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1次創作

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ときどき書いてはいるのですが、なかなか、ご高覧賜るほどのレベルのものが書けません。
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#超短編小説

【一次創作】あしたのジョーク

【一次創作】あしたのジョーク

借金の返済に目処が立たない。どうやら、闇ボクシングの試合に出なければいけないようだ。その闇ボクシングとやらで相手に勝利すれば、ファイトマネーを借金の返済に充当してくれるらしい。

          *

昔話でもしよう。俺の父親は、俺が高校に入るか入らないかのタイミングで、事故で亡くなった。母親は、消息不明で、父の葬式にも来なかった。
というか未だに、どこの誰だかわからない。

祖父母は既に亡く

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【一次創作】30歳の憂鬱

【一次創作】30歳の憂鬱

30歳になった。経済的自由、社会的裁量が、大人の入口と呼ばれる20歳の頃とは桁違いだ。20歳になった日より、遥かに感慨深い。

自分自身が確立されつつあり、他者との比較で揺らぐことが少なくなってなお、憧れる人、かっこいいと思う人は、確かにいる。でも、それらの人のようになりたいとか、彼らの真似をしたいとは、おれは思わない。

どうしたいかと言われれば、おれは、おれを極めたい。おれであるということを突

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【1次創作】名馬伝

【1次創作】名馬伝

ソルスティスが、また勝った。
史上初のG1競走7連勝。その途中で海外のG1レースも制し、いつしか世界最強と呼ばれるようになった。

特にこの4歳秋の走りは圧倒的だった。天覧競馬となった秋の天皇賞では永久不滅ともいえるレースレコードを叩き出し、今回のジャパンカップでは、1歳下の無敗の3冠馬ラクエンを相手に、影すら踏ませず千切り捨てた。
鞭を振るうどころか、持ったままで。まさしく無敵のパフォーマンスを

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【一次創作】煙の絆

【一次創作】煙の絆

私が若かった頃、喫煙所でよく愚痴ってました。時は流れ、今はときどき、若い人から愚痴を聞く立場になりました。あのとき、先輩たちが思っていたことは。
テーマはそんなところです。そして、大部はフィクションです(今はもう喫煙していませんし。)。

        「煙の絆」

執務室から、遠い遠い、仕切り壁も天井もない、野ざらしの屋外喫煙所。

オフィスビルに囲まれたこの場所は、22時をまわれば、あたりは

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