#54 おじいちゃん
私のおじいちゃんは
90歳ぐらいだ
写真を撮ることが趣味だ
私たちが遊びに行くとよくこっそり写真を撮っていた
そしてそれを印刷してプレゼントしてくれた
パソコンを使うことが得意だ
部屋に性能のいいパソコンが置いてあっていつもそこで何かしていた
家電屋さんに行くことが好きだ
戦争があった時代を生きていた、戦争の記憶があるけど多くは語りたがらない
おばあちゃんが社交的でいつも私たちの面倒を見てくれるから、おじいちゃんはその後ろから私たちを見てくれる
そんなおじいちゃんが今、入院している
寝たきりになってしまっている
認知症になって夜中にトイレに行こうとして股関節の骨を骨折して手術をした
最近は心不全にもなってしまった
お父さん(おじいちゃんからすれば息子)の顔を見ても誰だかわからない
そんなおじいちゃんにこの前会いに行った
私は会いに行きたくなかった
変わり果てたおじいちゃんに会いたくなかった
もう最期が近いおじいちゃんに会いたくなかった
在宅看護師になるとか言っておいて、身近な人の死は認めたくないし考えたくもない弱い自分だということがよくわかった
でも会いに行った。半ば強制的に。
おじいちゃんは私を見て名前を言ってくれた
それだけで十分だった
もう涙が止まらなかった
でも認知症で自分のものを盗られたと思っていて自分の兄弟にカメラを盗られたんだと怒っていた
お父さんが宥めて私の話になった
するとおじいちゃんがそういえば、(私の名前)は自転車で学校に行ってるんだよな?家の周りは坂が多くて大変だろうと一言
え、私の家に来たことあるのもう5年以上前だよ?
家の周りの地形まで覚えて私が自転車通学していることも覚えている
本当に認知症??!
そして私はありがたいことに今年、学校の特待生に選んでもらった
そのことをお父さんがおじいちゃんに伝えた
お父さんは俺のDNAじゃないね、お父さん(おじいちゃん)のDNAだねと加えて言った
おじいちゃんはそうだなぁ。硬くなりすぎず。硬すぎるのはダメだ。真面目にやりすぎるといつか苦しくなる。と言ってくれた。
今年、受験生の私にはとても響いた
きっといつか模試の結果や日々の自分の学習態度に追い詰められて涙が止まらなくなる時がくる
その前に硬くなりすぎた自分をほぐさないと
頑張るからねおじいちゃん
あと、家にもう帰りたいと言っていた
いわゆる在宅看護だ
おばあちゃんとおばさんだけのサポートでは到底難しい
在宅医療にお世話にならなければならないが、金銭面での負担が大きいらしい
家もバリアフリーにしなければならない
私が浪人せず、国家試験に落ちなかったとして最短5年待ってほしい
この際、お給料なんてものは関係ない
おじいちゃんだけでなく、他にも困ってる人がたくさんいる
格安で利用してもらえる訪問看護師になりたい
人のためならなんだっていい
とにかくおじいちゃんのためなら私はなんだってできる
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