JICAグローカルプログラム75日間を終えて前編(「ラクロス体験会」、「中学校特別授業」、「3Dプリンター教室」)
たらぎ財団はJICAの研修先
こんにちは、私はJICAグローカルプログラム研修生、三井健司です。前回note投稿してからあっという間に研修の終わりが来てしまいました。今回は多良木町に来て、たらぎ財団で経験・挑戦をしてきたことを皆さんへお知らせしていきます。前回の記事でJICAのことを説明しているのでそちらをご覧ください。内容は前編、後編で分かれています。ぜひ2編とも読んでいただけると嬉しいです。
前編は「私が挑戦した3つのプロジェクト」についてです。
私は今後12月22日(金)に東京へ帰省し、翌2024年1月15日(月)〜3月14日(木)福島県二本松市で派遣前訓練としてマレー語を学ぶ予定です。そして4月にマレーシアへ派遣し、2年間の活動をしていきます。
小中学生向け『ラクロス体験会』
私が学生時代に情熱を注いでいたスポーツ「ラクロス」です。
皆さん「ラクロス」をご存知でしょうか?「クロス」と呼ばれるスティックを使い、クロスでボールを扱い得点を競い合うチームスポーツです。詳しくは「日本ラクロス協会HP」をご参照ください。
そんなラクロスは何と2028年ロサンゼルスオリンピックで公式種目に採択されました。ラクロッサーからしたら誰もが喜ぶビッグニュースです!!
たらぎ財団の業務執行理事COOであり活動パートナーである栃原さんと研修当初にどのような活動をするかを打ち合わせしました。「ラクロスを多良木でやってみませんか?」と栃原さんから提案がありました。その一言から「ラクロス体験会プロジェクト」が立ち上がりました。
多良木町は人材教育事業に力を入れています。町から100%出資されて作られた「たらぎ財団」は町の「人材育成、特に小中学生への教育事業」の一端を担っています。だから、「ラクロス体験会」は小中学生向けに「新しいスポーツにチャレンジしてもらう」ということにしました。
プロジェクトを行うにあたり、ラクロスの認知度を調査しました。過去に一度だけ熊本県でラクロス体験を行ったのみであることが分かりました。
そのため、きっとラクロスを知っているのは多良木町で私1人です。マンパワーの問題、さらにラクロス道具は自宅に置いてきてしまったため備品が無いという問題もありました。
2つの問題を解決するために、2つの団体に助けられました。
「マンパワー」に関しては、多良木町から最も近い社会人ラクロスチーム「鹿児島ラクロスAusbruch」に相談し、快く引き受けてくださいました。
「ラクロス備品」に関しては、日本ラクロス協会に相談し、2ヶ月間体験会用ラクロススティック40本、ボール20個を貸し出して頂きました。オリンピックニュースにより問い合わせが予想される中、長期間貸し出していただけたことに大変感謝申し上げます。
ラクロス体験会の成果 「157名の子どものワクワクを促進」
小学校2校、中学校1校、サッカー2チーム、計5回、総勢157名に対して体験して頂きました。各体験会でアンケートを実施しました。「ラクロス楽しかったから家で道具を作って弟とやりたいです」、「新しいスポーツはむずかしかったけどできたときうれしかったです」など100点満点の感想が聞けました。できないことを楽しみクリエイティブに改善していく子もいれば、中には、上手くいかずに拗ねて「もうやらない!」という子もいました。リレーで失敗してグズってる子もいました。どれも素直なその子の反応です。それがラクロスであり、スポーツです。新しく何かに取り組むことで自分がどのようにそれに向き合うかを、私は「ラクロス」を通して子どもたちに体験してもらいと思っていました。子どもの内に新しいことを経験しておくことはその子の将来の選択肢を増やすことだと思っています。
今回の体験会が「ラクロス」でなくとも辛くても頑張れる何かを持つ「きっかけ」になればと思っています。
中学生へ特別授業「きっかけ」についての話
中学校へラクロス体験会の提案をした際に、有難いことに学校側から「私がJICA海外協力隊へ参加するまでの話をしてほしい」と依頼がありました。私は帰国後の社会還元として、高校や大学、専門学校で海外で見てきたことを話したいと思っています。そのため今回の話はラクロスが私にもたらしてくれた奇跡であると思っています。
人生なんて「きっかけ」ひとつ
広瀬アリスさんが出演するJICA海外協力隊CMのテーマです。本当にその通りだなと思っています。このCMをヒントに中学生に「きっかけ」について向き合ってほしいと思いました。だからこそ特別授業の構成は私の話と「きっかけ」に向き合うワークショップを半々にしました。私の話を聞いて、じゃあ自分のこれまでの「きっかけ」とは何だったんだろうと考えて欲しいのです。
私の「きっかけ」は3つです。「ラクロス」、「理学療法士」、「JICA」です。それぞれは些細なことから始まっています。しかしながら、続けた先に自分の気持ちや行動が変化する大きなことに繋がっています。また、自分だけでなく家族や周りの人までも変化があることに気付きました。「きっかけ」は今、そして未来の自分を作る大事な要素だと思っています。
講話のアンケートでは、「自分が知らないだけでJICAやラクロスなどいろんなものがあったので、他にもどんな活動やスポーツがあるのか興味がわいた」などの意見がありました。受験の渦中で立ち止まって、自分のキャリアについて考える時間を作れたのではないかと思います。この「きっかけ」をどう生かしてくかは生徒さん次第です。未来が楽しみになった日でした。
小学生向け「3Dプリンター教室」
『3Dプリンターとは、、、、何だ?』
私は1ヶ月前そこから始まりました。私にとってはこれまで名前さえ知れど触ったこともなかった未知なる世界です。
栃原さんと打ち合わせをした際に、「多良木町とたらぎ財団が力を入れる子どもへのICT教育について何かプロジェクトをやろう」という提案がありました。「プログラミングゼミ」、「Minecraft」、「Roblox」と検討を重ね、結果的に「3Dプリンター」に決定しました。
「3Dプリンター」とは3Dデータを元にして、フィラメントというプラスティック素材を熱して糸状にして何層も積み重ねて作品をつくる機械です。
栃原さんが3Dプリンターに精通する某IT企業の方と繋いでくれて、その方かた助言を頂きました。今回の教室はタブレットを用いて、Sculpt GLという無料ソフトで球体から3D作品を作り、それをプリントするといった工程にしました。
子どものクリエイティブな創造力
12月11日(月)、14日(木)の2日間コースで募集しました。定員一杯の10名の申し込みがありましたが、体調不良で参加者は小学2〜6年生8名でした。両日ともに1時間半ずっと椅子に座り創作に没頭している子ども達の姿に関心をしていました。
挑戦の先に見えたもの
私は75日間、主に子どもへの教育事業にエネルギーを注力しました。そして私の3つのプロジェクトは挑戦でした。一つ一つに向き合って取り組んだからこそ自分の想像以上のリターンを得ることができました。
例えば、「ラクロス」を手段として、小学校と繋がることができました。今回は5年生が体験会に参加してくれました。私がマレーシアへ行く頃は、彼らは6年生です。先生方と来年オンラインで多良木町とマレーシアを繋げようと話をしています。
また、「中学生へ特別授業」のアンケートでは、「JICA海外協力隊に参加したい」という生徒さんが3名いました。もしかしたら彼らが将来協力隊に参加されるかも知れません。
「3Dプリンター教室」に参加された子どもは「Minecraft」にも興味を持っていることが分かりました。きっと次回もICT関連イベントを開催すれば来てくれるでしょう。たらぎ財団のイベントを「きっかけ」にIT業界に強い人材を輩出する多良木町となるかも知れません。
たらぎ財団は地域の「ワクワク」を循環させる「Taragi challenge cycle」をVISIONで掲げています。「ワクワク」を①かんがえて、②みつけて、③そだてて、④ひろげて、⑤つなげるという5つがあります。今回の私の挑戦は子どもの「ワクワク」を①かんがて、②みつけることを支援しました。これからどの様に③そだてて、④ひろげて、⑤つなげるかは子どもたちの挑戦です。
子どもの未来を想像するだけ「ワクワク」が止まりません。
以上が私がグローカルプログラムで挑戦したもの、そして得られた結果です。
後編はたらぎ財団で経験した刺激的でインプットばかりの日々を紹介します。続けてご覧ください。
後編に続く、、、、
たらぎ財団JICAグローカルプログラム研修生
三井健司