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ロボットなんて大っ嫌い!

お嫌いですか、ロボットは?#21 紙も長い友達?

――いらっしゃいませ。
 マスター元気? いやあ、今週も疲れたわ。

――大型連休の谷間の今日もお仕事ですか?
 新年度が始まったばかりだからね。東京と大阪がコロナ禍の緊急事態宣言で仕事にならないから、名古屋のオレはおちおちと休んでられないよ。名古屋は「まん防」真っ最中だけど、今夜は8時で看板?

――ええ、一応は……。いつものでいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。今夜のおすすめは「夏野菜のコブサラダ」か。そうか、来週はもう立夏(りっか)だからね。コブと言えば思い出すよ、紙の専門商社「若尾」の案件を。身近なものが、あんなに扱いづらいとは思わなかったなぁ……………。


 株式会社若尾は、明治期の1899年に東京・京橋で洋紙店として創業した。36年に株式会社若尾洋紙店として改組し、東京五輪が開かれた64年を機にロゴマーク「紙すき乙女」を商標登録し、株式会社若尾に商号変更した。印刷用紙やファンシーペーパーと呼ぶ特殊印刷用紙の販売や輸出入、これらの紙を使ったパッケージの企画開発などもやっている。

 戦後に千代田区に移転した本社のほか、大阪、名古屋、仙台、広島、福岡、札幌に支社を置き、板橋区や品川区に物流センターを持つ。上海やシンガポール、バンコクにも拠点を置くなど、紙の商社としては手広くやっている方だ。

 オレが呼ばれたのは8年、いや9年前だっけなぁ。リーマン・ショックや東日本大震災後のゴタゴタが落ち着き、景気が上向きつつあったころさ。米国での留学を経て、大手の製紙会社で外飯を食っていた今の6代目社長、若尾武が経営企画室長として30歳で入社して、2年が経とうとしたころだった。

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