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「そっか。授業ってどこでもできるじゃん。」


私は、今日も教室にいない。
子どもが校庭へ行ってしまったからだ。


MT(main teacher)に一言「すみません。少し離れます。」と告げ、校庭へ向かう。


校庭へ着くと、彼女は校庭のベンチに腰掛け、空を眺めている。丁度、桜が散り始め、枝葉は新緑の季節へと切り替わろうとしていた。


「どうしたの?教室へ戻ろう?」と言葉をかけ、隣に腰掛ける。返事はない。「音楽の授業だよ。教室でみんなで演奏しよう?歌おう?」…移動しようとする気は全くないようだ。



少しの間、彼女と同じように自然を感じてみた。鳥の声、心地よい風、桜散る景色…「なんで過ごしやすい陽気なんだ…」と心底感じた。


「すごく気持ちがいいね。ここで、音楽をやろうか。」


「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今もめぐりて
 忘れがたき故郷…♪」


季節の歌「故郷」「校歌」「学部の歌」を一緒に校庭で歌った。


いつもは教室に入ることすら苦手な彼女もニコニコと微笑んで私の歌を聴いてくれた。


ふと思った。授業を特定の場所や集団でやることにこだわっていたのでは…


もうすぐ終業の挨拶の時間。
戻ってくれるかな?という不安を抱きながらもう一度尋ねてみる。


「教室…戻ろうか?」


彼女は笑顔で教室に向かって走り出した。


なんだ。授業ってどこでもできるじゃん。

そんな春の日。



🐧たれめ日記
 とある桜舞う日のエピソードを書かせていただきました。
今回のテーマは「離席」です。



私が意識していることは
①観察する【離席の原因を探る】
②前向きな言葉掛けをする【否定しない】
③子どもと同じ気持ちになる【真似してみる】
④待つ【様子を見て②言葉掛けをする】

幸いにもteam teachingなので、マンツーマンになることが可能な状況がほとんどです。


①観察する【離席の原因を探る】
 私は校庭に向かいましたが、すぐに言葉はかけていません。どんな目的があってここに来たのか、理由を探りました。


②前向きな言葉掛けをする【否定しない】
 ⭕️教室戻ろう ❌教室に戻りなさい
口調も気をつけています。優しく諭すように。


③子どもと同じ気持ちになる【真似してみる】
 私も隣に腰掛け、数分自然を感じてみました。すると、気付いたのです。天気、気温、風が最高に心地良かった。そして、泣き叫ぶ子も、他害をする子も近くに居ない。彼女にとって、そこは最高に落ち着ける場所だったのです。


④待つ【様子を見て②言葉掛けをする】
 本当は今すぐにでも教室へ戻って欲しい。けれどもそこは少し堪えて。彼女が少しでも気持ちが落ち着くように、タイミングを見計らって声をかけます。


★まとめ
 強めの口調や力ずくで教室へ連れ帰る方法もあるでしょう。ですが、それはその場凌ぎの対応にすぎません。一度教室へ戻ることができても信頼関係はズタボロです。
 こうした対応は、時に「甘い。」と捉えられがちです。ですが、その後の対応に生かす上では、必要だと思っています。
 今回の彼女の離席を分析すると①ある子の癇癪が嫌だった②一人で落ち着きたかった③だから校庭へ行った④落ち着いたら教室へ戻ることができたことがわかりました。その後の対応として、一人で落ち着くことのできる別室を用意したことで、その子が校庭行くことは一切なくなりました。
 どのような行動にも必ず〝きっかけ〟があります。行動のみに着目せず、その背景にも目を向けていくことが重要ですね。


★おわりに
 ふと、桜舞う校庭で彼女と音楽をやってみて思いました。「授業を特定の場所や集団でやることにこだわっていたのでは…」と。授業は子どもと先生が居れば、どこでもできますね。「そっか。授業ってどこでもできるじゃん。」そんな当たり前なことに、私は気付かされました。桜があれば桜の歌を歌う。校舎見えれば校歌を歌う。手を叩いてハンドクラップ、ボディーパーカッションだってできる。教材も無限だ。
 今、学級全員で校庭での音楽を計画しています。音楽発表会のミュージックビデオ撮影をする予定です。みんなで、彼女のお気に入りの場所で踊れることが楽しみです。


今回は、テイストを変えてみました。いかがでしたか?
エピソードと合わせて、何か特別支援教育についてお伝えできれば良いなと思っています。

また、遊びに来てくださいね(๑˃̵ᴗ˂̵)おやすみなさい✨

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