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【子ども時代のちーちゃん⑥】好きな人に会えない寂しさも決して打ち明けてはいけない

このnoteでは、LGBTQ当事者として、福祉の現場に立つ者として、「生」「性」そして「私らしさ」について思いを綴ります。
幼少期から思春期を経て、自立の時を迎える中で次第に大きくなっていく心と体の性の違和感。前回に引き続き、女性に対する恋心への戸惑いについて振り返っていきます。(私の自己紹介はこちらです。)

同じ中学校に通っていた女の子Aちゃんは、私の恋愛対象であり、同時に、だれにも知られてはいけない思いを受け容れてくれる親友でした。Aちゃんと一緒にいたい、手をつなぎたい、キスしたい。女子中学生の私はそう思っていました。そしてAちゃんは、そんな私の気持ちを少しずつ受け入れてくれました。

Aちゃんとは一生ずっと一緒なのだ。私はそう信じていました。でも、別れの時は驚くほど早く訪れました。

私は、地元の県立共学高を受験しました。もちろんAちゃんも同じ高校を受験しました。成績は余裕で合格ラインに達していましたし、中学校の先生もだいじょうぶだと言ってくれていたので、100%合格を信じていました。

しかし、合格発表の掲示板に、Aちゃんの番号はありましたが、私の受験番号はありませんでした。母親に「私の番号がない!」と泣きながら電話をしました。Aちゃんと一緒にいられなくなる! そのショックで、3日間寝込んでしまいました。結局、私は、すべり止めで受験し、合格していた女子高に進学することになりました。

その女子高は、隣県の都市部にあり、私は電車通学をすることになりました。都会の女子高のブレザーを着て、定期券を持って通学する日々は、私にとってとてもキラキラしたものでした。もちろん、Aちゃんと一緒にいられないことは寂しかったし、本当はブレザーではなく、学ランを着てみたかったのですが。

高校入学当初は、Aちゃんとポケベルで連絡を取り合い、電車の時間を合わせて一緒に帰ることもよくありました。でも、1か月ほど経った頃から、Aちゃんから返信が来るのが遅くなり、だんだんと一緒の時間も少なくなっていきました。寂しくて、返事が欲しくて、何度も連絡をしました。Aちゃんと私の両方を知る中学時代の友人から「Aちゃんにも新しい友達ができたのだろう」「学校が違うのだから、あまりしつこくしない方がいい」と言われました。

その後、しばらくして、Aちゃんには「彼氏」ができたと聞きました。

一方、私は、高校1年の夏くらいから、同じクラスで運動部のBちゃんと付き合い始めました。付き合うといっても、Aちゃんのときと同じように、「付き合おう」「彼女になってほしい」といった改まった言葉はなくて、だんだん2人で遊ぶようになって、私がぎゅっと抱きしめても彼女は拒んだりしなかったというだけです。周りから見れば仲のいい女子高生同士、でも、私の中ではBちゃんは「彼女」でした。

ただ、Bちゃんとも、2年生でクラスが変わると、だんだん疎遠になっていきました。私はやっぱり寂しくて、Bちゃんのクラスまで会いに行ったりしました。

Bちゃんとの時間が少なくなったこともつらかったけれど、「彼女」だと思っていた人と会えなくなった寂しさを、ほかのだれにも相談できなかったことがなによりつらかったです。

次回は、身体は女性、でも心は男性であることを自覚しつつある私が、女子高で体験した「いじめ」についてお話しします。私は、いじめの被害者にも、加害者にもなりました。

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