUXの作り方

こんにちは、しみーです。
現在私はSun*のDesignerとしてクライアントワークをして働いています。
今回、Sun*のAdventCalendarに参加するということで
初めてnoteを書いてみました!
私が入社以来担当しているスタートアップの案件について、
どのように案件を進めていったか色々と書ければと思います。

この記事がおすすめの人
・0→1事業でデザイナーとして参画している人
・デザイン思考を用いたアイディエーションなどを勉強している人

※この記事はSun* Advent Calendar 2023 13日目の記事です。



・・・

💡案件について

入社以来担当しているスタートアップの案件ですが、こちらは高校の部活動に関するスタートアップです。
一度は学校で部活動に入った人がいるのではないでしょうか?
私はサッカー部で毎日朝練や練習に明け暮れ、時には吐きながら走ってました🌈

今回の案件はデザイナーが主導となりクライアントを巻き込み、
課題の発掘〜コンセプトメイクまでをどのように行ったかについて話します。


💡プロジェクトの進め方

プロジェクトはいわゆる「ダブルダイヤモンド」の形で進めていきました。 ユーザーの抱える課題を探索し、課題を定義し、それに対しての解決策をチーム全体で出し合い、収束させてプロダクトに落とし込みます。

UXダブルダイヤモン

プロダクト制作においては「誰が何の課題を抱えており、どのような価値を提供し解決するか」が重要になってきます。 課題やアイデアの発散と収束を繰り返しながら、徐々にプロダクトの輪郭を形作っていきます。

今回、クライアントサイドでは「部活の活動費の管理」の課題に当たりをつけていたので、それを基準にプロジェクトを進めていきました。


💡誰の課題か

「部活の活動費の管理」といっても色々とあると思います。

  • 顧問が備品を購入、管理することに課題を感じているのか

  • 保護者から部費などの費用を回収することに課題を感じているのか

上記のように課題を様々に捉えてしまうと要求が膨らんでしまいます。
まず最初に「ペルソナ」や「ステークホルダーマップ」などを作成していき、「誰の課題(Who)」なのかを特定し今回開発するツールでのスコープや優先順位をすり合わせていきます。

スタートアップは資金の面において大企業に劣ります。
限りある資源を有効に活用していくには、あれもこれもは駄目で、思い切って切り捨てることも必要だと考えます。

実際、当初の構想では高校生もサービスを使える案が出ていましたが、「費用の回収」をメインの機能にすえ、思い切って下記でプロダクトを制作しています。

  • メインペルソナ:顧問

  • セカンダリーペルソナ:保護者

  • ターシャリーペルソナ:管理者

また、ペルソナ作成の際には「解像度」も重要になってきます。
ペルソナの解像度が低いと提供する価値やアイディエーションの解像度も低くなると思います。
クライアントへのヒアリングやユーザーインタビューを通して、解像度を上げていきます。

※ペルソナの解像度が低いとアイデアやソリューションの解像度にも影響する


💡何の課題か

「誰の課題」と平行して、ペルソナの抱えている課題が何なのかを特定します。先程、クライアントサイドで「部活の活動費の管理」の課題に当たりをつけていたと書きましたが、ユーザーが本当にそこに課題を感じているのかも含めて調査します。

ここではユーザーインタビューや共感MAPの作成を通して、ユーザーの「5W1H」を明確にしてペルソナの課題の解像度を上げていきます。

・When = いつ
・Where = どこで
・Who = だれが
・What = 何を
・Why = なぜ
・How = どのように

この段階では私の方でインタビュースクリプトを作成し、クライアントとともにインタビューを行いました。「ユーザーの生の反応を聞いてもらい、プロダクトオーナーとして自覚を持ってもらう」という意味で可能であればクライアントに同席をしてもらいます。

💡どう解決するのか

ペルソナの考えていることや感じていることがメンバー間で共有でき始めたら、VPC(バリュープロポジションキャンバス)に落として解決策を考えていきます。 VPCに対する細かな説明は省きますが、このフレームワークを用いることで

  • 誰が

  • どのような課題を抱えていて

  • どう解決するのか

を俯瞰的に見ることができます。
「どのようなサービスを提供するか」に関しては、一旦暫定でいれてもらい、別でアイディエーションを行い課題に対するアイデアを発散させていきます。
クライアントにはVPCの説明を行い、miro上で自身の仮説を記入してもらうワークショップを行いました。

VPCフレームワーク 調査でわかったことを記入していく


💡アイディエーション

VPCでは暫定の解決案をいれました。しかし暫定のアイデアでしかないので アイディエーションを行い、解決案の深掘りを行います。
※アイディエーションとは、アイデアを出すこと、アイデアを作ることを指します。
そのためにまずデザイン思考で言うところの「How might we(問い)」を立てます。※VPCを作る前でもいいです。

なぜ「How might we(問い)」を立てるのか

How might we(問い)を立てることで解決の方向性をチームで統一できることができます。
この際のポイントは、「広すぎず(抽象的)、狭すぎ(具体的)ない問いを作ること」です。
例えば、「コーヒーを楽しむ方法を考えて」と言われても問いが広すぎて何をアイデアとして出せばいいか迷ってしまいますよね。
制約をつける(対象を絞り込む)ことで私達の想像力は刺激されるらしいのでHow might weの構成に則ることで適切な問いをクライアントに投げかけアイデアを引き出すことができます。

How might weの基本構成は、こちらになります。

どのようにすれば【対象ユーザー】のために【制約】を考慮しながら【ゴール】を提供できるだろうか

How might we(問い)ができたら、その問いに対する回答をチームでアイディエーションしていきます。この際に、アイデアの質は考えず、とにかく考えられるだけ出し尽くします。クライアントとのワークショップを通して、たくさんの意見を出してもらいアイデアを発散させます。

問いに対するアイデアをひたすら出し、分類していく


💡アイディエーション後

アイディエーションで発散された、アイデアを収束させ評価します。
この際にアイデアの評価軸を決めましょう。今回は、

  • 事業の拡張性と利益見込み

  • ユーザーへの提供価値

2つの軸からアイデアをマッピングして評価していきます。
そうして一番確度の高そうなアイデアをピックアップしてコンセプトを作成します。この際に競合の状況やユーザーインタビューから出た課題を解決できるかという観点を加味して判断します。
※評価基準はプロジェクトによって異なるため、プロジェクトの目的に沿ってチームで軸を決めていきます。

2軸にわけてアイデアを評価


💡コンセプト作成

有力なアイデアからコンセプトを立てます。
コンセプトを作成する目的は下記があります。

・リサーチを通して得られた知見をステークホルダーに伝える
・プロダクトに関するアイデアをより具体的な形で検証する

コンセプトの表現方法は様々ありますが、先程の2軸でのアイデアマッピングでクライントとの共有が済んでいたので、VPCのフレームワークに落とし込みました。


💡プロトタイピング

インタビューやペルソナを通してユーザー像や課題を、VPCやアイディエーションを通してアイデアやコンセプトを作成しました。
これ以降は、ユーザーストーリーマップや業務フローを通して詳細のユースケースを洗い出し、プロトタイプを作成していきます。(こちらは今回省きます)


・・・

💡やってみての感想

以上のような流れで、デザイナー主導で新規事業のアイデア出し〜UI作成までを経験しました。
通常だとデザイナーはある程度事業の方向性やコンセプトが定まっており、フィニッシュの場面でアサインされることが多いと思いますが、デザイン思考的アプローチを通すことで、企画段階からプロダクト制作に関われるのがデザイン思考のいいところだと感じました。
デザイン思考を踏まえたワークショップは、必然的にクライアントを巻き込むため「0→1での事業構想」に特に有効だと思います。

クライントの都合で、開発が前倒しになってエンジニアに迷惑をかけたり、ワークショップの設計やリサーチ、UIの作成まで一人でやっていたのでしんどい部分はありましたが、UXからUIを一気通貫で推進したことは非常に勉強になりましたし、デジタルプロダクト制作の基礎は一気についたと思います。
現在もスプリントを回して、新機能や改善を行っているので引き続き頑張っていきたいと思います〜

この後も、Sun* Advent Calendar 2023では、Sun*のビジネスデザイナー、エンジニア、PM、デザイナーが記事を連載していきます。チェックして頂ければ幸いです。

ストレートネックしみー


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